M&Aの「お見合い」って何をするの?
「M&Aで会社を売ることを考えているが、うちの財務状況で大丈夫だろうか」
そんなふうに感じている経営者の方は、少なくないと思います。
決算書に自信がない、数字が複雑でよくわからない、という声もよく聞きます。
ただ、知っておいてほしいのは「今すぐ完璧な状態でなくても、整えることで変わる」という事実です。
M&Aにおける会社の評価は、現在の数字だけで決まるわけではありません。
1. 買い手が最初に見るのは「正常な収益力」
M&Aの場面で会社の価値を測るとき、買い手側がまず注目するのは「この会社は普通の年に、どれくらい稼げるのか」という点です。
これを「正常収益力」と呼びます。
一度きりの補助金収入や、たまたま発生した特別損失などは除いて、本業の実力を見極めようとします。
つまり、ある年の決算書の数字がよくても悪くても、「本当の実力はいくらか」を見られるのです。
自社の決算書を見たとき「これは正常な数字なのか」と問いかけてみてください。
その問い自体が、整理の出発点になります。
2. オーナー企業特有の「費用」を見直す
中小企業、特にオーナー企業の決算書には、上場企業では見られない費用が含まれていることがあります。
たとえば、オーナー自身や家族への報酬が、会社の規模に対して高めに設定されているケース。
あるいは、経営判断として計上している費用が、業務上の必要性が説明しにくいケースなどです。
これらは、M&Aの評価の場で「正常ではない費用」として調整の対象になることがあります。
「うちの費用の内訳、買い手にどう見られるだろう」と一度考えてみると、意外な気づきがあるかもしれません。
3. 「財務の透明性」が、交渉を有利にする
M&Aの最終段階には、買い手側が会社の財務・法務・税務などを詳しく調べる「デューデリジェンス」(尽善調査)というプロセスがあります。
このとき、過去の決算書や契約書、税務申告書などの資料をまとめて提出する必要があります。
資料が整っていて説明がしやすい会社は、買い手の安心感につながり、交渉をスムーズに進める土台になります。
逆に、資料が散逸していたり、数字の根拠が説明しにくかったりすると、それだけで時間がかかり、条件交渉に影響することもあります。
「今、資料を出せと言われたらすぐ出せるか」
その問いが、財務の整備度を測るひとつの目安です。
まとめ
財務を「整える」とは、数字を飾ることではありません。
本業の実力を正確に見せること、余計なノイズを除くこと、説明できる状態にしておくこと
それだけで、M&Aの交渉での見え方は変わります。
「うちの財務、どう見られるんだろう」と気になった方は、まず現状を確認することから始めてみてください。
専門家に相談する前に、自分自身で棚卸しするだけでも、大きな一歩です。


