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今年、出入国在留手続が施行されそうなもの、検討中なもの 他メルマガ第226回、2024.2.1発行

折本徹

折本徹

テーマ:過去のメルマガ、85号から

今年、出入国在留手続が施行されそうなもの、検討中なもの 他
メルマガ第226回、2024.2.1発行
<2002年(平成14年)10月創刊>

行政書士の折本徹と申します。
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
読者の皆様にとって、良い1年になることをお祈りしています。
また、能登半島地震で被災された方達、お見舞い申し上げます。
一日でも早く、普段に近い生活に戻られることお祈りしています。

今年も、時期に関係なく(古くても)、新聞・雑誌・書籍に掲載された、
外国人にまつわる内容で、興味深い記事を紹介・簡単なコメントや、
このメルマガは、平成14年(2002年)の10月から発行しているので、
過去と現在は、どのように違ってきているのか、の視点で書きたい、
とも考えています。

A 令和5年6月に改正された入管法
B 技能実習の見直しなるか?
C 実現できるか?タクシーやバスのドライバーの在留資格
D 高度外国人材に賃貸住宅(デジタルノマドへの布石?)と外国人家賃保証



A 令和5年6月に改正された入管法

去年の6月に国会の審議が終わり、法律が公布されたことはご存じだと思います。
直ぐに手続きが開始されるのではなく、周知期間を置く制度もあります。
概要は下記のとおりです。


[保護すべき者を確実に保護]

1 「補完的保護対象者」認定制度
・条約上の難民ではないが、難民に準じて保護すべき者を保護
・安定した在留資格の付与、制度的裏付けのある支援の実現

2 在留特別制度の適正化
・申請手続きの創設
・考慮事情の明示
・不許可理由を告知する規定の整備
・在留特別許可と難民認定手続を分離

3 難民認定制度の運用の見直し
・面接における申請者の心情等への適切な配慮
・難民の出身国情報の充実
・難民調査官の調査能力の向上


[送還忌避問題の解決]

1 送還停止効力の例外規定
・現行法上、難民認定申請中は、何度でも一律に送還停止できる
 →その例外規定の創設
 3回目以降の申請者、3年以上の実刑前科者、テロリストなど
 3回目以降の申請でも、
 難民等と認定すべき「相当の理由がある資料」を提出すれば送還停止

2 罰則付きの退去等命令制度
・現行法上、送還が困難な以下の者につき、退去の命令する制度を創設
 →自ら帰国を促す
 退去を拒む自国民を受け取らない国の者、航空機内で送還妨害行為に及んだ者

3 自発的な帰国を促すための措置
・摘発された者等でも、自発的に帰国する場合は上陸拒否期間を短縮
 →5年を1年


[収容を巡る諸問題の解決]

1 収容に代わる監理措置
・監理人の監理の下で収容しないで退去強制手続きを進める措置の創設
・個別事案ごとに、逃亡のおそれに加え、収容により本人が受ける不利益も考慮し、
 収容か監理措置かを判断
・本人及び監理人の届出義務等
・逃亡等の防止に必要な場合に限り保証金を納付
・被収容者につき、3ヶ月ごとに収容の要否を必要的に見直す

2 仮放免の在り方の見直し
・健康上の理由に基づく仮放免請求は、医師の意見を聴くなど、
健康状態に十分配慮して判断すべきことを明記

3 適正な処遇の実施
・常勤医師の兼業禁止を緩和
・強制治療に関する規定(拒食対策)
・制止要件の明記
・3ヶ月ごとの健康診断
・職員への人権研修の実施など


[その他]
デジタル証拠収集
16歳未満の外国人の在留カード等の有効期間の更新申請など


既に開始されたものとして、「補完的保護対象者」認定制度があります。
出入国在留管理庁のウェブサイトには掲載されています。
紛争避難民が対象になるようで、今のウクライナやパレスチナを始めとする、
紛争地での被害者と言ってよいのかと思います。
好まないのに紛争に巻き込まれた一般の人達なのでしょうね。

個人的に注目しているのが、「在留特別許可制度の適正化」です。
公布から1年以内に開始するようなので、今年の6月までには開始するのでしょうね。
・申請手続きの創設
・考慮事情の明示
・不許可理由を告知する規定の整備
・在留特別許可と難民認定手続を分離
が挙がっています。

今までとどのように違うのか?その公表が待たれるところです。

話は変わりますが、個人的な感覚として、在留特別許可を求める人達の中には、
難民条約上の難民
紛争地からの避難民
出身国では迫害や紛争の理由ではなく経済的弱者となっている経済難民
と少なくとも3つのカテゴリーがあるように思えます。

ちなみに、難民認定申請と補完的保護対象者(ざっくり言って、紛争避難民)の申請ですが、
現時点では、単独での補完的保護対象者の申請は想定しておらず(→申請は可能)、
難民認定申請と同時申請を想定しているようです。

まず、難民認定申請の審査をして、該当しない場合に、
補完的保護対象者の審査をするとのことです。
もちろん、難民認定申請の調査や審査中に
補完的保護対象者に該当するのでは?の見当はつくかもしれません。

不法残留者の難民認定申請ですが、
婚姻等の人間関係からの在留特別許可の可能性が高いのであれば、
そちらを優先したほうが良いのでは?と個人的には思います。
そして、在留特別許可手続中に、難民や補完的保護対象者に該当しているかも、
となるのかもしれません。

