【コミュニケーション不足による「見えないコスト」】
組織コミュニケーション支援コンサルタントの斉川貴子です。
「最近は部下を叱れない時代だ」と耳にすることがあります。
ハラスメントにならないようにどのように言えば良いのか、わからなくなり叱れなくなってしまう・・・。
実際には叱ることが問題なのではありません。
問題なのは、「怒る」と「叱る」を混同してしまうことです。
管理職の役割は、感情をぶつけることではなく、組織の成果につながる行動を育てることです。
【怒る】とは、自分の感情を相手に向けることです。
感情的な指導は、その場では相手を従わせることができても、部下の主体性や挑戦する意欲を失わせる可能性があります。
また、「能力がない」「向いていない」といった人格を否定する言葉や、相手を傷つける発言は、ハラスメントに抵触します。
【叱る】とは、組織が求める基準や期待する行動を伝え、相手の成長を促すためのマネジメントです。
例えば、報告が遅れた部下に対して、
「何度言えば分かるんだ。」
これは感情をぶつける「怒る」です。
一方で、
「報告が遅れると、意思決定が遅れ、チーム全体の業務にも影響が出ます。次回は遅れそうだと判断した時点で共有してください。」
これは、問題となった行動と組織への影響を伝え、改善につなげる「叱る」です。
管理職が指導するときに重要なのは、「人格」ではなく「行動」をマネジメントすることです。
「あなたは責任感がない」と人を評価するのではなく、「今回、報告が期限より遅れた」という事実を共有し、「次回はどうすれば改善できるか」を一緒に考える。
この違いが、人材育成の質を大きく左右します。
部下は、上司の言葉から「自分に何を期待されているのか」を感じ取ります。
感情で終わる指導は萎縮を生みますが、目的を明確にした指導は成長につながります。
管理職に求められるコミュニケーションとは、単に良好な人間関係を築くためだけのものではありません。
人を動かし、組織の方向性を共有し、成果を生み出すための重要なマネジメントスキルです。
だからこそ、管理職には「何を伝えるか」だけではなく、「どのように伝えるか」という力が求められます。
叱ることは、相手を否定することではありません。
未来の成長と組織の成果をつくるための、管理職に必要なコミュニケーションではないでしょうか。


