相続や贈与、譲渡に強い資産税専門の不動産鑑定士
宮本英通
Mybestpro Interview
相続や贈与、譲渡に強い資産税専門の不動産鑑定士
宮本英通
#chapter1
相続税の算定において、多くの税理士が課題と感じているのが「土地の評価」です。国税庁が定める財産評価基本通達に基づき、評価を行うのが一般的ですが、「いびつな形状」「接道条件に制約がある」といった土地では、実態に即した評価が難しい場合があります。そのため、市場価格を踏まえた鑑定評価が用いられるケースもあります。
「一般的な路線価評価でも、形状や建築基準法上の規制などに応じて減価補正は行われます。ただし、あくまで標準的な決まり事であり、すべての土地に一律に適用するとかえって不都合が生じることがあります。実際の価格より割高になる場合もあるため、状況に応じた判断が求められます。顧問先の土地評価に不安がある場合は、ご相談いただければと思います」
こう話すのは、不動産鑑定士の宮本英通さん。不動産鑑定士と税理士が在籍する事務所で経験を積み、2014年に東京都渋谷区で「ローツェ不動産鑑定」を開業しました。
「標準的なルールだけでは判断が難しい、いわゆるグレーゾーンの評価には慎重な対応が必要です。前職では税理士事務所をクライアントとした案件が多く、路線価評価と鑑定評価の双方を経験しました。中でも広大地の評価に携わった経験は、複雑な案件に対応するうえでの基盤となっています。制度改正により評価方法は変わりましたが、当時も評価額に大きな影響を与える重要な領域でした」
#chapter2
相続・贈与税の計算の際に適正な評価を行うためには、段階的な確認が必要です。まず登記簿謄本などの資料を取得し現地調査を行ったうえで、役所などで法規制の有無を確認。その後、対象地について、財産評価基本通達による原則評価、路線価評価と鑑定評価のいずれが適切かを判断します。
相続財産を評価するときに判断を難しくしている要因の一つに、独特な評価単位のルールがあることが挙げられます。例えば、一つの土地に複数の貸家がある場合は、区画ごとに評価します。こうした複雑な状況を整理する際に活用されるのが、宮本さんのCADによる図面化です。目に見えにくい土地の条件や利用状況を図面として可視化することで、関係者間での認識のずれを防ぐ役割も果たします。
「過去には、一つの土地に複数の貸工場と駐車場が設けられている案件を担当しました。現地を確認すると、道路に直接接していない建物もあり、本来は減価要因と考えられる状況でした。しかし、実際には共用通路を通じて人の動線が確保されていたため、その状況をCADで図示することで、実態に即した評価につなげることができました」
近年は、節税(相続対策)を目的として「土地と建物のうち建物のみを同族法人へ売却したい」といった相談も増えています。
「売買において、評価額と市場価格に差があると判断された場合、その差額が課税対象となる可能性があります。特に同族法人間の取引では慎重な対応が求められるため、不動産鑑定士による評価が必要かどうか、ご相談いただくことが肝要かと思います」
#chapter3
「共有財産になっている土地を持ち分通りに分割する場合にも鑑定評価を用いた方が良いこともあります。単に面積を按分すればよいというものではないこともあるからです。もし、分割した土地の一方が、旗竿地など極端に形状が悪い場合、その土地の価値は低くなり、結果として持分通りに面積按分すると分割後の評価額に不公平が生じてしまいます。たとえ今、共有者間の関係が良好であったとしても、相続の発生を機に問題が表面化するかもしれません。そのため、将来的な活用のしやすさや資産価値のバランスまで見据えた分割が重要になります」
このケースに対して、宮本さんは分割後の各土地についてどの程度の価格が見込めるかを検証するために、分割想定図をCADで示し、将来の利用イメージを可視化するのです。
「業務の効率化という観点からも、煩雑な評価業務は専門家に任せていただきたい」と話す宮本さん。自身を使い勝手のよい不動産鑑定士と呼びます。依頼内容や状況を丁寧にヒアリングし、クライアント自身で対応可能と判断すれば、具体的な進め方をアドバイスすることもあります。柔軟な対応ができるのも、グレーゾーンの扱いに精通しているからにほかなりません。財産評価基本通達は、不動産鑑定士の試験科目にもなく、一般の不動産鑑定事務所に勤務しているだけでは触れる機会もありません。そのため通達を理解している不動産鑑定士は多くないといいます。
「クライアントのみなさまと長くお付き合いを重ねることで、顧問先の意向や所有する土地の状況に応じた対応がしやすくなります。無理のない範囲で方向性を探ることもできますし、私がお手伝いしても税額への影響が限定的であるといった点についても、踏み込んでご説明できます。今後も信頼関係を大切にしながら、継続的にサポートしてまいりますので、お気軽にご相談ください」
(取材年月:2026年4月)
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相続や贈与、譲渡に強い資産税専門の不動産鑑定士
宮本英通プロ
不動産鑑定士
ローツェ不動産鑑定
財産評価基本通達に基づく評価と鑑定評価の双方に精通し、CADを用いて土地の状況を可視化。評価が難しい案件にも配慮しながら、適正な判断をサポートし、税理士の業務を円滑に進められるよう支援します。
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