「~だから」と「~だけど」の大きな違いとは?

寺田淳

寺田淳

テーマ:新橋事務所日記


【はじめに】

 「だから」と「だけど」

仮にこの前に「イケメン」という言葉を付けてみると
イケメンだから~ 
何となくこの後に続くのは好意的肯定的な文言のような気が?
イケメンだけど~ これだと否定的、ネガティブな言葉が続きそうに思えませんか?

 最初に付く言葉によっても印象は変わりますが、
仕事と言うジャンルに当てはめた場合、意味合いにはかなり差が出ます。

 今日はこのことを紹介していきたいと思います。

【~だからはご法度で】

俺の知り合いだから、
昔の同僚だから
俺が面倒見ていた後輩だから

 末尾が~からの場合、概ねいい話が続くことがありません。

 私の仕事でも「俺の知り合いだから、割安で頼む。」
「昔のよしみでここはサービスってことで。」
といった○○だから、だったからという意味合いの言葉で終わる依頼や相談には
あまりいい印象は持てません。

 当人にとっては
仲が良かったから、昔の後輩だから、先輩だから
と言う考えなのでしょう。

 情けないことに概ねこの手の場合は「タダで」「格安で」
または「今日中に」「なるはやで」など等自分都合だけの思惑が
丸見えです。

 加えてこの手の輩の性質の悪さは
仮にこちらの超善意で依頼を受けたとして
その話を(自分だから受けてくれた)と
自慢げに誰彼構わずに吹聴してしまうのです。

 そのあげくに
「俺の紹介と言えば安くしてくれるから」
「俺からひと言伝えとくよ」
「あそこなら無理筋を通してくれる」 など等
「自分の意のままになる手駒」扱いにしてくるのです。

 私も過去に一度この洗礼を受けて以来、
金輪際過去のしがらみを仕事に持ち込まないと
肝に銘じた次第です。

 不思議なものでこの手の依頼を受けてしまうと
どういう訳か似たような話が続いてくるのです。
負の空気が漂う訳でもないでしょうけど、
「悪貨が悪貨を呼び込む」のです。

 売り上げ不振が何か月も続いてしまい
どんな依頼でもいいから売上が欲しいと思っていると
不思議なことにこの手の連絡がやって来るのです。

「〇〇というものの戸籍を取って欲しい」
「〇〇の相続人情報を教えて」など等、
どう見ても親族ですらないような人物からの連絡が入ったり、
「何時迄に出来る?」
「相場の倍払うから」
等のいかにも距離を置きたくなるような相手からの連絡は
私も事務所開設当初には何度かありました。

 誘惑(窮状)に負けて一度でも手を出せば?
何度も何度も何度も同じ様な連絡だけが来ます。

 飲食の世界でもよく言われますが、
ランチタイムだけ全品半額とか
主力品をサービスの対象にしてしまうと
僅か1~2時間のランチタイムにしか客が来なくなり、
売上と集客のために営業時間中全て半額などと言った訳の分からない
状況を招き、結局赤字経営をより悪化させるというものです。

 期間限定のサービス「だから」
 あくまでも集客の為の作戦「だから」
 店が軌道に乗るまでの施策「だから」
 
 
 いくら新規開店で認知度アップを図りたい、
競合店の出店を受けて期間限定の対抗策として打ち出しても
足を運ぶユーザーはそうは思いません。
当初の設定に戻した途端「値上げしたから行くの止めた。」
で終わりです。

 安易な妥協はその後大きな代償を伴う結果となることは
しっかり認識して欲しいものです。

 これらとは別の話になりますが、

「この俺のお墨付きだから」
「俺が練りに練った施策だから」
「俺は上場企業の管理職だから(カネ貸して)」

 仕事の中でこういう経験がある方は多いと思います。

 この場合の問題は「俺」の人物にかかってきます。
自画自賛だけの人物と言う評判がある方や人望の無い方、
こんな方のお墨付きは百害あって一利なしです。

【~だけどは誉め言葉】

 他人はともかくとして、私はこの表現は誉め言葉と受け取ってます。

「高いけど、美味い!」
「耳に痛いけど、確かに非は自分にある」
「高いけど期待以上の結果を出してくれた」

 一歩ずれてしまうと
「美味いけどこの値段なら当たり前」
「この程度の仕上がりなら他でもよかった」
といったネガティブな「~だけど」に変化してしまいます。

 否定的な入口から肯定的、好意的な出口に繋げるには
やはりそれなりの仕掛け、準備、備えは欠かせません!

 以前も書きましたが、転職や起業・開業の相談の際に
相談者の準備不足や認識の甘さなどを遠慮なく指摘して
計画のやり直しや改めての熟考を勧めた場合、
不満を表に露にして退席した方ほど、後日再度の相談の打診を
してくるケースが非常に多かったのです。

 再面談の際には
「前回はつい感情的な行動をとり失礼しました。」
「自分なりのプランを木っ端みじんにされていい気はしませんでした。」
「だけど、冷静になって見直したら指摘箇所は確かに穴だらけでした。」

「言い方は全く遠慮なしだったけど、それで理解出来ました。」
「あの表現には納得は出来ないけれど、的は射てました。」

 など等、私のいい方にも未熟、失礼な部分はあったのは事実ですが
相談者の方の聡明さのおかげでうまくまとまったのです。

 最近の嬉しい事例ですが
旧知の仲のメンバーから自分の知り合いの悩みを聞いて欲しい旨の
連絡が入りました。

 念のためとどういう紹介を?と尋ねたところ
「俺の知り合いだけど、安くはならないし口は悪い」
「だけど、言っていることは概ね間違ってない、聞いて損はない。」
と言う言い回しをしてくれたようです。

 こういった紹介でしたら、大歓迎です。

【終わりに】

 価格や費用の安さに釣られた結果、芳しい結果が得られなくなった
この場合、紹介・斡旋してくれた相手に不満をぶつけても
「安かったんだから我慢しろよ」
「あの値段でやってくれたんだから、文句言うなよ」
等と開き直られるのが関の山でしょう。

 この反対に
「確かに安くはなかったけれど、結果には大いに満足」
「望んだ期日までではなかったけれど、完璧な出来だった」
という評価を受けたなら、これはこちら側も達成感や満足感が
得られ、ますますの向上に励むことに繋がります。

 言葉一つで自縄自縛に陥るか、
益々のモチベーションアップに繋がるか?

 はっきりと将来の明暗が分かれてしまうこと、
起業直後の方は特に意識して下さい。

 最初の掛け違い、深く考えないままの決断、
その修正には想像以上の長い時間と自助努力が必要になりますから。 

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寺田淳
専門家

寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

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