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安澤武郎

組織変革コンサルタント・マネジメントコーチ

安澤武郎(やすざわたけろう) / 経営コンサルタント

ペネトラ・コンサルティング株式会社

コラム

仕事の生産性を高める(1/2)

2017年1月2日 公開 / 2017年8月9日更新

テーマ:マネジメント

コラムカテゴリ:ビジネス

昨日のコラムでは「生産性を向上させる」目的について書かせていただきました。
(参考 http://mbp-japan.com/tokyo/penetra/column/58071/
本日は「生産性を向上させる」方法について触れていきたいと思います。
「生産性を向上させる」ということを考えるためには、
そもそもの「生産性」の定義をする必要があります。
それを考える上でVE(バリューエンジニアリング)という概念が役立ちます。

製造業では一般的な言葉だと思いますが、
「VE(Value Engineering)」を直訳すると「価値工学」となります。
システマティックに製品やサービスの価値を高める手法として確立されています。
この「価値」を高めることが「生産性」を高めることと同義になります。

まずVEの基本公式というものがあります。

VE公式


価値(V)とは、その製品・サービスの提供する機能(F)をコスト(C)で割ったものである。
という定義です。


例えば、ボールペンであれば、
「ボールペンの芯(インク)」
「ペン先のボール」
「芯を包む筒」
「筒のふた」
「芯を固定するためのバネ」
「キャップカバー」
などで構成されています。
ポイントは、それぞれの「機能(はたらき)」は何か?ということです。

芯を包む筒であれば、「持ちやすい」というはたらきであり、
「キャップカバー」であれば、「未使用時にインクがつかない」であり、
「ペン先のボール」であれば、「必要な量のインクを送り出す」です。

それら個々の要素の「はたらき」が備わっていれば、
どんな形態であれボールペン全体として求められる「はたらき」を満たせます。
ノック式のボールペンにはキャップカバーがありませんが、
全体としての機能には変わりありません。
そこに「新しいはたらき」を加えていくと「新しい製品」になっていきます。
フリクションボールペンは「消せる」という機能が付加されたものですし、
万年筆には、「筆圧によって書き味を変えられる」という機能があります。
同じボールペンでも高級品になれば、「ビジネスシーンで一流感を示す」というはたらきも持ってきます。
一見同じように見えて、「高級ボールペン」と「100円ボールペン」は
違ったはたらきを持っているので、違った商品だと言うことができます。

このようにその製品やサービスの「はたらきを要素分解」して、
それぞれどれだけのコストをかけて実現しているのか、
要素ごとに分析をしてより価値(V=F/C)の高い代替方法を考えていく手法です。

この手法は、日常の仕事、経営、人生設計など様々な分野で同じように活用できます。
例えば、レストランの場合、レストランが提供しているはたらきとして
「おいしさ」「安全な食事」「居心地の良さ」「店舗の清潔さ」などと要素に分解し、
それぞれの機能(はたらき)をどれだけのコストで考えていけば
レストランの提供する価値を高めていくことができます。


VEを考えていくには、「製品・サービスの絶対的なはたらき(機能)」にのみ着目するのではなく、
「顧客が求める相対的なはたらき(機能)は何か?」ということから考えていく必要がありますが、
まずVEの4つのパターンを知っておくことは、
シンプルに製品・サービス・仕事の価値を高める上で有効です。


VEの4つのパターン


①コストを維持したまま(増やさないで)、機能を高める
②機能を維持したまま(機能をおとさないで)、コストを下げる
③コストを下げて機能をあげる
④コストは少し上がるが、機能が格段に上がる

の4パターンですが、ポイントは機能を落とさないことにあります。
コストを下げるだけでなく、機能も落としてしまうことをCD(コストダウン)として区別しています。
オーバースペック(過剰品質)の場合は、CDが求められることもありますが、
あくまでもVEとは機能を高めることによる価値増大を目的としています。

仕事においても、このVEの視点は役立ちます。
時間はコストであり、仕事のはたらきが機能です。

次回は仕事のはたらきに関して要素分解をし、その効率を高める視点を紹介したいと思います。

この記事を書いたプロ

安澤武郎

組織変革コンサルタント・マネジメントコーチ

安澤武郎(ペネトラ・コンサルティング株式会社)

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