聴覚過敏の子との音の関わり方
昔のピアノレッスンでは、
「楽譜にドレミを書いてはいけません」
「自分で書き込みをしてはいけません」
と言われることが少なくありませんでした。
“自分の力で読む”
“繰り返して覚える”
そんな学び方が当たり前だった時代です。
もちろん、その方法で力をつけてきた方もたくさんいます。
ですが私は、読譜やソルフェージュに苦手意識を持ち、結果的にレッスンが嫌いな子どもになってしまいました。
だからこそ今、子どもたちと向き合う中で感じるのは、「学びやすさ」の形は一人ひとり違うということです。
今の子どもたちを見ていても、「何も書かずに演奏すること」が難しいと感じる場面は少なくありません。
昔の私のように、
・音符を読むことに苦手さがある
・視覚的なサポートがあると理解しやすい
・頭の中だけで整理することが難しい
・「どのくらいやればできるようになるか」が見えにくい
そんなお子さんにとって、ただ頑張るだけの練習は、とても不安の大きいものになってしまいます。
また、感覚統合の視点から見ても、視覚から情報を整理できることで安心して取り組める子どもたちは少なくありません。
だからこそ私のレッスンでは、「アウトプットしながら学ぶこと」を大切にしています。
実際にレッスンで取り入れていることとして、
・音符に色を塗る
・必要に応じてドレミを書き込む
・リズムを見える形にする
・苦手な部分に印をつける
などがあります。
こうした方法は、甘えではなく、理解を助けるための大切なサポートです。
特に音符に色をつけることは、リトミックのレッスンから取り入れている方法のひとつで
「どこを見ればいいのか」
「何の音なのか」
を整理しやすくし、読めない不安を減らしてくれることがあります。
また、私が大切だと感じているのは、努力を見える化することです。
私の教室では毎日ピアノを弾いた回数を「正」の字で書いていくを家庭での練習の際に取り入れてもらっています。
すると、
「今日は3回弾いた」
「10回やったら弾けるようになってきた」
というように、自分の頑張りや変化を視覚的に理解しやすくなります。
子どもたちは、「もっと練習して」と抽象的に言われても、
どのくらいやればできるのか
が見えないと、不安になったり、やる気を失ったりすることがあります。
ですが、具体的な回数や積み重ねが見えることで、
「このくらい練習すると弾けるようになるんだ」
という成功体験につながっていきます。
これは、自己肯定感や「やってみよう」という気持ちを育てることにもつながる大切なプロセスです。
もちろん、最終的には色や書き込みがなくても読めるようになることが理想です。
ですが、その前に必要なのは、安心して学べること。
「その子に合った学び方」を見つけることで、子どもたちは少しずつ自信を持ち、自分から取り組めるようになっていきます。
これからの時代は、“できる子に合わせる”のではなく、
“一人ひとりに合った理解のしかたを発見すること”
が、ますます大切になっていくのではないでしょうか。


