デジタル時代の子どもに必要な「見る力」―眼球運動とビジョントレーニングの大切さ
「わからないから教えて」
子どもにそう言われると、私たちはつい答えを教えてあげたくなります。
今は、わからないことがあればスマートフォンやタブレットですぐに検索できます。
以前なら、本で調べたり、人に聞いたり、試行錯誤しながらたどり着いていた答えも、今では数秒で手に入ります。
これは便利なことですが、「答えを知ること」と「自分で考えること」は同じではありません。
だからこそ私は、幼少期から「自分で考えてみる時間」を大切にしたいと思っています。
「どうしてだと思う?」
「どうしたらできるかな?」
「ほかの方法はないかな?」
すぐに答えを教えず、少し待ってみる。
その小さな積み重ねが、考える力につながっていきます。
そして、考える力の土台には「感覚統合」も関係しています。
私たちは、見る・聞く・触る・動くといったさまざまな感覚から情報を受け取り、それを脳で整理しながら周囲の状況を理解しています。
だからこそ、幼少期に体を動かしたり、さまざまな感覚を使ったりする経験は、単なる遊びではありません。
「見て、感じて、考えて、試してみる」という経験そのものが、子どもの成長につながります。
これは、私のピアノレッスンでも大切にしていることです。
小学校低学年の子どもには、楽譜の挿絵を見ながら「この絵を見てどんな曲だと思う
?」と問いかけます。
高学年になると、楽譜に書かれた強弱記号をそのまま弾くだけではなく、「自分ならどこを強く、どこを優しく弾きたい?」「どこを一番盛り上げたい?」と伝え、自分で強弱を書き込んでもらうこともあります。
正解を教えるのではなく、自分で感じ、自分で考え、それを音で表現する。
これはピアノの技術だけではなく、「自分で考えて判断する力」を育てる経験だと考えています。
ネット社会そのものが悪いわけではありません。
むしろ、情報を得る力はこれからの時代に必要です。
だからこそ大切なのは、情報を得たあとに、
「私はどう思う?」
「本当にそうなのかな?」
「ほかにはどんな方法がある?」
と、自分自身に問い返す力ではないでしょうか。
答えがすぐに見つかる時代だからこそ、子どもたちには「答えを与えること」だけではなく、「考える時間」を与えてあげたい。
その土台は、幼少期の遊びや体験、そして日々の大人との関わりの中で育っていくのだと思います。


