不動産投資に必要な帳簿「個人資産」と「一部屋ごと」
皆さんこんにちは。
和不動産の仲宗根です。
本日テーマは、【不動産投資における内装に対する考え方】についてです。
不動産投資家でキャッシュフローを増やすには家賃をあげるリフォームが必要です。今回はそのやり方についてお話していきます。
いつまでも物件の価値を下げずに家賃を上げていける方法
不動産投資に成功するオーナー様と失敗するオーナー様の一番の違いとはなんでしょう?
これまでのコラムで「不動産投資を単なる投資ではなく事業と捉え、いかに物件購入後にキャッシュフローを増やしていけるかを考えているか、いないかです」とお伝えして参りました。
また、キャッシュフローを増やす最も効果的な方法は、繰り上げ返済であるということを申し上げてきました。
ではそれ以外に物件に投資する方法、タイミングはあるのでしょうか?それが今回、お話する内装リフォームに対する追加投資です。
物件を購入後、繰り上げ返済を行い銀行の融資枠を広げることで次の物件購入を少しでも早めること。これが不動産投資成功の近道であることは間違いありません。しかしさらに成功に近づくためには、購入した物件の価値を下げずに維持していくことも重要な要素の一つです。
一般的に物件の価値は購入した時点が一番高く、年数が経てば少しずつ下落していきます。失敗するオーナー様は、購入時以外資金を使うことを嫌がるためそれを黙って見ているだけです。しかし成功するオーナー様は、少しでも購入時の価値を維持していくため、さまざまな施策を試みます。
不動産投資において物件の家賃を維持するということは、物件価格の下落を防ぐことにつながります。さらに資金を投資する施策とタイミングさえ間違えなければ、年数が経っていても家賃をアップすることもできるのです。
家賃を上げるための具体的な施策とは内装リフォームですが、問題はそのタイミングです。入居者がいる時にオーナー様の都合でリフォームを行うことは簡単ではありません。
当然ながら入居者の同意が必要になります。更新時でも場合によっては入居者が更新を拒否し、出ていってしまう可能性があります。
ではベストなタイミングとはいつなのか?それは入居者が出ていって部屋が空室になった時なのです。
不動産投資に成功するオーナー様ほど、内装にこだわる
成功するオーナー様は、物件購入時以外にも資金の有効で効率的な使い方を常に考えています。失敗するオーナー様は、購入時以外、資金を使うことを極端に嫌がります。なぜなら不動産投資を事業ではなく単なる投資と考えているからです。「物件購入後に資金をどう使うことが収益を上げることになるか」ということまで考えず、資金の有効な使い方など知りませんし、知ろうともしません。
手持ちの物件が空室になった場合、成功するオーナー様は家賃を上げるために内装のリフォームを検討します。大家業の基本は部屋を貸すことです。部屋に付加価値をつけ、より高い賃料を得ることが成功するための第一歩となることを知っているからです。
失敗するオーナー様は「費用がかさむから嫌」といって、絶好の家賃を上げられるタイミングとチャンスをみすみす逃してしまいます。
つまり内装にこだわることが、成功と失敗を分ける分岐点にもなっているということになります。
オーナーになったら常に費用対効果を考えることが重要
オーナーになった際に、一番考えなくてはならないことは費用対効果です。どこにどれだけの費用をかけることによって、どれだけの効果を得ることができるのか?
これは事業であれば当然のことです。
サラリーマンや経営者の方であれば、ROIという言葉を耳目されたことはあると思います。Return On Investment。投資利益率の略で、投下した資本に対して、どれだけの利益を得られるかをパーセンテージにして表したものです。不動産投資においても、これを常に意識していくことが重要です。
例えば、入居者が出ていった部屋の原状回復時にいつもより10万円多く投資して、家賃が相場より3,000円上がるように工夫したとします。すると1年間で、以前と比べ家賃収入が3万6,000円増える計算になります。
これをROIで考えてみますと年間で36%となります。つまり利回り36%です。現在、あらゆる金融商品で年36%の利回りを得られるものがどれだけあるでしょう?
