デジタル時代の子どもに必要な「見る力」―眼球運動とビジョントレーニングの大切さ
「何度言っても席に座れない」
「授業中に歩き回ってしまう」
「突然教室を飛び出してしまう」
教育現場や子育ての中で、このような子どもの姿に戸惑った経験がある方は少なくないでしょう。
大人はどうしても目に見える行動に注目してしまいます。
そのため、「落ち着きがない」「話を聞いていない」「わがまま」といった評価につながることがあります。
しかし、その行動の背景に目を向けてみると、違う景色が見えてくることがあります。
私は日々、子どもたちと関わる中で、「困った行動」と呼ばれるものの多くが、実は子ども自身の困り感の表れであると感じています。
例えば、授業中に身体を動かし続ける子がいます。
周囲からは集中していないように見えるかもしれません。
けれども本人は、身体を動かすことで感覚を調整し、何とかその場に留まろうとしている場合があります。
また、急に教室から出て行ってしまう子もいます。
その行動だけを見るとルールを守れないように感じますが、教室の音や光、人の気配などが刺激となり、耐えきれなくなってその場を離れていることもあります。
このような子どもたちを理解する上で参考になるのが、「感覚統合」という考え方です。
私たちは普段、目から入る情報、耳から聞こえる音、身体の動きや位置、バランス感覚など、たくさんの感覚情報を脳で整理しながら生活しています。
そして、それらをまとめて処理し、状況に合わせて行動する力を感覚統合と呼びます。
この働きがスムーズであれば、周囲の環境に合わせて行動しやすくなります。
一方で、感覚情報の整理や調整に難しさがあると、周囲が当たり前にできていることにも大きなエネルギーが必要になります。
発達障害のある子どもの中には、この感覚の処理に特徴を持つ子も少なくありません。
だからこそ、行動だけを見て判断するのではなく、その背景にある感覚や身体の状態を想像することが大切です。
「なぜできないのだろう」
ではなく、
「何に困っているのだろう」
という視点に変えてみる。
それだけでも、子どもへの関わり方は大きく変わります。
実際に、子どもが安心できる環境を整えたり、見通しを持てるようにしたりすることで、問題行動と呼ばれていた行動が減っていくこともあります。
もちろん、すべての行動に感覚統合が関係しているわけではありません。
家庭環境や発達段階、その日の体調や気持ちなど、さまざまな要因が影響します。
だからこそ、目の前の行動だけで判断するのではなく、多角的に子どもを理解しようとする姿勢が求められるのです。
子どもたちは、自分でもうまく説明できない困りごとを抱えていることがあります。
そのサインが、私たちには「困った行動」として見えているだけなのかもしれません。
もし目の前に理解できない行動をする子がいたら、一度立ち止まって考えてみてください。
その子は本当に困らせようとしているのでしょうか。
それとも、何かに困っていて助けを求めているのでしょうか。
子どもの行動の見方が変わると、関わり方が変わります。
そして関わり方が変わると、子どもの表情や成長も少しずつ変わっていくのです。