話は戻りますが、在留特別許可のガイドラインは公表されていますが、
考慮事情の明示については、期待したいです。



ここからは、協議中、検討中なので、簡単に紹介します。


B 技能実習の見直しなるか?
 昨年、政府の有識者会議が最終報告書をまとめました。
技能実習生の労働条件の悪さは、なかなか改善しませんが、
その一つの手段なのでしょうが、転職を広く認めよう、との提言です。
 現在は、技能実習生は原則として転職できませんが、
「同一企業で就労が1年超なら同じ分野での転職は可能。ただし、一定の技能や日本語能力が条件」
との提言です。
 他に、実習生が払う費用を実習先が一定の負担をすることも提言されたようです。

 実習先のなかには、実習生に支払う賃金以外、寮費や職場までの送迎費用などにもお金をかけていますが、
「単純に賃金水準が高い企業に移ってしまう」という不安があり、
それを反映してか、その後、自民党の外国人労働者等特別委員会で
「当分の間同一企業で最低2年間の就労」との提言されたそうで、
まだまだ紆余曲折がありそうです。

 どちらにしても、
監理団体型の技能実習は、実習先が自社で外国人材を集めることができず、
外国の送り出し機関に頼る、という構図は変わらないなら、
不透明なお金のやりとりは温存される可能性があり
「借金をさせられ、それが重荷になり、劣悪な労働条件の場合、それを我慢するか、失踪するか」
の事情はかわらないのでは?と思います。


C 実現できるか?タクシーやバスのドライバーの在留資格
 タクシー、バスのドライバーなどの人手不足は、配送ドライバーと同様、深刻な問題になりそうです。
外国人の場合、働く在留資格、例えば、在留資格特定技能でも対象としていませんが、
国土交通省では関係省庁と協議しているようです。
それに先立ち、車に客を乗せるために必要な2種免許合格のために、20の言語に対応できるよう、
警察庁で、翻訳した例題を配布して環境を整えるようです。

「永住者」など就労制限のない在留資格がありますが、
日本語能力が壁になるようで、外国人運転手は少ないようです。
日本国内の利用客としては、タクシー会社のような会社に関与してもらった方が、安心かもしれません。
 
尚、「林業」「木材産業(木材加工)」「鉄道(運転士、駅係員、軌道や電気設備整備)」
も、検討するようです。

 それと、前述している、技能実習生の仕事もそうなのですが、
ソーシャルワーカーの仕事は、社会的な価値が高い割には、賃金が安いので、
今後、外国人も就職したがらない、という傾向が出てくるかもしれません。


D 高度外国人材に賃貸住宅(デジタルノマドへの布石?) & 外国人家賃保証

昨年の12月31日などの日本経済新聞の記事によると、
大手不動産会社が、1ヶ月から1年程度滞在する外国人向けの賃貸住宅を、
2030年までに10,000戸供給するそうです。
首都圏を中心に、賃貸物件を借り、ベットや家具を揃えて転貸するそうで、
英語でオンライン契約やアプリを通じて生活相談にも応じることを検討しているようです。
まずは、渋谷や新宿などの都心部ではじめて、家賃は30-50万円程度が中心とのことです。
対象者は外国人経営者や社員で、デジタルノマドも視野に入っているようです。

外国人は借りにくいことや、敷金や礼金や存在、ゴミ捨てや防災など生活習慣がわからないことについて、
サポートがあれば助かるのではないかな、と感じます。

以前、メルマガで紹介しましたが、デジタルノマドについては、現在、その専用の在留資格はありません。
将来を見据えて誘致をするために、環境整備を進めているのでしょう。
尚、デジタルノマドについては、国内の企業だけではなく、
海外の企業との雇用契約や業務の委任契約も対象になるでしょうから、
ワーキングホリデーのように、海外の日本大使館で決裁になるかな、と思ったりします。
また、空き家の活用もあるでしょうから、都心だけではなく、地方も期待しているかもしれません。

→ その後の報道では、デジタルノマドビザは
在留期間は6ヶ月
年収1,000万円以上
査証免除国・地域の人
民間医療保険の加入
で、話を詰めるみたいです。


<外国人家賃保証>
クレジットカード大手の会社が、外国人専用の家賃保証サービスを始めるそうです。
高度外国人向けの賃貸住宅もそうですが、海外の外国人受け入れ拡大を見越してのビジネスみたいです。
家賃保証は、
借り手が家賃を払えなくなったときに、借り手に代わって大家さんに立て替え払いをする、
という制度です。
外国人達は、日本人よりも住まいが借りにくい状況でありますが、
大家さん向けの家賃保証、本人には銀行口座開設の紹介、入居後の相談も支援するようです。
入国する前から家賃保証の審査、生活に必要な事柄を支援するらしく、
大家さんにとっては安心感、外国の人達にとっても安心感、が満たされるのであれば、
良いサービスなのかな、と思います。

さてさて、どこまで可能になるのか、わかりませんが、注目していきましょう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

今年も偶数月(2,4,6,8,10,12月)にお届けする予定です。

このメルマガも、平成14年(2002年)の10月から発行していて、
何気に、20年目に入りましたので、今後も引き続きよろしくお願いします。

過去のメルマガが読めます(85号から)
https://mbp-japan.com/tokyo/orimoto/column/?jid=1300156

このメルマガは、まぐまぐを利用して発行しています。
解除は 
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よりできます。

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折本 徹 行政書士事務所

日本に住んでいるフィリピン人コミュニティを開拓し、相談を受ける事からスタートしました。その後、中国人、ネパール人、ベトナム人などの外国人、取扱う分野を拡げ、経験を積み、20年以上になります。

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