プロとしてこれはダメでしょう

寺田淳

寺田淳

テーマ:新橋事務所日記


【はじめに】

 どんな業種でも人さまからおカネを頂いて業務を遂行する、
それが恙なく出来るのがプロであり、プロと認められているからこそ
ユーザーは信頼して業務を依頼する訳です。

 確かに、言い間違え、聞き違え、伝達ミスなど
人間ですから何かしらのミスを起こすのは避けられません。

 ですがここで紹介する2件はあまりにプロ失格の対応でした。

 今回はあくまでも私の実見した範囲での最悪の事例を紹介したいと思います。

【自分の体験談:カーディーラーにて】

 最初に紹介する事例は我が愛車の車検の際の出来事です。
同じディーラーで3年連続で重量税がワンランク上の間違った金額で
請求されたことがありました。~ちなみにまだ継続中です。

 国交省のHPには各車のエンジン型式からの税額が
一覧で確認出来るサイトがあります。

 これで調べた結果は明らかにディーラー側のミス。

 もう12年乗っているので車検も3回どころではなかったのに
直近3年間、なぜ同じミスを繰り返したのか?

 恥ずかしながら1回目の時は、不審に感じて問い質しはしたのですが
法改正で規定が変わったという説明で、その場では不承不承納得し帰宅、
どうしても納得いかず前述したサイトで確認してディーラーのミスを確信。
翌日にその旨を伝え請求書の修正を求め、先方も誤りを認め
正しい金額の請求書を再発行してもらいました。

 ですが法改正云々についての説明(言い訳)は一切なしでした。

 2回目はまたかと思い、その場で即指摘、
ディーラー自身に当該サイトにアクセスしてもらい
ミスを確認させその場で再発行させましたん。

 まさかの3回目のミスの発生の際には
さすがに修正だけで済ませる訳もなく徹底した説明を求めたところ
何と会社の規定自体が間違った区分設定をしていることが判明。

 まあ、現場のミスや怠慢ではなかったのは不幸中の幸い?でしたが
詳細は省きますが、「~以上」と「~超」「~未満」と「~以下」
の区分を勘違いする単純なミスでした。

 我が愛車が正真正銘の「古車」であり、今や例外的な
車種だったこともあって類似の車種と一緒の基準で設定してたようです。

 同情すべき点も無いわけではないですが、
卑しくも自動車のプロであるはずの正規ディーラーです。
これでは信頼度失墜は免れませんね。

 いささかの後悔は
2回目の際の法改正云々の追及をしなかったこと、
まだ私も若かった? 今なら徹底追及してますね。
確信あっての発言だったのか、その場しのぎか?
当人の今後の為にも追及すべきでした。

 次回の車検時にはいささかの皮肉を込めて
国交省のサイトの当該部分を拡大コピーして車検証に添付する予定です。

【自分の体験談:市役所窓口にて】

 2例目はさらに拙い事例です。場所は某自治体の窓口業務です。

 相談者と同行して手続きに必要な書類の収集と注意事項の説明を
窓口にて受けていたところ、一つ離れた窓口で発生しました。

 途中から来訪者の声がワントーン大きくなってから聞くとはなしに
聞いていた話を推測を交えて状況をまとめたところ、
最初にこの窓口に書類を提出したところ、窓口で応対した職員から
書類の不足を指摘され、他の部署に出向きその為予定外の手数料等の
出費があったそうで、それを揃えて再び当該窓口に出向き、前とは違う職員に
提出したところ、この書類は不要ですと言われたようです。

 なぜか当事者の職員を呼ぶことをせず、上司らしき年配の職員が
助っ人に加わったのですが、その職員が最悪のひと言を言い放ったのです。
「彼は~ バイトでして~ この業務は不慣れなもので~」
※このへんは来訪者が自ら再現して口にしたものです。

 当然怒りの矛先はその年配職員に「全集中」となり、
完全にクレーム案件と化したのでした。

 その窓口には5人の職員が首を揃えて並ぶ羽目となり
平身低頭謝罪してましたが個人的に見て、原因は完全に役所側です。

 一般の来訪者からすれば対応してくれるスタッフは
あくまでも「自治体を代表して応対してくれる」前提です。
まず基礎的な内容を知らず(曲解して?)誤った指示を出した点、
それ以上にその責任をバイトだからと回避しようとした上司職員。

 絵に書いたような悪例ですね。
一言二言文句を言いたくなるのは致し方ないことでしょう。

 ちなみに、我々が別の手続きの為2階の窓口で3~40分ほど
手続をして、階下に降りた時には窓口にその姿は無かったのですが、
会議室?のような別室からさらにパワーアップした怒声が響きました。

 たぶん、対応する羽目になった職員は昼食は抜きになったでしょう。

【終わりに】

 前回のコラムではプロの大敵は馴れと注意力、集中力の弛緩を述べましたが
今回の事例はまさにその典型だったと思います。

 最初のディーラーの事例では請求金額のミスから
本当に部品交換をしているのか? 正しい検査を手抜きせずに行っているのか?
突っ込もうと思えばいろいろな箇所でクレームを付けられる恐れがあるものです。
もしかしたら私以外のユーザーは言われるがまま高い費用を
払わされ続けているのでは? と勘繰られても仕方ないことでしょう。

 会社の規定だから鵜呑み、誰か一人でも国の基準を確認していれば
皆が指摘してない、注意してないなら大丈夫と言う気の緩みは
下手をすると致命的な負のイメージに繋がりかねません。

 後者の役所の対応はいかにも「お役所仕事」の悪例の典型です。
以前会社員だったころ、まだ配属されて間もない時に職場の上司から
真っ先に言われたことは電話対応を始め社外の相手との会話では絶対に
「まだ新人なんで」という言葉は口にするなと厳命されました。

 新人や異動した直後(なので詳しいことは知りません)は
相手先には全く関係のないこと、相手はあくまでも看板を背負った社員と
やりとりをしているのだから新人だからなどと言ったら自分の相手を
新人に対応させるような会社と言うイメージを持つかもしれない、
不用意なひと言でそれまでの信頼関係は一瞬で亀裂を生じその修復には
長い時間をかけるしかないのだからと徹底指導を受けました。

 上に立つ身になった時にはその言葉の持つ重みを十分実感しましたし
同じ様な言葉を新入社員にくどいほど伝えていました。

 さらに加えれば、パートやアルバイトでも同じです。
相手には正社員だろうがパートだろうが関係は無いのです。

 全く余分なひと言で最悪の事態を招いてしまうのです。

 特に個人事業者の場合はこの様な失態は致命傷になり兼ねません。
会社員以上の最新の注意が求められます。

 蛇足ですが、コロナ禍で学生時代を過ごし、入社後もリモートで
仕事に従事した若手社員の中には社内のみならず社外の人間との接し方が
まったくわからず、あげくに電話にも出ることが出来ない、出たら出たで
上記のような言い訳を真っ先に口にするといった事態が少なくないと
現役の中間管理職の方が口にしていました。

 ド素人の新人をいかに迅速に「プロ」に育成出来るか?
その為には管理職自身も「指導のプロ」を目指さなくてはいけません。

 令和世代とかZ世代の扱い方には慎重に等と言う論調が目につきますが
扱い方を間違えれば会社の命運が大きく左右されること、現役の管理職世代は
覚悟を持って指導・教育をしていかないとそのツケはいずれ自分たちにも
回ってくるのです。

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寺田淳
専門家

寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

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