研鑽と進化を
6月より、YouTubeを利用して高村光太郎の『智恵子抄』の朗読からはじめた「詩の朗読」は、夏休み中、不定期の形で立原道造の詩を何篇か、読ませていただきました。すこしご報告が遅くなりましたが、8月31日に「夢みたものは……」を公開して、ひと区切りとさせていただいた次第です。
「夢みたものは……」は、立原の没後に堀辰雄が編集して世に出た、立原作品の総決算とも言うべき詩集『優しき歌』の巻末に置かれている、まさに立原の詩の到達点とも言うべき作品です。ソネット(14行詩)の第4連を、ここに引用させていただきます。
夢みたものは ひとつの愛
願ったものは ひとつの幸福
それらはすべて ここにある と
今でも、浅間山麓や八ヶ岳山麓の高原には、立原道造の息づかいが感じられるように思います。それは立原道造という稀有な詩人の魂が、美しい日本語のリズムを得て(もちろん、きびしく練り上げられているからこそ)、いつまでも美しく輝いているのだと、わたくしには思えます。
高村光太郎同様、立原作品についてもこれで終わりではありませんが、「ひと区切り」のご報告をさせていただきます。少しでも、立原道造の詩の魅力をお伝えできれば幸いです。