決してあきらめずに
秋になりました。梅雨入りのころにはじめた「詩の朗読」は、冬が近づくと受験期に入ってゆくため、いつまで定期的につづけられるかわかりませんが(夏休み中も、不定期とさせていただきました)、可能な限りは、週初の公開を志し、つづけて行きたいと思います。
今回は、大正から昭和にかけて文壇・詩壇を牽引した佐藤春夫の「海辺の恋」を読ませていただきました。文語七五調の定型詩で、大正10年(1921年)に刊行された詩集『殉情詩集』に収められています。
佐藤春夫は、和歌山県新宮市の出身。この詩においても、熊野(国)の海の情景が、鮮やかに、そしてものがなしく立ちあらわれ、春夫詩の世界と、彼の郷里の熊野のイメージが、ゆたかにむすびついているようです。
熊野には、熊野本宮大社、熊野那智大社、熊野速玉大社の「熊野三山」があり、新宮市の熊野川河口近くにある熊野速玉大社の境内には、東京にあった佐藤春夫邸を移築した「佐藤春夫記念館」があります。
私は二十代から三十代の前半にかけて、熊野を五回、たずねました。熊野三山には、二度ずつお詣りしたと思います(熊野那智大社のすぐそばには、西国三十三か所一番札所の青岸渡寺があり、五重塔と那智の滝が並んで見えます。佐藤佐太郎や上田三四二という著名な歌人も、今日にまで語り継がれる名歌を残しています)。先日ご紹介した立原道造の「夏の弔ひ」の際にもお話ししましたが、十代の頃に読んだ作品は、いつまでも心の底に残り、あるいは血肉にしみこむほどにも、読者を魅了するものなのかと思います。
海辺の恋
国語力に定評がある文京区の総合学習塾教師
小田原漂情
文京区の総合学習塾・言問学舎HP
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