かなり困難であることは間違いありません。しかし不動産投資の場合、このような効率の良い投資も決して不可能ではないのです。
成功するオーナー様は、物件に空室が出た時は家賃値上げの絶好のタイミングとして常にその準備を怠っていません。
失敗するオーナー様は、空室が出てしまうと家賃収入がなくなってしまうことを恐れ、逆に家賃を下げてでもすぐに新たな入居者を入れようとします。
短期的に見れば、家賃を下げ、1カ月でも早く新たな入居者に入ってもらう方が損失は防げます。しかし長期的に見れば、リフォームに費用をかけず単純に家賃を下げる行為は、物件の価値の下落を早めてしまう行為にほかなりません。結果として、大きな損失を生んでしまうのはどちらなのかは明白でしょう。
このことからも、常に費用対効果を意識し内装リフォームの施策を考えることが不動産投資においていかに重要かということがおわかりいただけると思います。
原状回復時に行う内装リフォームのポイント
では実際に空室になった部屋の内装をリフォームする際に、どういったことをすればよいのでしょう?
もちろんその部屋の状況や構造によって大きく変わってきます。例えば現在の家賃が周辺の賃貸物件の家賃相場に比べ若干高いといった場合は、大きな値上げは難しくなります。であれば、できる限りコストをかけずに1,000円~3,000円程度のアップを狙います。
低コストで家賃をアップさせるポイントの一つとして、アクセントクロスというものがあります。これは部屋全ての壁面を変えることはコストがかかりすぎるため、1面だけ色を変え部屋全体のデザイン性を上げる方法です。これであれば大幅にコストを下げたうえで、家賃アップをすることが可能です。
逆に周辺の家賃相場と比較して安くしていた場合などは、大幅な値上げのチャンスです。通常よりも費用をかけたリフォームも可能となります。弊社で実際にあった事例をご紹介します。
原状回復のタイミングで部屋の壁紙を全面交換し、フローリングのリペア、シーリングライトも羽根付きの見栄えの良いものに交換。加えてクローゼットの装飾シールの張り替えも行い、部屋のイメージを大きく変えました。
工事費用は総額で28万円。このうち、13万円を元の入居者の原状回復費用でまかない、自己負担額は15万円でした。さて、家賃はというと、リフォーム前の10万8,000円から13万円に上がりました。
家賃の上昇額は2万2,000円。これに12を掛けると家賃の増額分は年間で26万4,000円です。オーナー様が投資した金額が15万円ですから、ROI 176%を達成したことになります。
このように空室になった際のリフォームは、部屋の状況や周辺の家賃相場を鑑みたうえで行うことがポイントとなります。
女性が入居することを前提としたリフォームが重要
空室になった部屋のリフォームのもう一つのポイントは、その部屋に女性が住むということを前提としたリフォームです。
女性の一人暮らしはもちろん、ファミリーやカップルなど男性がいたとしても、どの部屋に住むかという最終決定権は女性にある場合が多いからです。
女性が物件選びのポイントとして最も重要だと考えるのは、水まわりです。全面リフォームが難しい時は水まわりだけでもしっかりとリフォームを行いましょう。
おすすめはウォシュレット。温水洗浄便座の導入です。5万円程度で設置できますし、女性の支持を得やすくなります。
ここまでリフォームのポイントについてご説明をしてきましたが、原状回復時に毎回リフォームをする必要はありません。
「今回はトイレを変えよう」「今回は装飾のシールを貼り直そう」など、少しずつ手を加えていくことが、長期的に見て物件の価値の下落を抑えることにつながります。
今回のコラムは、ここまでです。最後までお付き合い頂きましてありがとうございます。次回のコラムもお楽しみに!
和不動産 仲宗根和徳