「事業承継税制」を使えば、税負担を大きく減らせる可能性がある

末廣哲彦

末廣哲彦

テーマ:事業承継

「会社を後継者に引き継がせたいが、税金が心配で踏み出せない」
そんな声を、経営者の方からよく耳にします。
確かに、自社株を誰かに渡す際には、贈与税や相続税が発生することがあります。
しかし、その負担を大幅に軽減できる制度が、すでに存在しています。
知っているかどうかで、結果が大きく変わる話です。

1. 事業承継にかかる「税」の基本

自社の株式(非上場株式)を後継者に引き継ぐとき、その方法によって異なる税が発生します。
生前に贈与する場合は贈与税(相続税法第21条等)、亡くなった後に相続が発生する場合は相続税(相続税法第1条等)がそれぞれかかります。
中小企業の場合、自社株の評価額が想像以上に高くなるケースがあり、「会社は継がせたいが、税金が払えない」という事態が生じることもあります。
この問題に対応するために設けられたのが、事業承継税制です。

2. 「特例事業承継税制」で何が変わるのか

事業承継税制には「一般措置」と「特例措置」の2種類があります。

【一般措置】
非上場株式の贈与税・相続税の一部を納税猶予する制度です。
(根拠:租税特別措置法第70条の7〔贈与税〕・第70条の7の2〔相続税〕)

【特例措置】
2018年の税制改正で設けられたより優遇された仕組みで、対象となる株式数の上限や猶予割合が一般措置より拡充されています。
(根拠:租税特別措置法第70条の7の5〔贈与税〕・第70条の7の6〔相続税〕)

いずれも、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)」に基づく都道府県知事の認定を受けることが、適用の前提条件となります。
具体的な要件や猶予額については、税理士や税務署への確認が必要です。

3. M&Aの費用を補助してくれる制度もある

事業承継やM&Aを進める際にかかる専門家費用(M&Aアドバイザー費用・デューデリジェンス費用など)を補助する「事業承継・引継ぎ補助金」という制度も存在します。
中小企業庁が所管しており、毎年公募が行われています(補助金適正化法に基づく運用)。
補助の対象や上限額は年度ごとに変わるため、最新情報は中小企業庁または認定支援機関へご確認ください。

4. 「制度には期限がある」という現実

特例事業承継税制の特例措置には、計画書の提出期限や、贈与・相続が完了していなければならない期限が設けられています。
「いつかやろう」と先送りにしているうちに期限を過ぎてしまうケースも実際にあります。
詳細な期限については、税理士・中小企業診断士等専門家にご確認ください。

5. まず「自社が使えるか」を確認することから

税制の内容は複雑で、すべての状況に同じ制度が当てはまるわけではありません。
重要なのは、「こういう制度がある」と知った上で、専門家に相談することです。
制度の活用は、早めに準備を始めるほど選択肢が広がります。

まとめ

事業承継にかかる税の負担を軽減する制度は、すでに法律として整備されています。
知らずに使わないままでいることが、最ももったいない選択かもしれません。
「うちにも使えるのかな」と思った方は、まずその確認から始めてみてください。

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Mybestpro Members

末廣哲彦
専門家

末廣哲彦(M&Aコンサルタント)

株式会社LEG(レグ)

中小企業の事業承継を支援。M&Aありきではなく、親族承継や社内承継、廃業なども含めた簡易診断から選択肢を整理します。契約後の経営統合(PMI)まで伴走し、事業継続と成長の土台づくりを支えます。

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