大きく様変わりしたシニア向けビジネス
【今日のポイント】
17日付の日経新聞朝刊の一面の記事をご覧になったでしょうか?
3年間のコロナ禍が続く中、40代を中心としたミドル世代の転職実績が
この5年間で2倍に増加したとありました。
今日は予定を変えてこの話題について紹介したいと思います。
【ミドル層の転職事情】
前段でも書いたように、
41才以上の転職者数は、2020年度までの5年で2倍に増えたそうです。
この背景には、長引くコロナ禍の中で既存事業を見直す必要に迫られた、
あるいは新しい生活スタイルから来る新規市場への参入や立ち上げを図る
多くの企業が実務経験が豊富な人材の獲得に目を向けたとありました。
そこで注目を浴びたのが40代で即戦力が見込めるシニア人材となったのです。
日本人材紹介事業協会の資料によれば、
大手3社の紹介実績は20年度には41才以上の転職者数は約1万人であり、
これは5年前の1,9倍に達したそうです。
もちろん、若手の20~30代の転職者も増えてはいますが、
伸び率に関しては、41才以上が最も大きいのです。
但し、注意すべきは年齢の内訳で、
ミドル転職者の内訳では40代と50代が大半を占めています。
【転職市場の今】
2021年に早期退職や希望退職の募集を開示した上場企業数は、
84社(東京商工リサーチ調査)でした。
転職サイトでは、
上記を含めて退職を募った企業の社員の登録が目立っているようです。
やはり勤め先が希望退職や早期退職を実施した、または予定があるとなれば
自己防衛の意味を含めてサイトへの登録者が増加したり、実際の転職に踏み切る
ケースが増加したというのが市場の活性化の要因の一つと言えそうです。
ただ、2020年の雇用動向調査によりますと、
20代から40代まででは転職後に年収が上がったケースが見受けられますが、
50才以上の年齢層では転職後に減収となったケースが目立っており、
さらに60才以上となると、半数以上が大幅な減収という傾向が見受けられました。
転職者の主役は40代50代と先に述べましたが、40代と50代では明暗が分かれ、
50代以上には年収ダウンなどの厳しい状況にあることは間違いないようです。
【今後意識すべき事】
40代までの年収アップが見込まれる中でも、職種間の差が存在します。
やはりエンジニア系は人気があり、概ね10%台の年収アップが目立ちますが、
飲食や介護業等では上昇の幅は3%に留まっていました。
今や会社も社員も、終身雇用や年功序列が保証される時代ではないことは
十分認識されていると思われます。
自身に転職の意向が無くても、
会社の将来性に不安が生じたら考えざるを得ません。
会社どころか、業界自体がコロナによって大きく変貌するリスクもあります。
そうなれば、より早い段階で早期退職や希望退職の対象になるかもしれません。
40代までの方については、現役ただ中の今のうちに、自身の棚卸しを行い、
強みや差別化ポイントを把握しておくことを始めて下さい。
それは決して40代の転職だけでなく、50代での転職や定年後の再就職の際にも
大きな差別化ポイントとして訴求出来るものになる可能性があるのです。
こうしてみると、転職市場の中心は名実ともにプレーイングマネジャーを演じられる
40代のミドル層になることは必至でしょう。
一見すると、経済再活性化に直結する中高年の人材の流動化の拡大ともとれる
今回の傾向ですが、その恩恵は40代までで、50代、60代のシニア層にとっては
生存競争がより激化したという警鐘とも言えるのではないでしょうか?