三陸の鉄道に捧げる頌(オード)の完結作『志津川の海』を書きました!
シルバーウィークの5連休が終りました。私は昨日、ふと思い立って昼から越後湯沢をたずねて来ましたが、みなさまはいかがお過ごしでしたか。
YouTubeでの「詩の朗読」は、当初高村光太郎の『智恵子抄』より15篇、夏休みに立原道造作品を4篇公開した後、石原吉郎「麦」、茨木のり子「わたしが一番きれいだったとき」と進め、先週は佐藤春夫の「海辺の恋」をご紹介しました。
そして一昨日(9月22日)、佐藤春夫の「秋刀魚の歌」を公開致しましたので、ご報告させていただきます。じつは昨日、自宅で紹介記事を書きかけていたのですが、越後湯沢へ行くことが急きょ決まったため、ご案内が一日遅くなってしまいました。
「秋刀魚の歌」は、庶民にもなじみの深い秋の魚である秋刀魚を歌っているため、ひろく知られていますが、その内容は、のちに結婚することとなる谷崎潤一郎夫人の千代を(この当時は谷崎の心変わりによって一度決まっていた千代の谷崎との離婚が白紙になり、春夫は谷崎の違約として縁を切って)深く思い、傷ついた心をうたっている作品です。それゆえに-
さんま、さんま、
秋刀魚苦いか塩つぱいか。
そが上に熱き涙をしたたらせて
さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。
あはれ
げにそは問はまほしくをかし。
という、自嘲的な問いかけ(「さんまの上に熱い涙をしたたらせて、さんまを食うのはどこの里のならいだろうか。ああ、本当にそれは問いたくて、知りたくてたまらない、意味深くまた可笑しなことあるよ。」)が、読者の共感を呼ぶのではないでしょうか。