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安澤武郎プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

ダブル・ループ(専門性の高め方)

安澤武郎

安澤武郎

テーマ:マネジメント

前回はダブル・ループの存在を紹介させていただきましたが、
このダブル・ループの回し方を自覚的に磨き、
企業としての競争力・存在価値を高めていく活動はどれほどなされているでしょうか?
社員の方々は自覚的にPDCAの回し方を工夫できているでしょうか?

例えば、新人・若手の育成です。
育成する際は、新人・若手の力量に合わせてどういうステップで育てていくのかを考えると思います。
ちゃんとPDCAをデザインして回しているでしょうか?
コーチングなど流行りの技術を習っているからといって、
いきなり新人に考えさせてばかりではうまくいきません。
一定程度の知識が得られるまではティーチングをすることも必要になります。
逆に「知識がないと仕事をうまく進められない」と考え、
勉強ばかりさせていても成長は頭打ちになります。

新人・若手の育成には、
「使える知識を早く身につける」X「知識がない中で乗り越える方法を見つける」
という両面が必要になります。

まず前者ですが、一定程度の知識がないと発想が広がらないということがあります。
例えば、冷蔵庫の中身を見ただけで、どのような料理をしようか思いつくでしょうか?
数多く料理をしていて、「どのような食材でどのような料理を作ることができるのか」
という知識を一定以上持っている人は考えることができますが、
素人が良いアイデアを思い浮かべることは難しいものです。
知識がない状態で創造力を発揮することはあり得ません。

また、料理本を数多く読んでいるだけではこの状態に至らないということも想像できるでしょう。
料理教室に通っているだけで料理が身につかないように、
研修を受けているだけではとてももったいない結果になってしまいます。
「使える知識」として身につけるためには、自分で実践して試す経験が必要になってきます。
使わない知識などすぐに忘れ去り、その勉強自体が無駄な時間となってしまいます。

すなわち場数を踏むことが大事なわけですが、闇雲に場数を踏んでも非効率です。
どんな工夫が考えられるでしょうか?
誰もが思いつくのは、「狙いを持った場数にする」ということでしょう。
例えば、お酒の味を覚えたいと思っても、何の予備知識なしで、呑みたい酒の狙いもなく、
ただ巡り合ったお酒を呑んでいるだけでは、なかなか覚えられるものではありません。

頭の中にmap(整理された視点や基準)を構築した上で、
「今日はここを試そう」と狙いを持って呑み進めていくと違いが認識できるようになっていきます。
このmap(整理された視点や基準)は専門家や熟練者から授かるのが効率的です。
最近、「日本酒テイスティング(北原 康行著)」という本を読んだのですが、
この本は日本酒のマップを分かりやすく提示していますので、
初心者が日本酒を覚えていく前に読むととても効果があると思います。

もう一つの工夫をあげると、「自分の感覚を自分の言葉(理論)として表現していく」ことがあります。
慶応大学の諏訪教授がデザイナーやアスリートは
「どうすれば微細な感覚の違いを感じ取れるようになっていくのか」という研究をされています。
複数の分野で同じように実証されているようです。
初心者は自分の言葉がなく、デザインやプレーの善し悪しについて、うまく表現できないのものです。
その時に、受け売りでも良いので自分の感覚を言葉に変える訓練を重ねると、
違いを表現できるようになっていきます。
そして、違いを表現できる=違いを認識できることで、
その違いに応じた工夫を加えることができるようになっていくということです。
職人・専門性を高める上でとても重要な視点だと思います。

まとめると、
「map(整理された視点や基準) X 場数 X一人称表現(自分の言葉)」
が新人や若手を育成する作戦として有効ということです。


後者の「知識がない中で乗り越える方法を見つける」という側面はどうでしょうか?
こちらの方が新人・若手にとっては重要だと考えます。
若手担当者であれば、どうすれば良いか分からない問題に必ず出会います。
営業であれば、顧客からの問い合わせに答えられないだけでなく、
思い通り商品を買っていただけない状況に遭遇するでしょう。
技術系であったとしても分からないことだらけでしょう。
その時にどうしているのか?という観点がとても重要です。

「あきらめずに顧客から聞き出しに行く」
「上司や先輩にすぐに聞く」
「部署を跨いで同年代の担当者に問い合わせる」など、
初動の早さ、早く失敗して気づく、が成長カーブを上げていきます。
相談をする際に「教えがいのある存在」になることもチェックポイントです。
頼り切りではなく、自分で勉強をして成長している人、情熱のある人、
反応のある人に対して、人は教えることを惜しみません。

「学ぶ」というのはあくまでも「使える知識にする」=「実践してみる」ということですので、
教わったことは必ず使ったり、他の人に教えたりすることで身につける工夫をしてみてほしいと思います。

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ペネトラ・コンサルティング株式会社
代表取締役 安澤武郎
公式サイト:http://penetra.jp/
お問合せ: http://penetra.jp/84

著書:『壁をうち破る方法』はこちら
http://www.amazon.co.jp/dp/4799314378/
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安澤武郎
専門家

安澤武郎(経営コンサルタント)

株式会社熱中する組織

どのような組織にも「常識の壁」「アクションの壁」「スキルの壁」「仕事のやり方の壁」「コミュニケーションの壁」「情熱の壁」があり、能力を活かしきれていません。その壁を取り除き、組織を生まれ変わらせます。

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