決してあきらめずに
お彼岸のころまで信じられないような「残暑」がつづきましたが、まもなく9月も終わりとなります。今から27年前、1997(平成9)年9月30日に、峠の難所をゆく鉄道として104年間にわたって親しまれた、旧信越本線横川‐軽井沢間(碓氷線、通称「横軽」)が廃止となりました。翌10月1日から、北陸新幹線東京‐長野間が先行開業したためです。
EF63とあさま用車輌
横川駅での切り離し
この時からしばらくの間、同新幹線が「長野新幹線」と通称されていたことをご記憶の方も多いでしょう。しかもごく初期は、「長野”行”新幹線」と言われました。北陸新幹線はあくまで長野、富山、金沢、福井を経て大阪へ至る新幹線であり、「長野新幹線」の名称が定着すると、本来の意義が忘れられてしまうからというのが、その理由でした(事実、その後金沢までの延伸開業には18年の時を要しました)。さらに、東京駅や上野駅の案内などでは「長野行」の「行」の字が、小さいフォントで書かれていたのです。その後2015(平成27)年に、北陸新幹線は長野から先、金沢までが延伸開業して、名実ともに「北陸新幹線」となりました。そしてさらに、ことし令和6(2024)年3月16日から、金沢‐敦賀間が延伸開業して、現在は東京‐敦賀間が北陸新幹線の運転区間となっています。
敦賀から先は、福井県小浜市付近から南下し、京都府北部を通り京都駅付近に駅を設置して、終点大阪をめざすルートが決定していますが、現在まだ工事ははじまっておらず、通過予定の自治体などから反対の声が上がり、米原ルートの見直し論も出るなどルート選定から目を離せない状況となっています。しかしとにもかくにも、全通まであと敦賀‐大阪を最後の建設区間とするところまでこぎつけているのです。
北陸新幹線長野開業にあたっては、冒頭ご紹介した横川‐軽井沢間の在来線が廃止されたほか、軽井沢‐篠ノ井間が第三セクターしなの鉄道しなの鉄道線に移管され、篠ノ井以遠(新潟まで)はJR東日本の信越本線とされました。また金沢開業時は、長野‐妙高高原間がしなの鉄道北しなの線、妙高高原‐直江津間がえちごトキめき鉄道妙高はねうまライン、直江津‐市振間が同日本海ひすいライン、市振‐倶利伽羅間があいの風とやま鉄道、倶利伽羅‐金沢間がIRいしかわ鉄道と、それぞれ第三セクターに移管されています(このため篠ノ井‐長野間は、前後がしなの鉄道の各線となり、篠ノ井で合流・分岐する篠ノ井線松本・塩尻方面はつながっているものの、「信越本線」としては篠ノ井‐長野間9.3キロだけの「飛び地」のような状態になっています)。そして今年の敦賀開業では、金沢‐大聖寺間がIRいしかわ鉄道、大聖寺‐敦賀間がハビラインふくいに移管されています(やはり両社とも第三セクター)。
かつての横軽、碓氷越えを愛していた方たちは、この9月の終わり、長野開業に伴う横川‐軽井沢間の廃止の日に、思いを馳せられるのではないでしょうか。言問学舎ならびにわたくし小田原漂情は、この北陸新幹線長野開業に際して「横軽」への惜別の思いをこめた『小説 碓氷峠』(2000年3月画文堂版)を出版しており、当時は新聞紙上でもご紹介いただくなど、多くの方々の共感を集めました。この『小説 碓氷峠』は言問学舎店頭およびAmazonで販売しているほか、現在は横軽、碓氷峠の歴史を伝えている碓氷峠鉄道文化むらでも、販売していただいています(お出かけの際は、ぜひお買い求め下さい)。この本には、アプト時代の列車やめがね橋の写真のほか、旧草軽電鉄の列車や駅の写真も掲載してあります。
上毛新聞2000年4月27日付
信濃毎日新聞2000年4月9日付
読売新聞川崎版2000年9月28日付
また今年7月には、言問学舎の刊行物として、北陸本線全線を顕彰し、鉄道の未来に言及した『さらば北陸本線 鉄路の韻き』(2024年7月言問学舎版)を出版して、大変ご好評をいただいております。この本には、2009年11月に鉄道雑誌『ノスタルジックトレインNo.3』(芸文社)に執筆した『小説 碓氷峠』の姉妹篇「小説 鉄の軋み」を収載してあり、今日が忘れられない記念日である旧信越本線「横軽」の在りし日のロマンを偲んでいただくこともできます。
『小説 碓氷峠』、『さらば北陸本線 鉄路の韻き』とも、Amazonおよび言問学舎店頭でご購入いただくことができます。また『小説 碓氷峠』は碓氷峠鉄道文化むらで購入でき、『さらば北陸本線 鉄路の韻き』は書店・ネット書店からの注文も可能です。ぜひよろしくお願い申し上げます。
Amazon言問学舎
国語力に定評がある文京区の総合学習塾教師
小田原漂情
文京区の総合学習塾・言問学舎HP
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