「決められない」にも、理由がある

末廣哲彦

末廣哲彦

テーマ:事業承継

事業承継やM&Aの話を聞いたことがある。
必要だとも思っている。
でも、なかなか動き出せない。
そういった経営者の方は、決して少なくありません。
「なぜ動けないのか」と自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
でも、少し立ち止まって考えてみると、「決められない」には、それだけの理由があることがほとんどです。

1. 「まだ早い」という感覚の正体

「もう少し業績を上げてから」「あと数年は自分でやれる」
——そういった言葉を口にする経営者の方は多いです。
これは単なる先延ばしではなく、「今の自分にはまだできることがある」という、経営者としての責任感や誇りの表れでもあります。
長年会社を率いてきた人間が、そう感じるのは自然なことです。
ただ、一つだけ知っておいてほしいことがあります。
M&Aや事業承継の準備には、一定の時間がかかります。
「そろそろ」と感じたときには、すでに動き始めるべきタイミングであることが多いのです。
「まだ早い」という感覚は、むしろ「ちょうどいい時期」のサインかもしれません。

2. 「もし失敗したら」という恐れ

決断できない理由のもう一つに、「間違えたらどうしよう」という恐れがあります。
高く売れなかったらどうしよう。
社員が辛い思いをしたらどうしよう。
相手先が信頼できる会社でなかったら——。
そういった不安は、会社と人を大切に思っているからこそ生まれるものです。
責任感のある経営者ほど、この恐れは深くなります。
「決断できない」のは、いい加減だからではなく、真剣だからです。

3. 「自分が決めていいのか」という迷い

特に2代目・3代目の経営者の方から聞くのが、「先代が作った会社を、自分の一存で動かしていいのか」という迷いです。
親や祖父が苦労して築いた会社。
社員やその家族が生活をかけている会社。
取引先との長年の関係。
それだけの重みを背負っていれば、「自分だけが決める」ことへの躊躇が生まれるのは当然です。
これは「決断力がない」のではなく、「それだけ多くの人のことを考えている」ということです。

4. 「決められない」は、弱さではない

決められないでいる経営者の方に伝えたいのは、それが弱さではないということです。
長年の経験と責任感があるからこそ、簡単には踏み出せない。
その慎重さは、むしろ信頼に値する姿勢です。
ただ、一つだけお願いがあります。
「決められない」状態のまま時間だけが過ぎていくことは、それ自体が一つの選択になってしまいます。
決断を迫られているのではありません。
まず「現状を知る」だけでいい。それが、前に進む最初の一歩です。

まとめ

「決められない」のには理由があります。
責任感、恐れ、周囲への配慮——
それはすべて、あなたが会社と人を大切にしてきた証です。
まず動いてみることを求めているのではありません。
「自社の今の状態はどうなのか」を知るだけで、霧が晴れることがあります。
決断は、その後でも遅くありません。

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末廣哲彦
専門家

末廣哲彦(M&Aコンサルタント)

株式会社LEG(レグ)

中小企業の事業承継を支援。M&Aありきではなく、親族承継や社内承継、廃業なども含めた簡易診断から選択肢を整理します。契約後の経営統合(PMI)まで伴走し、事業継続と成長の土台づくりを支えます。

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