聴く技術(2/3)
一生使える思考技術の一つ目は「目的・あり方」に目を向ける思考です。
先日、ある営業組織の営業会議で、この目的の大切さに関する議論が起きました。
ある管理職から
「部下にやってほしい事を伝える時、伝わったかどうかを何で判断していますか?」
という質問が出ました。
この質問文の「部下」を「顧客」「仲間」「友達」「子供」などと置き換えれば、
誰もが考えるべき問いになります。
どのような答えになるでしょうか?
質問を受けた管理職の方は、
『「やってほしいこと」ではなく、
「なぜやるのか?」などの「意味合い」が伝わったかどうかで判断している』
という回答をされました。
例えば、「新商品採用後のフォロー営業が大事」という話があります。
見た目の行動は「新商品の採用店に訪問をする」ということですが、
この取り組みを見ていると、その狙い(意味合い)は様々です。
単なる「後戻り防止」のためだけに訪問をしている担当者もいます。
当然そういう狙いもあって良いのですが、
「採用して良かった(生活が変わった、商売がうまくいった)」など顧客の声を集め、
次の営業の武器(ネタ)にしていく、という狙いを持って訪問をしている営業マンもいます。
当然、狙いが違うので、準備の仕方、アウトプットが変わってきます。
武器を磨くことに繋げられた営業マンは成果を増やしていけます。
一方で、「後戻り防止のお願い」に終始をしている営業マンは、
やらなければいけない仕事が増えただけで、「大変」な状況になりますが、発展性がありません。
この管理職は、担当者が「採用後のフォロー営業をしているかどうか」
で伝わったかどうかを判断しているのではなく、
営業マンの「採用後のフォロー営業の狙いが求める水準かどうか?」
で伝わったかどうかを判断しているということです。
このように目的は「やっていることの背後に透けて見えるだけで、
ほとんど目に見えない曖昧なもの」です。
ここに落とし穴があります。
目に見えるものに目を奪われて、その本質・意図・狙い・意味合いに目を向けないと、
同じ努力をしても無駄なこと、逆効果になることをしてしまうことがあるということです。
一度身についてしまえば当たり前にできることですが、
自転車に乗れない人が自転車に乗ることを難しく感じるように、
「どうしたら目的が見えるのかもわからない状態」であることが多いものです。
改善するための最初の一歩は、
「この目的は何か?」と一つ一つの仕事のあり方を仲間と議論することです。
(つづく)
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ペネトラ・コンサルティング株式会社
代表取締役 安澤武郎
公式サイト:http://penetra.jp/
お問合せ: info@penetra.jp
著書:『壁をうち破る方法』はこちら
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