ダブル・ループ(専門性の高め方)
規定演技の必要性をもう少し身近に感じられるように一つ事例を挙げてみたいと思います。
営業プロジェクトをしていると「アポ取得」に営業担当者が取り組むことがあります。
時折、頑張り方を見ていて「マネジメント技術があれば良いのにもったいないな」と感じる時があります。例えば、「アポを100%取れないことに悩んでいて、具体的な対策を持てていない」ケースです。
野球のバッティングで考えてみると
「10割打てないことに悩んでいて、具体的な課題解決策を持てていない」のと同じです。
まず、現在地の把握と目的地の設定が間違っています。
過去の打率が2割8分であれば3割を、3割であれば、3割5分などと、
現在の実力を踏まえて、ライバルに勝つために必要な水準を目標にすべきです。
当然、毎回ヒットを打つことを目指して打席に立つわけですが、
10割打てることはありません。
ここで考えるべきは、
「どのような球を打ち損じているのか?」
「どのような投手を攻略できれば打率が上がるのか」
ということです。
闇雲に挑戦するのではなく、峠や山を見極め、
乗り越え方を話し合うことが必要です。
打ち損じの特徴を調べ、作戦を練り、練習をし、
勝負に挑んだ後に振り返りをしながら腕を磨くことです。
その結果、アポの確率は上がり、営業活動をコントロールしやすくなっていきます。
「10割成功させてやる」という気持ちがあったとしても、
具体的な技術が向上しなければ打てるようにはなりません。
このような「ものごとの進め方、成功のさせ方」がマネジメントに他なりません。
数字という人の力を発揮させる道具を使い、
必要なプロセスを積み重ね、成功するまで試行錯誤を繰り返すという営みです。
形が定着していたとしても、変化(成長)をしていなければ
形を見直していくことが必要になります。
組織として一定の力を発揮するために、仕事の進め方を標準化することが重要です。
マネジメントプロセスの標準化です。
「ゴール設定(目的地を決める)」
「アクションプラン(地図を描く)」
「差異分析(峠や山を乗り越える作戦を立てる)」
「問題解決MTG(話し合う場を持つ)」
「行動計画(時間という限られたリソースを有効に使う)」
などは、大変革時代に冒険をしている企業の規定演技です。
「行動の標準化」も有効ですが、
それでは変化の早い時代には陳腐化してしまいます。
少し抽象度を上げて「視点の標準化」をし、
各人が視点から行動を導き出せることを目指しましょう。
取り組み方や中身は自由演技ですので、
面白おかしく挑戦して頂ければと思います。
(次回シリーズは、この「抽象化」のお話です)