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改めて考える第二の仕事との関係

寺田淳

寺田淳

テーマ:50歳からの人生


【はじめに】

「貴方が次の仕事、終の仕事に求めるものは何ですか?」

 コロナ前でも、コロナの最中でも、コロナ鎮静化の今でも
第二の仕事に関する相談の場合、こちらが真っ先に確認するのがこれです。

 残念ながらこの答えを持ち合わせている方は少数派で、
多くはおカネ、肩書、やりがいの間を行ったり来たりする応答に終始します。

 どれが正解でどれが不適切な回答というものでもないのですが、
なかなか自分のこととなると迷路にはまり込むようです。

 今までも何度か起業や独立を中心に第二の仕事との向き合い方を
述べてきましたが、改めて今回同じテーマを採り上げたいと思います。

【第二の仕事の側面】

 似たような響きを持つ言葉ですが、意味合いは全く違う仕事の側面があります。
ひとつは「年金だけでは生活が成り立たない、だから仕方なく仕事に就く、働く。」
これはまさに食べるために、生きる為に働くといった「ライスワーク」があります。

 もうひとつは「自分の夢を実現したい、社会に貢献したい、生涯現役で社会と繋がりたい。」
等の自己実現や社会貢献を目的とした「ライフワーク」があります。

 定年を迎えて、あるいは定年延長や再雇用も満了となった今、
つまらない見栄や世間体を無視したとして、今の自分はどういった仕事を選択したいのか?

 ライフワークなんて大上段に構えて考えたことないです!
でもライスワークなんて答えたら世間に恥ずかしいとか、
他人には気付かれたくないという考えは全く不要です。
食べるために働くこと、家族の為に働くことは立派な動機です。

 ライフワークを目指す場合に注意すべき点の一つとして
趣味を仕事にしたいという考えがあります。
詳細は省きますが、好きな時間に自分が興味を持ったことに取り組むのが趣味で、
他人の時間に合わせて他人(顧客)ファーストで行うのが仕事です。
この決定的な相違点をよく認識しないまま踏み出すと大やけどを負いかねません。
 

 実際のところ相談の場合でも
なかなかこの切り分けを出来ないのか、あえてしないのかわかりませんが
本音を確認するのにかなりの時間を要する場合があります。

 何か踏ん切りがつかない、煮え切らないといったやりとりに終始するのです。
せっかくの貴重な時間と相談料を考えれば、まずは入り口を明確に示してもらうこと。
これなくしてはその後の話の進め方にこちらも責任が持てません!

【資格取得の意味】

 このコラムでも何度も言っていることですが、
「資格取得だけが目的では本末転倒です。」

 次の人生はこういった仕事をしてみたい、
こういった仕事に就いて地域や社会に貢献したい。

 その為には公的資格としてこの資格を取得することが必要不可欠だとなれば、
資格取得の為には今の自分の能力からすればほぼ2年間の学習期間は必須となる、
学習の間に資格取得後、やりたい仕事にどう活用するかも検討を始める。
その結果、3年後には取得した資格で起業・開業を果たす。

 このような具体的なスケジュールまでを想定する必要があります。

 取りやすそうな資格だから
 今シニア世代で話題の資格だから
 他人に薦められた資格だったから

 先に資格ありきではその先はありません!
当然ながら先に仕事ありきで、その仕事の成功の為に役立ちそうな資格は何か?
いずれやりたい仕事に活用出来る資格だから取得を目指す。

 この流れが本来の意味となるのです。

 あくまでも決めるのは自分の価値基準のみで構いません。
どういった仕事で、どういった分野で自分の価値を高めたいか?
その為に使えそうな資格は何か?
さらに取得することで自分が望む分野での自分の価値を高めたい。

 どんな資格であっても
資格とは、取ることが目的ではなく、
いかにしてその資格を活かせるかどうかが本来の目的であるべきです。

【自分の棚卸】

 ここでは「自分独自の強みを見出す」ことが目的となりますが、
独自の強みという言葉にあまり固執する必要はありません。
ずば抜けて秀でている才能は、そう簡単には見つからないはずですから。

 水準以上、平均値以上、この程度でいいのです。
この点は他人に自慢出来そう、といったレベルでいいので
その代わりに最低3つはそういった強みを見出してください。

 何も運転免許証や英検などの公的資格だけではなく、
「特技」の分野でも探すことが大切です。

 「人の顔と名前を覚えるのが早い、得意」
 「すぐにグループの中心で話題を提供出来る」

 こんな程度でも十分なのです。

 例えば、
コミュニケーション力、人脈作り、新規開拓営業が得意と思えば
これを発揮出来る会社がどの業種にあるのか? 

 ハローワークで求人票を調べるときにも
自分の強みに関連する記載内容に注意を払えば、より効率的に見つけられます。

 ただ漠然と
給与面や勤務条件、勤務場所などを眺めるよりは
ピンポイントで調べることが出来るはず。

 要は
「自分が求めるよりも、自分が求められている」条件で募集している会社
がピックアップされることになるのです。

 最後に、求人と求職には「運」「タイミング」は間違いなく存在します。
一日違いで望外の条件の会社に募集出来た、採用されたなどは茶飯事です。

 ハロワなどでの情報収集やチェックは一発勝負ではなく何度か足を運ぶべきです。
季節的に募集案件が増えるといったケースもあります。

 より深く情報収集を図りたいのであれば、遠慮なく窓口に出向き、
現在の募集事情や検索のポイント等を相談して下さい。
使えるものは何でも使うの精神で行動することが満足のいく結果に繋がります。

【バカに出来ない口コミ・ツテ】

 案外結果に繋がるのがこれです。
例えば高校、大学のクラス会や会社OBの同期会などです。
近況を語り合ううちに思わぬ縁が見つかったケースは少なくありません。

 ただこういった場で見栄や世間体を気にしてしまい、
自身の近況や職探ししていることを隠していては成果は期待出来ません。
忌憚なく情報発信することで、思わぬ反応が返ってくるのです。

 これ以外でも
行きつけの飲み屋や食堂、そこの常連客、バイト君、
先に述べた趣味のサークルの仲間も大いに活用すべきでしょう。

 さらには年一回のやり取りの年賀状繋がりでも馬鹿には出来ません。
今ではSNSでの繋がりの中から新規の仕事で繋がったという事例もあるのです。

 もっと拡げれば、奥さんの人脈も無視出来ません。
なんと言っても地域に密着し諸般の事情に通じているのは奥さんの側です。
ただここでも奥さんが見栄を張ったり、世間体に縛られるようでは期待薄ですが…

 とはいえ、夫婦間で協力関係が維持出来ている、
旦那さんから奥さんに助力を頼むことが出来る、
奥さんもそれを受けて行動に移せるのであれば、
遠慮なく奥さんの協力を仰ぎましょう。

  
 その為にも、第二の仕事に何を求めるのかを自分自身が明確にしておくこと、
この最初の一歩、重要な一歩目を間違えないようにしたいものです。

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寺田淳
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寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

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