不動産投資に必要な帳簿「個人資産」と「一部屋ごと」
本日のテーマは、【他人資本活用し不動産投資を成功に導く「投資判断力」】についてです。
今回は,どんなタイミングで投資をすればよいのかの判断について書きすすめて参ります。
そもそも「投資判断力」とは
ひと口に不動産投資といっても、その中身にはいくつかの段階やポイントがあります。特に重要なのが、「お金を使うタイミングはいつなのか」という“投資判断”です。
これまでにも何回かお話しさせていただいたように、不動産投資においてお金を使うタイミングは、物件を購入するときだけではありません。繰り上げ返済のとき、入居者が退出したときのリフォーム、そして物件の売却時など多くの機会があります。
それぞれ適切なタイミングで適切な投資を行うことによって、得られる利益には大きな差が出ます。流れに任せてお金を投じるのではなく、オーナーとして戦略的な観点から投資を判断する必要があります。
不動産投資の成功の秘訣として、いかに自己資本を投下せず、他人の資本を活用するかというのがあります。いわゆるレバレッジを効かせるということですが、私はこのレバレッジが不動産投資の一番のメリットだと考えています。
今回は、なぜ不動産投資においてレバレッジが大きなメリットになるのかを中心に、投資判断のひとつの情報として、市場トレンドから見る、売却のタイミングについてもご紹介します。
不動産投資に「レバレッジ」がかけられる理由
レバレッジとは、もともと“てこの原理”のことで、経済活動においては他人の資本を使うことで、自己資本に対する利益率を高めること、またはその高まる倍率のことを言います。
レバレッジがかけられる投資手段は、実は限られたものしかありません。FXや株、金融派生商品、不動産投資、そしてビジネスといった程度です。これらの中で、銀行が融資してくれるのは、不動産投資とビジネスだけです。
「FXをやりたいのでお金を貸してください」と言っても、銀行は相手にしてくれません。さらにいえば、損害保険がかけられるのも不動産投資とビジネスだけです。不動産投資は、それぐらい信用があり、かつ、安全であることを認識してください。
なぜ金融機関は不動産投資に融資するのかには、理由があります。
不動産は現物資産となり土地と建物の担保評価があることによって融資を実現しているといった特徴があります。
担保としての不動産の力は不変であり、絶大です。これに加え、不動産投資(マンション投資)に関するノウハウが、ここ20年ほどで銀行に蓄積されてきたのも要因と言えます。銀行としても、いろいろなケースを扱ううちに、傾向を理解し安心して融資ができるようになったのです。
レバレッジ効果を示す「ROI」
レバレッジの効果を推し量る尺度として便利なのが「ROI(return on investment:投資利益率)」です。想定利益の金額を投下資本の金額で割り求めます。これによって、つぎ込んだ資本に対して、得られる利益の割合が数字で掴めます。私は、不動産投資の一番のメリットはレバレッジだと思っていますので、しっかりご理解いただければと思います。
たとえば、1,000万円のマンションを頭金100万円のローンで購入したとします。月々の家賃収入からローンの返済分を差し引いた後、年間25万円のキャッシュフローが得られました。25万円を100万円で割ると、ROIは25%ということになります。
一方、同等のマンションを全額現金で購入したとします。家賃収入がまるまる懐に入りますから、キャッシュフローは年72万円です。この金額を投下資本である1,000万円で割ると、ROIは7.2%になります。
この2例を比較してみると、ローンで購入した場合のROIが、現金で購入した場合のROIの3倍以上になります。つまり、ローンで購入したほうが、レバレッジが効いていることになります。これが、ローンという「他人資本」を活用した投資です。どちらがスピーディーに、より多くの資産を形成できるかは明らかです。
追加購入は「お得」である
投資物件の追加購入は「お得」です。他人資本を利用し、レバレッジを効かせてスピーディーに資産形成できるのが不動産投資の最大の利点です。そしてそれは追加購入を抜きにしては考えられません。
追加購入のタイミングは、基本的には早ければ早いほどいいです。しかし不安を抱えたまま突き進むのはおすすめできません。最初の物件を購入してから半年ほど経つと、勝手がわかり心理的な負荷が下がります。「どんどんいっても大丈夫」という感覚が腑に落ちてから先に進むのがいいでしょう。
他人資本とレバレッジを活用し自己資金を少なく運用額を多額できる不動産投資は、他の投資よりも魅力的だとも言えるでしょう。
売買で最も重要なのは相場を意識すること
投資判断力の重要な要素のひとつとして、売却のタイミングを知るということが挙げられます。「そろそろ」と思ったら、懇意にしている不動産会社に最近の市場トレンドを聞いてみてください。その際のポイントは、物件の仕入れ担当者から話を聞くことです。担当者は、近隣の売買相場を常にチェックしデータベース化していますので、それを見せてもらいましょう。
自分の物件の相場を意識しておかないと、売却の際に大きく損を出す可能性が高くなります。成功するオーナー様は、売却も戦略的に行います。相場や時期などからシミュレーションを行い、最適なタイミングを見計らって売却を実行します。つまり自分が儲かるタイミングで売るわけです。一方、失敗するオーナー様はタイミングを考えず、自分の都合だけで売ってしまいます。
今後、影響が出てくるのが相続税です。2015年1月1日から基礎控除の金額が下がりました。これによって地方では、今まで以上に相続税対策でアパートを建てる人が増えることが予想されます。
一方、日本の首都圏では、不動産は自宅だけで、現金をたくさん持っている人が相続税のターゲットとなります。そういった人たちは、土地がないので、1,000万円、2,000万円の中古ワンルームマンションを購入します。つまり既に物件を持っているオーナー様にとっては、高い値段で売却するチャンスであると言えます。
ちなみに首都圏において、なぜアパートではなくワンルームマンションの需要が高まるかといえば、ひと言でいうと「失敗が少ないから」です。
他の投資手段と同様に、不動産投資にもリスクがあります。一般的には、アパートはマンションに比べてリスクは大きくなります。アパートで木造となるとリスクはさらに増大します。空室の問題だけでなく、修繕の問題が常につきまとうからです。
ワンルームマンションは、立地が良ければ入居者に困ることはありません。なぜなら、2000年以降のワンルームマンションは、入居者に入居してもらうことを考えた設計をしているからです。つまり、成功しやすいということです。リスクは小さめに、なるべく手堅い不動産投資を望んでいるのでしたら、都心の立地の良い中古ワンルームマンションが一番です。
投資結果こそ、あなたの財産になる
投資の結果やそれに至る過程は、大切なノウハウになります。ノウハウは「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」という古くからの格言になるほど重要です。魚の釣り方がわかれば、飢え死にする心配がなくなります。同様に、お金の増やし方がわかっていれば、お金が増やせます。
不動産投資の場合でも、結果を残す方法を知っていれば成功する確率が一気に上がります。はじめは関連書籍を読んだり、セミナーに出席したり、成功しているオーナー様から話を聞いたりしながら、積極的に学んでください。そして、少しずつ、自分でも経験を積み重ねて、自分だけのノウハウを築いていきましょう。
今回のコラムは、ここまでです。最後までお付き合い頂きましてありがとうございます。次回のコラムもお楽しみに!
和不動産 仲宗根和徳