40代独身男 ~直面する問題とは?
【はじめに】
今さら言うまでもなく私の業務は相談業務です。
親子の問題から起業・独立への逡巡、はては婚活迄?
最近は多方面からの相談が入ってきます。
ほぼ本来の行政書士の業務に関する相談ではなく、
ある種の人生相談のような趣です。
幸いにして以前相談業務を受任した方からの
口コミでの新規相談者が増えてきており、
その意味ではありがたいことなのですが…
【悪気はない仲介者~仕事編】
具体的な事例で説明しましょう。
ある資格を取得して半年と言う「新人士業従事者」のケースです。
念願の試験合格を果たし、晴れて事務所の看板を掲げたものの、
全く電話もメールも無し! 日々家賃と経費だけが通帳の口座から引き落とされる。
これではいけないと、まずは仲間造りをしようと考えた結果、
同時期の開業者との横の繋がりを築くと共に、業界の先輩と繋がることで
開業当初の運営アドバイスや業務上の相談相手も見つけられたらという思惑で
受験の際にお世話になった一種の受験サークルが主催するOB会に入会したそうです。
ですが、入会後は毎週のような講習会とは名ばかりの飲み会や
新たな入会者勧誘の為のセミナーへ半強制的に参加させられたそうです。
期待していた経験豊富な先輩からは自らの成功談の独演会で、
事務所見学の際はいきなり雑用を命じられたとのことでした。
同期の開業者も自分と同様で、毎回愚痴を言い合うだけで
早々に見切りをつけて退会しようとしたのですが、
早期の退会では会の中で印象が悪くなると「指摘=脅し?」され
止む無く今も会費を払い続けて無意味な会合に出席している、
仕事さえ見つけられればさっさと退会するのだけども
今のところ、相談獲得の実績はなく、営業の仕方もわからない。
概ねこういった内容の悩みでしたが、問題がありました。
上記の内容は全て「彼の親友」と称する第三者からの代理相談でした。
相談に訪れた彼曰く、
「〇〇君は人見知りで、ひとりじゃ相談出来ないんです。」
「だから私が仲介して相談の日程や料金等を彼に伝えますから。」
「もちろん、相談の際は私も付き添うので口下手な彼の補助もしますので。」
おまけに、今回の相談は開業初心者当人の意向でもなく、
親友の「思いやり」~おせっかい?からの相談でした。
【悪気はない仲介者~起業・独立編】
次の事例は、起業志望の方(の代役の方)からの相談でした。
「彼女は今〇〇の仕事に就いていてもう10年、
今では幹部と言える実力の持ち主です。」
「ですがなんだかんだ理由をつけられて3年間昇給ゼロなんです。」
「最近になって彼女の顧客からいつでも独立して自分の店が持てる。」
と太鼓判を押されて、その方の伝手で資金面のサポートのめどもつきました。
ですが、
なんといってもここまで育ててくれた店(とオーナー)に不義理は出来ないと
最後の決心がつけられなくて悩んでいる。友人として歯がゆい思いしかしない!
何か彼女が円満に退社するためのアドバイスが欲しいというものでした。
そしてこれもまた、「自称彼女の無二の親友」からの相談だったのです。
共に、正真正銘の友人であることに間違いはないようで、
全くの善意からの「助っ人役」を買って出たと思われました。
相談内容から見ても助っ人2人には何のメリットもない話で、
いわゆる身内の中の争族等のような利益目的等の打算は感じられない内容でした。
これもまた、当人は私の様な専門家に相談するとは一言も言ってない、
あくまでも見るに見かねた親友の善意の発露、でした。
【悪気はない仲介者~夫婦編】
最後の事例は夫婦間での話です。
最近父親が亡くなり、葬儀など一通りの手続きを済ませ、遺品整理を始めた。
その中で亡父が収集していた地元の郷土史の資料や過去に存在していた特産品等
今では入手不可能な品々があるのを確認し、資料館として後世に残したい。
亡父も生前に似たようなことを口にしていたとのことで、
故人の遺志を叶えてあげたいというものではあったのですが…
実は彼の配偶者の父親の話でした、要は義父の遺産の問題だったのです。
相談時は義理の息子さんである相談者だけで来所されており、
念の為この件は相続人たる奥様の意向がどうかを質したところ、
「妻はまだ完全には癒えていません、なので私が代わりに考えました。」
何と、奥様に相談すらしていなかったのです!
