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さて、「採点ミス」についても、述べておきましょう。
ことの性質をひと言で言ってしまえば、テストの採点時において、ミスは「起こりうる」ものです。一人の採点者の採点においては、いかにミスのないように細心の注意を払って採点しても、なお少しのミスは「あるものだ」と考えるべきです。
それが最終的なミスとして残ってしまわないよう、採点のしくみを工夫するとか、二重、三重のチェックをするなど、細心の注意を払うのが、採点にかかわり、テストを運営する側の務めです。もちろん「入試」ですから、各高校の現場の先生方、都教委ほか運営にかかわる全体が、注意に注意を重ねていたこととは思います。
しかし、実際には大変な数のミスがあったことが、明らかになったのです。一般的に、誤りを防ぐためには、ア.携わる人が気を配る、精神面での注意 イ.システムの改善 の2種類の取り組みが、考えられると思います。
このうちイについて、今回の新聞記事では、2点、非常に気になる内容がありました。ミスのあった学校側から、都教委の聞き取りに対して上げられた声だということです。
①用紙の書式が違うため、「見誤り」が起きやすい。
実際に生徒が答案を書く解答用紙と、正答が公表される際の用紙の書式が、たしかに違います。記号や数字で答える問題では、見誤ることもありそうです。そのことの是非はともかく、この点などは「システム的」に改善を図るべきことでしょう。両方の書式を改善して、最適と考えられる形に統一すれば、済むことです。
これだけ多くのミスが出て、問題が顕在化した(合格のところが不合格の受験生まで出た)以上、来春の入試から、ただちに改善して欲しいと思います。
②入試が終ってから発表まで「中3日」しかなかった。
これは、東京マラソンのために、入試日を「1日ずらした」のが原因です。都立高校入試(前期)は、毎年2月23日実施と決まっているのに、今回「東京マラソン」の方が2月23日実施とされ、入試日を24日に変更しながら、合格発表日は2月28日で変更なしとしたため、入試当日と合格発表日の間には、たしかに3日しかありませんでした。
来年、もとの23日に戻るとはいえ、これは看過できない問題です。東京マラソンの主催者は、「一般財団法人東京マラソン財団」(2010年設立)だということですが、もともとは東京都と日本陸連が主催であり、現在も共済団体である東京都が、東京都立高校の入試日程を動かして(または、軽視あるいは無視して)、23日のマラソン開催を認めたということでしょう。
こうした事態を招いた一因である「都政」には、大きな責任があるはずです(決定当時の責任者は、辞任していますが)。今後再びこのような日程上の問題が生じる時に、同じ過ちを繰り返すことは、決して許されないことだと考えます。
アについては、通常のテスト以上に、入試という機会で十分注意をされているであろうという前提のもと、さらに次のことを、実際に採点に従事する先生方に、お願いするしかないでしょう。
それは、昨日も述べた通り、受験生たちは一枚一枚の答案に、自分の夢や人生を懸けているのであり、採点に当たる方々は、「決められた仕事」ではなく、受験生ひとりひとりの人生を左右する「崇高な職務」なのだということを、もう一度見つめ直して、採点をしていただきたいということです。
また、今回ミスがなかった学校も、うちは大丈夫、ということでなく、ミスがあって名前の出た学校を他山の石として己を戒め、毎回新鮮な気持ちで、採点に臨んでいただきたいと思います。高い都立高人気がつづく今だからこそ、入試の公正さと信頼の維持に、全力を注いで欲しいところであります。
おわり
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