シニア起業・独立で抑えておきたいポイントとは?
【はじめに】
長く起業・独立についていろいろな事例を紹介してきましたが、
一つとして同じパターンでの成功事例は無かったと思います。
まあ、成功の判断をどこに置くかによっても変わってきますが、
特に脱サラしての起業を目指す方はそれなりの高い目標を掲げてます。
今日はあくまでも私が個人的に思いついた
起業の3つのカタチを紹介したいと思います。
1)1から10を目指す
最も多くのケースで見受けられます。
1という既に存在している業務、市場の中に身を置いて
その中で差別化を図り競合他社との凌ぎ合いを図るものです。
一般的には「後塵を拝す」「新参者」の立ち位置からのスタート、
商売であれば、一般的には立地面での差別化や商品力、価格訴求力、
等での差別化で存在感を高めていくという流れでしょう。
今のトレンドだから流れに乗っていきたい。
競合は多いが市場規模が魅力的なほど大きい、有望。
流れにさえ乗れれば食べていけるだけの収入は確保出来る。
一番容易な選択は全国規模のFCの参加で独立をすれば
一定の売り上げはほぼ計算出来るのではないでしょうか?
ですが、そのチェーン全体が競合他社に圧倒され始めたら?
気まぐれなユーザーの関心が他に移ったら?
同じパターンの集団は根こそぎ刈り取られてしまいます。
現状がいくら盛況でも次の一手を常に意識しておきませんと
ある日突然の「ゲームセット」を宣告されるのです。
今をベースに何を考えるべきなのか?
単純な事例では、まず営業時間の変更でしょう。
コンビニの雄、セブンイレブンは社名の示す通り当初は朝7時から夜11時までの
営業でしたが、ほどなく24時間営業に変更されました。
出勤前、朝食の準備の時間帯から夜食購入までの時間帯でも十分これまでの
小売店界の常識を覆すものでしたがさらに一歩進めた結果、深夜に働く職業の方や
翌日の為に買い忘れた品を入手できるといった利便性で話題を独占しました。
さらに、今では高齢者や単身赴任のお父さん向けの食事の供給や
おひとり様用のボリュームの総菜や自炊用食材の展開など
変化する社会の形態に合わせた品ぞろえに気を配っています。
かくいう私自身、ほぼ毎日顔を出して総菜や一人用の食材の恩恵に浴してます。
品揃えといった形でも1から10へ発展させることが可能なのです。
2)0から1を生むことを目指す
1という既存のベースありき、ではない中での起業も考えられます。
先に挙げたコンビニ業界では今では宅配便の受付から書籍の取り置き、
粗大ごみの処理券から切手類の販売、さらには住民票の写しの取得など
昭和の時代では全く想像の範疇外だった商売を兼務しています。
全国規模の通販ではコンビニ払いで24時間支払いが可能ですから
先にも書いた書籍から全国の名産品、コンサートチケットも
自分の自由な時間帯で支払いが出来るのです。
公的文書類の交付などはいわゆるお役所仕事の典型だった
平日9時から15時までといった時間の制約に長年苦労し、
それでも仕方ないことと割り切るしかなかった現状を
大きく変えてしまいました。
恐らくこれらの舞台裏では
長い時間をかけて関係各所との調整や説得が繰り返されたでしょう。
誰もが「これが当たり前」と思ってた仕組みをひっくり返す。
まさに0からの1を生み出す事例ではないでしょうか?
3)100を0にすることから始める
既存の市場、流通システムを否定するという流れは
インターネットの台頭抜きでは語れませんね。
100から0になる業界をひとつ挙げるとすれば、
遺憾ながら書籍関連の小売販売の業界ではないでしょうか?
電子書籍やネット通販の台頭は
今では個人経営の書店のみならず全国展開の大型書店まで影響を受けてます。
特にヨドバシカメラ等の異業種での通販の取り扱い拡大も脅威です。
電子書籍を利用する方に尋ねますと
なんと言っても置き場所の悩みがないこと、だそうです。
文庫本と言えども蓄積すればかなりの場所を占有します。
ましてハードカバーや全集となればあっという間に部屋を
埋めつくす事になり兼ねません。
今の若年層の部屋の中では許される保管場所がかなり限られます。
住宅事情も含めて、現物の所有には課題が大きいのも事実です。
~近い将来「書斎・書庫・書棚」という言葉が死語になるかもですね。
他にも布団の中でも照明不要で読める、食事や移動中でも
ながら読書がし易い等も現物の本にはないメリットでしょうか?
そんな中でも何と言っても本は現物の紙で、という方は存在します。
ですが、ネット通販では自宅に居ながら新刊、既刊、なかには古本も
即座に検索でき、確認が取れます。
購入する場合も24時間可能で、加えて会社によっては送料無料で
対応してくれます。
配達もオーダーした時間帯によっては
なんとオーダーした当日夕方までに配送されるケースも!
