貸家建付地の「一時的空室」はどう判断する?賃貸割合の注意点
中古マンション価格の上昇が続いています。
2026年7月、東京都の中古マンション70㎡換算価格は1億191万円となりました。2021年の5,420万円と比べると、約5年間で88%の上昇です。
しかし、現在の中古住宅市場を単純に「不動産価格が上がっている」と捉えるのは適切ではありません。
東京都と周辺3県では上昇幅に大きな差があり、さらに東京都内でも都心部と郊外では異なる動きをしています。近畿圏でも同様です。
2026年の中古住宅市場では、**「上がっているか」ではなく「どこが上がっているか」**を見ることが、これまで以上に重要になっています。
第1章 東京都の中古マンション価格は1億円を突破
まず、首都圏一都三県の中古マンション価格を見てみます。
2026年7月の70㎡換算価格は、東京都が1億191万円、神奈川県3,774万円、埼玉県2,865万円、千葉県2,515万円となっています。
2021年からの上昇率を比較すると、
東京都 +88.0%
神奈川県 +26.1%
埼玉県 +16.9%
千葉県 +18.0%
となっています。
いずれも価格は上昇していますが、東京都の上昇が突出していることが分かります。
「首都圏の中古マンション価格が上昇している」という平均的な見方だけでは、市場の実態を捉えにくくなっているのです。
第2章 東京都内でも上昇率には大きな差がある
さらに東京都を細かく見ると、地域差はより鮮明になります。
2026年7月の70㎡換算価格は、都心5区が1億6,652万円、城南9,461万円、城東8,411万円、城北7,317万円、城西6,563万円、都下3,850万円です。
特に目立つのが都心5区です。
2021年には8,197万円でしたが、2026年7月には1億6,652万円となり、上昇率は約103%。ほぼ2倍になりました。
一方、都下は3,030万円から3,850万円で、上昇率は約27%です。
同じ東京都でも、都心5区と都下では市場の動きがまったく同じとはいえません。
したがって、「東京都の中古マンション価格が1億円を超えた」という数字を見る場合にも、東京都のどこで価格が上昇しているのかまで確認する必要があります。
第3章 首都圏郊外や近畿圏でも地域差が広がる
地域差は東京都だけの現象ではありません。
首都圏の主要エリアを見ると、2021年から2026年7月までの上昇率は、川崎市約29%、埼玉県主要エリア約26%、横浜市約25%に対して、千葉県主要エリアは約14%でした。
近畿圏ではさらに特徴的な動きがみられます。
大阪府全体では2021年から約45%上昇していますが、大阪都心6区では約87%上昇しています。一方、大阪市その他18区は約20%です。
また、京都府は約12%上昇しているのに対し、兵庫県は2021年をわずかに下回り、神戸市はほぼ横ばいとなっています。
つまり、首都圏でも近畿圏でも、「地域全体が一様に上昇している」という状況ではなくなっていることが分かります。
第4章 中古戸建住宅はマンションとは違う動き
もう一つ注意したいのが、中古マンションと中古戸建住宅を同じ「中古住宅」として捉えないことです。
中古戸建住宅についても長期的には平均成約価格の上昇がみられますが、その動きは中古マンション、特に東京都心部でみられる大幅な価格上昇とは異なります。
また、中古戸建住宅では価格だけでなく、成約戸数の推移も確認する必要があります。
したがって住宅市場を分析するときは、
マンションか戸建住宅か
→ どの都道府県か
→ どの都市か
→ さらにその都市のどの地域か
というように、少しずつ市場を細分化して見る必要があります。
第5章 「平均価格」だけでは市場が見えにくくなっている
2026年の中古住宅市場で特に重要なのは、平均価格だけで市場全体を判断しないことです。
東京都の中古マンション70㎡換算価格が1億191万円だからといって、東京都内の中古マンションが一律に1億円前後で取引されているわけではありません。
また、70㎡換算価格、平均成約価格、住宅価格指数などは、それぞれ性質の異なる指標です。
市場を見る場合には、
「何の価格なのか」
「どの地域なのか」
「どの物件種別なのか」
「取引量はどう動いているのか」
まで確認する必要があります。
平均値だけを見るのではなく、その内側で起きている変化を見ることが、現在の不動産市場を理解するうえで重要になっています。
まとめ|「上がっているか」から「どこが上がっているか」へ
2026年の中古マンション市場では、東京都を中心として価格上昇が続いています。
しかし、その内訳を見ると、東京都と周辺3県、東京都心部と郊外、大阪都心部とその他の地域では、価格の動きに大きな違いがあります。
中古戸建住宅も、中古マンションとは異なる動きをしています。
これから中古住宅市場を見る際には、「住宅価格は上がっているのか」という大きな括りではなく、物件種別と地域を細かく分けて見ることがより重要になりそうです。
今回は主要な数字に絞ってご紹介しました。
東京都内の地域別価格、首都圏郊外、近畿圏、中古戸建住宅まで含めた詳しいデータについては、当事務所ホームページの記事で整理しています。
詳しくはこちら
「2026年の中古住宅市場はどう動いている?中古マンションの『全面高』から地域選別への変化」
参考:住宅新報「26年秋 不動産流通特集」2026年9月15日号


