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内から外へ(1) 内向きの仕事を増やしてしまうのはなぜか?

安澤武郎

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テーマ:経営者向け

本年も早1ヶ月が経過しました。良いスタートは切れたでしょうか?今年の方針に向けてチームのベクトルは一致しているでしょうか?

以前のブログ(今の時代にリーダーが語るべき「方針」はどのようなものか?)でも書かせていただいたのは、「方針を持つ意義」や、そのために必要な「対話」の必要性です。今回は組織が部門トップの方針のもと、各部門の状況に合わせた課題に噛み砕き、個々の具体的アクションに繋げていく活動について、もう少しイメージしやすいコンセプトを紹介してみたいと思います。(次の図)





組織のメンバーが余計なことに捉われず、「やるべきこと」に思考や行動を集中させ、外向きにエネルギーを活用している状態と、何らかの不安や迷いの中で内向きの仕事にエネルギーを奪われている状態とに区別した場合、前者の比率はどれほどでしょうか?自分がサービスを提供する相手のことだけを純粋に考えて仕事ができている状態を100%だとして、外向きに使っているエネルギーは何%くらいでしょうか?組織内の外向きのエネルギー比率を高めることは企業の業績向上につながります。

 
昨年、営業支援をさせていただいている、あるクライアント先で「敵は外にいる(内向きの仕事にエネルギーを浪費するな)」と述べていたリーダーがおられましたが、周りとの比較や自分の損得に意識を向けると(他部門ができているかどうかを気にしていたり、上司の評価を気にしていると)、外向きのエネルギーは失われていきます。セールスマン研修を開催すると、他部門の営業マンを見て「輝いていた。自分は負けていた」と振り返る人が出てきますが、恐らく、輝いている営業マンは「どうすれば顧客が自社製品の価値を理解し、採用をしてくれるか」ということに思考や行動を集中させています。


組織の外向きのエネルギーを最大化するためには、そのために何が必要か?というと、まず「組織の方針を定める」「組織の方針と個人の人生の目的をつなげる」「個々の役割を明確にする」「成功イメージの湧く戦略・戦術を持つ」「成功できるだけのノウハウ・知識を身につけさせる」「適切なフィードバックにより、常に可能性を感じられる状態を維持する」など、組織として取り組むべきことがあります。

 
一方で、どんなに組織として良い環境が実現したとしても個人の心の中で、「他者との比較」「自分の損得」などに捉われてしまえば内向きの仕事は減りません。個々の考え方の成長も必要になってきます。人間が判断ミスをするのは、往々にして「個人的な欲」が原因にあります。

 
例えば、社内で良いところを見せたいから、「安い値段で売っていることが社内で分からないように付加価値の高い商品を隠れて販売する工夫」に四苦八苦している営業マンがいたとします。「顧客が価値を理解できるようにする」外向きのエネルギーではなく、「社内にバレないようにする」内向きの工夫ですので、無駄な仕事です。それを見ていた上司が、担当者に手柄を取らしてあげたいという私情から、その行動を承認したとするとどうなるでしょう?

 
心の中に「後ろめたさ」が生じます。そして、「バレないか?」と心配することに悩むことになります。また、そういった取り組みはまともな組織であれば必ず露見します(担当者が異動になり、その顧客を引き継いだ人は必ず気がつきます)。そうすると、「他に同じような間違いはないのか?」と調べる活動が必要になったり、引き継いだ担当者は「どう扱うべきか?」と不要なことに悩みます。これらは全て内向きの無駄なエネルギーを消費する仕事だと言えます。その出発点はちょっとした「個人的な欲」だったりするのです。

 
誰もが「幸せになりたい」という欲を持つと思いますが、そのために必要なことは「個人的な欲」から離れることです。自分の身を守ろうとすればするほど、外向きの仕事はできませんので結果が出せず、益々窮地に立たされるものです。自分の利益ばかりを追求すると、人心が離れて孤立し、利益を得られなくなるものです。人である限り、個人的な欲を消し去ることはできないかもしれませんが、自分が捉われていることを自覚し、「周りの人への貢献」や「自分の顧客への価値提供」に意識をむけ直すことがとても大切です。過去に失敗したことがあったとしても、過去は変えられませんので、今、目の前の仕事に対して、外向きのエネルギーを高めて、取り返していくことが重要です。

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安澤武郎
専門家

安澤武郎(経営コンサルタント)

株式会社熱中する組織

どのような組織にも「常識の壁」「アクションの壁」「スキルの壁」「仕事のやり方の壁」「コミュニケーションの壁」「情熱の壁」があり、能力を活かしきれていません。その壁を取り除き、組織を生まれ変わらせます。

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