おまけに送料無料であればそのメリットは否定出来ないでしょう。
従来のように書店在庫の確認も出来ないまま
バスや電車で出向いていく、酷暑の夏でも厳寒の冬でも
自分から動かなければ購入出来ないという「苦役」から解放されます。
私のように当てもなくふらりと書店に入り、いろいろなコーナーを
巡る中で生涯の友となるような本を偶然発見した時の感動は
得難いものがあるのですが、先の通販のメリットと比較すれば
今ではかなり劣勢の様です。
かくいう私自身、週刊誌やコミック等が最寄りのコンビニにない
(既にここでも書店離れしてますが)場合には即座にヨドバシの通販で
翌日配送の恩恵を享受しています。
もはや時間をかけて足を運ぶのは神保町の古本探しだけ、
という区分けが出来かけているのも事実です。
こうなると新刊・話題の書はまずは電子書籍で、
気に入った場合は紙の本をネット通販で購入となり、
古本だけは古書店の店頭を巡るといった棲み分けになりそうです。
他にも個人的趣味を例にとりますと
プラモデルなどはより深刻で個人経営の店舗は
カメラ系の大型量販店の前に駆逐されつつあり
その量販店でも今では店頭販売よりもネット通販での
売上の方が主流になっているようです。
昔は偶然店に出向いたときに新製品の展示や
発売の告知チラシを見つけて興奮したのですが…
実物を見て、触れて、店主と会話して、購入という流れは
近い将来見られなくなるのではと覚悟している次第です。
この様な趣味的性格の強いものほど
今の販売形態が一気に変わることが容易ではないでしょうか?
【終わりに】
何事も王道を極めるという選択もあれば
新たな道を切り開くという選択もあるのです。
ランダムに事例を紹介しますと
食の世界では当初はおにぎりサイズでひと口で口に入らなかった
江戸前鮨は客の要望で半分に切って提供し始め、
その後切るのは面倒となって最初から2つに分けて握る、
長く寿司屋の鮨と言えば2貫で1セットが定番となりました。
天丼も当初は別々に提供されたものを面倒だから一緒の容器で
という客の要望と店側の洗い物の削減のメリットから生まれたと
聞きますし、博多の長浜ラーメンも食事時間もままならない
市場のメンバーの声を受けて食事時間の短縮のために
茹で上がりの早い細麺にして、さらにバリカタ、粉落としなどの
一見すれば調理不十分ともとれる調理法を
長浜ラーメンの「ウリ」としてしまいます。
共通するのはお客側の声を聞き入れている点です。
大きすぎて食べにくい、別皿にとって食べるのが面倒、
一秒でも早く料理を提供して欲しい…
この時に「これがこの料理の食べ方」で押し切っていれば?
下手をするととっくに廃れた料理になったかもしれませんね。
派生形としては今までは「場違いなメニュー」の例としては
日本そばの店で「中華そば」「カレーライス」「オムライス」
くらいでしたが、今や回転寿司店では「天ぷら」「カレーライス」「ラーメン」
果ては「デザートメニュー」までバラエティ豊か過ぎる状態です。
鮨、天ぷら、鰻の和食の老舗でワインのメニューが常備される風景も
ごく当たり前になってきました(なぜかフレンチやイタリアンの
レストランには焼酎のメニューはありませんが)
これらはユーザーからの要望だったのか、店側のチャレンジなのか、
各食品業界の思惑なのかは私には分かりません。
ですが、今では立派に市民権を勝ち取っているのも事実です。
老舗はこうあるべし! という概念も見直す時期なのでしょうか?
次に身近な例としては100円ショップがあります。
本当に感心するくらい店に行くたびに新しいアイテムが展示されて
それがまた実にピンポイントのニーズに応える品々です。
なるほど、その手があったか! なぜ今まで気づかなかった!
こんな感動がほぼ毎回のように生じています。
アイデア商品も発送したのは別にプロの職人でもなく
普通に暮らしている一般人が覚えた不便を解消する為の
思い付きという例は少なくありません。
今では目にしませんが消しゴム付きの鉛筆は
それまで別々にあったものがひとつになれば
いちいち消しゴムをさがす手間が省ける、失くすリスクが減る
という発想で生まれたものです。
他にも芋等の野菜類の皮むきに関しても
以前は包丁を駆使して作業するのが当たり前で
その為には包丁さばきを修得するという関門がありましたが、
今や飲食店でもピーラーを使う時代です。
職人なら別でしょうが自炊する場合に包丁の技術を
磨くよりも確実に怪我をすることなく、キレイにむける
ピーラーを使うことは合理的です。
これらも大多数の一般の方々は
「仕方ない」「こういうものだから」
で済ませてきました。
起業の際の無視出来ないポイントとして
「表に出ていないがずっと継続している不便、不満」
「誰もが仕方ない、これが常識と思っていること」
を的確に把握して
「潜在的なニーズやウォンツの発見と解決策の提案」
に結び付けられるかが重要なポイントではないでしょうか?
世間が当たり前、当然のプロセスと思っているものにこそ
もしかすると0から100を生み出す、または100を0にする
インパクトある商機が潜んでいるかもしれません。
これから起業・独立を目指す方々、
貴方が目指すのはどのタイプの起業・独立でしょうか?




