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人事部門は本来の役割を果たせているのか?

安澤武郎

安澤武郎

テーマ:経営者向け

先日、社員数千人規模から1万人規模の人事部門の方に集まっていただいてセミナーを実施しました。

「どのような社員を育てたいのか、その人物像を教えてください」とのお題に、「主体性を発揮してほしい」「リーダーシップを発揮してほしい」という回答が返ってきました。そこで、そのために何をするべきか?という議論をしたのですが、参加者の発想は「良い研修をすること」が中心で、「そもそも人材育成に何が必要か?」「各組織の役割の持ち方をどうすべきか?」「現業ラインと間接部門の協業はどうすべきか?」という問いについてあまり考えられていないということが分かりました。

「企業としての存在価値」をより高めていくために、社員一人一人が「問題」を自ら発見し、解決し続けている組織を作るためにどうすれば良いでしょうか?


世の中には様々なマネジメント手法が提唱されていますが、その本質は同じようなところにたどり着きます。「良い習慣」を身につけ、当たり前にやるべきことを実践するためには、「人間の弱さ(特徴)の克服」が必要になってきます。これは、スポーツでも音楽でもそうでしょうが、型にはまると最初は窮屈に感じますが、反復訓練をすることで身につけていくことになります。マネジメント手法を使いこなすには、本質的な理解ができるまで実践が必要になるのです。

その人間についての研究や、その企業にあった実践育成法の開発をすることは人事部門の大きな役割です。そこがクリエイティビティを発揮できる面白いことですし、人事の人間にとっての主体性・リーダーシップを発揮する分野です。

しかし、現在の日本企業のこの部分をとても軽視しているのではないか?気がついていないのではないか?と危惧するデータがあります。



 昨年、経産省が「企業価値向上に向けた経営リーダー人材の戦略的育成についてのガイドライン」というレポートを発表しました。その中で、経営人材をうまく育成できている企業とそうでない企業の比較資料がありました。成功している企業とそうでない企業の教育内容を比較したものが次の図です。


教育内容


 最も差があるのが、「組織・人材論」です。日本の企業の特徴として、組織・人材への関心・投資が少ないというデータもあります。


また、次の図は10年前の数値になりますが、企業がどの分野に投資をしているのかを比較した表になります。


国別比較


先進国6カ国の中で「人材開発・組織開発」への投資額は日本が最低となっています。

 なぜそうなのかな?と疑問に思います。
日本人は元々よく働くからなのか?
単一民族で認識合わせがしやすかったからか?
組織運営の成功モデル(年功序列、終身雇用)が確立できていたからなのか?
等々考えられますが、一番の理由は競争優位に立つために組織開発の重要性が低かったからではないかと思います。

 組織を元気にするには、「取り組んだことについて結果を出す」ことが重要になりますが、成熟市場では知恵を結集しないと難しくなります。その苦労をせずとも成長し、成果を出せる時代を経験してしまったので、組織開発に目を向けられなくなったのかもしれません。

そのような時代はとっくの昔に過ぎ去り、組織力を高めた企業が勝ち残る時代になりました。組織のあり方、教育のあり方をバージョンアップさせ続ける企業を増やしていきたいと思います。

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安澤武郎
専門家

安澤武郎(経営コンサルタント)

株式会社熱中する組織

どのような組織にも「常識の壁」「アクションの壁」「スキルの壁」「仕事のやり方の壁」「コミュニケーションの壁」「情熱の壁」があり、能力を活かしきれていません。その壁を取り除き、組織を生まれ変わらせます。

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