社長の力量が足りないと社員は育たないのか? (3/3)
組織マネジメントにおいて、「動機づけ」が必要な場面は多々あります。意欲の高い社員はすぐに行動に移しますし、困難な課題にぶつかっても諦めずに知恵を絞ります。言われたことだけではなく、新しい工夫を試し、プラスアルファの挑戦をします。そんな社員で溢れる企業にしたいと誰もが思いますが、経験に頼っていては実現もままならないでしょう。
「動機づけの基礎理論」を学ぶことで、「人が行動をとる理由を理解する助けとなり、個人や集団の行動パターンを予測することや、必要な行動を促すこと」ができるようになります。また、「自分自身の動機を理解し、自己管理能力を高めること」のマネジメントを担う人にとっては必須のスキルです。
本シリーズでは、9つの動機づけ理論を紹介します。ご自身の仕事において、うまくできていること、できていないことを点検し、改善に結びつけて頂ければ幸いです。
初に紹介をするのは、「マズローの欲求5段階理論」です。かなり有名な理論なので、ほとんどの方はご存知なのではないかと思いますが、概略を記載しておきますと、次の図のようになります。
知っている人からすると、あまりにも当たり前すぎて
「あ、マズローの5段階欲求ね」とスルーしてしまいがちな図ですが、
日常の活動の中で、自分がどの欲求に動かされているかを考えてみると、どうでしょうか?
人が判断を迷うのは、怒りや恐れという感情の影響を受けた時、欲をかきすぎて本来目指していたこととズレてしまう時などです。
「人の悩み事の9割は起こらない」とも言われていますが、人は将来を心配し、保守的・防衛的になることがあります。マズローの欲求5段階の中の「安全欲求」に支配されていると言えるでしょう。
また、議論をしていて、馬鹿にされたような発言をされてしまうと、それだけで怒りの感情が湧き、合理的にものごとを考えられなくなることはないでしょうか?このように「尊厳欲求」が脅かされていると、「自己実現欲求」のことは見失いがちです。議論に勝つことが目的になってしまうと、実現したいことも実現しないでしょう。
「自己実現欲求に忠実に向き合う」ということはなかなか難しいことではないでしょうか?
起業をした時、事業を企てた時、
「自分は世の中をどう良くしたいのか」
「どんな世界を実現したいのか」
という思いからスタートしたことでしょう。
その青写真を鮮明にイメージし、毎日毎日初心に返って取り組まないと、気がつけば他の欲求に支配されてしまうのが人間の弱さです。
経営を担っていれば、マーケティング、PR活動にも取り組まれているでしょう。
その時に、「どう自社を認知してもらいたいか」
「どうすれば自社の商品・サービスが売れるか」
と自己都合の目線になっていないでしょうか?
「世の中の人に何を知ってもらいたいのか?」
その商品やサービスが必要な理由や
企業として提供したい世界観を見失わずに発信する貢献姿勢が自己実現につながります。
ファンが増え、応援社が出てきて、モノゴトは実現していきます。
株主からの評価、経営者からの評価が気になり、
期待に沿うようなこぢんまりとした発信になってしまうこともあるでしょう。
そんな時、マズローの図は初心に返るための道具だと思います。
そんな思いを込めて、1つのめ動機づけ理論として紹介をしました。
初心に返って今日の一歩を進めましょう。
明日は「X理論とY理論」です。楽しみにしてください。
動機づけ理論をまとめた資料はこちらからダウンロードできます。
動機づけの基礎理論