非常に細部にわたって検討された話ではありましたが、
残念ながらそこに当事者たる奥様の意向は全く含まれていなかったのです。
穿った見方をすれば、妻の相続財産を我が物にしたいとも取れかねない話でした。
【相談は当事者だけと対面で】
ここに紹介した事例は
前述したように相談に来られた当人には何のメリットもない話です。
最後の資料館設立の件も後の面談で全く妻を思っての行動と確認来ました。
とはいえ、悩んでいる本人の考えの全てを他人が把握など出来ません。
友人との世間話の中でつい雰囲気で口にした愚痴や弱音の程度かもしれません。
先の2つの事例は相談に来られた「友人」の思い込み、勘違い、おせっかい…
これらの部類ではないでしょうか?
妻の亡父の遺品の件も相続の手続きで疲弊している妻の負担軽減を
考えての早手回しの行動だったのでしょう。
~ちなみにこの事例の結末は帰宅した夫が自分の考えを初めて妻に伝えたところ
案の定、決めるのは私!勝手に青写真作らないで!勝手に相談しないで!
と3連発で厳しい指導を長時間受けたそうです。お気の毒でした。
我々(専門家)に相談する際にはまず問題を抱える本人からの相談である事、
さらに面談の際には当人一人だけとの面談とすることは譲れない点なのです。
本人が口下手だから、人見知りするので、は理由にはなりません。
そもそも相談するまでの深刻な問題と当人は捉えているかもほぼ未確認、
友人の目からの情報だけでの判断では却って当人には有難迷惑になり兼ねません。
これは友人だけでなく親子、夫婦、兄弟でも同じことです。
悩みの本質は当事者しか分かっていません、親であっても夫婦であっても
他人の心情を完全に把握出来ることはないというのが私の考えです。
電話なり、メールなりで最初のコンタクトをとるのも当事者から、
相談時は1対1での面談とすることが大原則と言うことを理解して欲しいです。
中には面談の日程だけは私が代わりに調整して当日は本人一人に行かせます、
といった粘る「仲介者」もいましたが、面談の有無や日程を含め第三者に知らせる
といった行為もお断りしています。これも個人情報の範疇なのです。
【終わりに】
今回紹介した事例は「悪い人はいない」中でのNGな行動でしたが
そこまでする? と知人から言われたこともありました。
面談は当事者ひとり、これを徹底するのは多くの場合、遺産相続の場合です。
電話では旦那さんの遺産相続の件で旦那さん一人の面談のはずだったものが
実際には奥さんがしっかり同席し、相続人たる旦那さん以上に会話してきました。
典型的な口数の少ない、おとなしそうな旦那さんで恐らく言いたいことの半分も
言えなかったと思います、本当に相談したいことも口に出来なかったような。
他にも息子さんの早期退職からの起業・独立の相談に親が同席し
考え直せ、認めないの一点張りで私の眼前で親子喧嘩を始める始末でした。
本人が優柔不断だから、人がいいから、要領を得ないから…
いろいろな言い分があっての「強硬手段としての同席」に奔った。
気持ちはわかりますが、それを安易に受け入れては相談された問題の
解決には絶対に至りません。却って人間関係に亀裂を生じさせるリスクを
招きかねないのです。
新規の相談者から連絡を受けた際には、
「相談する件はご家族に伝えているか、伝えていないか?」
「相談内容についてご家族も知っている話かどうか?」
の確認を入れるようにしています。
家族に内密の場合はこちらからの折り返しの連絡先を必ず確認します。
特に固定電話からの相談の場合、返信電話を家族が応対する可能性があれば
別の連絡先を確認するのは当たり前で個人のスマホや、場合によっては勤務先に
連絡を限定するケースもありました。
今回の様なケースで特に申し訳ないと思うのは
「以前の相談者が仲介者だった場合」です。
ありがたいことに先方も私に新しいお客さんを紹介してあげたい、
私の様にすっきり問題解決して欲しいから友人の悩みを解消する手助けをしたい、
と言う想いからの行動なのです。
相手を傷つけないよう、以後疎遠にならないように遠回しに、言葉を選んで
お断りするのはこちらも心情的にかなり疲弊します。
口下手の方でしたら、まずはメールで相談内容を送信して下さい。
文章にすると何度も修正も校正も出来ます、納得のいく文章に仕上げてから
連絡を頂けると相談時に効率よく時間を使えます。
まずは、最初の一歩は自分で、相談もこのスタイルでお願いします!




