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重要なのは「ここで」「これを」「買う」の方程式

寺田淳

寺田淳

テーマ:起業・独立


【はじめに】

 世間には同じ業種。職種で開業しても
その後大きく明暗が分かれていくケースはごまんとありますね。
飲食店、物販店、サービス業、士業…

 同じような立地、同じような商品やサービス、
なぜこういった差が生じてしまうのか?

 士業として12年を経過した私が感じた想いを紹介したいと思います。

【他でも買える品を】

 ほとんどの起業・独立の場合、
独占契約での販売や特許を取得しての専売なら別ですが、
扱う品は既に世間に出回っており、どこの地域でも容易に手に入るものです。

 飲食店であれば大きく分ければ和洋中のどこかに属するものを扱います、
物販でもアクセサリーやオリジナルのキャラクターグッズを除けば
やはり「アナタの店しか買えない」ものではありません。

 貴方自身が何故、どこでも手に入る、口にすることが出来る、享受できる
品やサービスを起業の基盤にしたのでしょうか?

 ~どこでも売れているから?
 ~開業する地ではまだ誰も扱っていないから?
 ~自分が好きだから?

 士業ではもっとシンプルです、扱える業務範囲が法律で定められてます。
報酬額は自由設定が可能ですが、世間相場とかけ離れた設定ではいずれ行き詰ります。
(高ければお客は来ません、安ければダンピングの沼に嵌まります)

 貴方はなぜどこでも手に入る品で開業を目指したのですか?

【貴方の店で】

 次はその品、そのサービスをなぜあなたの店で求めるのか? です。

 飲食の店であればメニューの豊富さ、逆に一品のみのこだわり、
味のこだわり、など等の差別化が図れます。

 物販であればやはり趣味性の高さやトレンドの品、こだわりの品といった
店主の個性をウリにすることで特徴を押し出せることが可能です。

 ですが士業の場合はどうでしょう?
価格に大差はなく、トレンドとは無縁ですし、品ぞろえは決められてます。
差を出せるとすれば、個人の資質、又はキャラクターでしょうか?
無論専門知識や経験値での差別化は言うまでもないことです。

【その場で買ってもらう】

 そして最後は実際の成果を挙げることです。即ち売り上げをその場で獲得する。

 飲食で入店はしたもののオーダーしないで出ていくことはレアケースでしょう。
あったとすればよほど外観と内観にギャップがあったとか、
店内の客層がその人には合わなかったといったくらいでしょう。

 私がただ一度目撃したのは洒落た喫茶店に入ってきた学生風のカップルが
テーブルに置かれたメニューの値段を見て、そそくさと退店したケースがありました。
確かにコーヒー一杯が2千円というこだわりのコーヒー専門店ではありました。

 物販店なら冷やかしの入店は想定済みでしょうが、
やはり一期一会ではありませんが、気に入ってくれたらその場で購入、
こういった流れは商売上では欠かせないものです。

 どこでも扱っている品を、
 貴方の店に来店して
 貴方の店で購入してもらう

 物販でも士業(等のサービス業)でも
この課題をどうクリアするか? 起業前に想定することは必須案件なのです。

 今回のタイトル「ここで」「これを」「買う」はこれを指しています。

【ここで決める価値観と満足感が決め手】

 さて前項までは知ったような口ぶりで警鐘を鳴らしてきましたが
ではこれらの課題をクリアする方程式は何かと問われれば、「ない」
というのが私からの回答です。

 正確には「誰にでも通用する絶対の方程式は」ないという意味ですが。

 なぜならユーザー全てが共有出来るような価値観と満足感はない、
と言っても過言ではありません。

 飲食店では自信のメニューが芳しくなく、その他大勢の中に人気メニューが出来た、
賄い飯だったものをたまたま提供したら人気が集中したとか、思わぬ当たりが出た!

 こういったケースは趣味の品や雑貨の場合でも当てはまり、意外な品が人気NO1に
なり長期欠品や販売制限をする羽目になったという話もごく普通に聞こえてきます。

 自分がこれだと思った価値観(あるいは売れ筋の読み)は絶対ではありません。
いくら世間一般で受けていたとしても開業した地域でも同じとは限りませんし、
素材にこだわったワンランク上の品を提供してもその価値が伝わらければ同じことです。

 ひとりよがりの差別化ではユーザーはついてきませんし、飽きられます。
飲食や物販でよく陥りやすいのが売価のディスカウント=安売りです。
よく飲食店でタイムサービスで通常価格より○○円値引きや何時まで半額!といった
告知をする店がありますが、その結果ユーザーが来店するのはタイムサービスの
僅か2時間だけでそれ以外の時間帯は閑古鳥になったという事例もあります。

 一度安売りをすれば、それをユーザーが認知してしまえば、
二度と価格を元に戻すことは難しくなります。

 その結果、食材のレベルダウン、ボリュームの減少、具の減少やサイズカットなど
目に見える形で価格に見合ったメニューにせざるを得なくなります。

 ユーザーは残酷ですからそうなったら一気に店から離れます。
新たなヒットメニューを一から考えなくてはいけなくなるのです。

 士業の場合でも同じ案件で世間水準より大幅に安い報酬額を謳えば
その時は成約が容易になりますが、それ以降はそういった案件しか依頼されなくなり、
他の案件は別料金(高額設定)ですからと説明すれば依頼は取り消されるのがオチです。

 ディスカウントで目の前の売りの確保に奔れば却って自身の頸を〆ることになります。

 こうなりたくなければ、やはり起業・開業前にしっかりと焦点を絞り込むことが
重要な課題だということが認識されると思います。

 他でも買えるものを、
 あえて自分の店に来てもらい、
 その場で成約(購入)を勝ち取る

 その為に起業・開業前にどんな準備をしてきたか? 

 具体的な成功事例は何件かはここで紹介できるのですが、
敢えて今回はそれは伏しておきたいと思います。

 まずは貴方自身で上記の課題に対する回答を探してみて下さい。
今貴方が想定している起業・開業プランを覆す結果になるかもしれません。

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寺田淳
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寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

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