2016年8月9日に
若いころから旅が好きでした。しかもできるだけ汽車と徒歩、というのが基本です。はじめて一人旅をしたのは高校3年生の夏休み、甲府への日帰りの旅でした。
その頃、エル特急は登場していましたが、全国規模の特急大増発(急行のほとんどが特急に置きかえられた時)よりはすこし前だったので、中央本線は特急「あずさ」と急行「アルプス」がしのぎをけずっている、そんな時代でした。
汽車旅が基本ですから、日帰りであっても、特急や急行に乗るような旅の時には、必ず時刻表をたずさえていました。大学生になってから後は、ほぼ例外なく、交通公社⇒JTB発行の、レギュラーサイズの時刻表です。
こんな分厚いの持ち歩くの?と、よく聞かれたものですが、これ一冊で全国の私鉄・バスを含む交通機関から宿泊の予約まで、ほとんどの用途をこなせる便利なものです。おそらく一生、この時刻表を持たずに旅をすることはあるまいと、ずっと思っていました。
ところで昨年の夏から、仕事の都合もあり、スマートフォンを使うようになりました。便利であることはわかっていましたが、これが「旅と時刻表」にまでからんで来るとは、当初は思いもよらないことでした。もちろん、スマートフォンで簡単に検索できる各線・各駅の時刻表の影響です。
日帰りの旅ではありますが、このところ何度か、時刻表を持たずに多少の遠出をしています。もちろん、大まかな行き帰りは、やはりJTBの時刻表を見て決めるのですが、大体の行程が決まっていれば、当日は行く先々の細かな時刻を調べるのにはスマホの検索で十分なので、分厚く重い時刻表は、持って歩かなくともよくなってしまったのです。
もちろん、未知の土地に思いをはせ、白紙のキャンバスに旅程を組み立てて行くためには、きちんとした時刻表が不可欠です。そもそも両者には、次のような長所短所があり、棲み分けが果たされるものと思われます。
・時刻表 長距離の旅、乗り継ぎの複数候補などを調べるのには、圧倒的に速い(慣れもあるが)。「旅情」という点では、文句なしにこちらに軍配があがる。ただし、旧国電区間などは、主要駅のみ、または「5~7分毎」などの記載となっていて、すべての駅のすべての電車の時刻は、確認できない。
・スマートフォン JRや大手私鉄なら、すべての駅のすべての電車の時刻が検索できる。この点が、圧倒的に紙の時刻表より便利である。が、当然「旅情」には乏しい。また、一見到着時刻や接続などもわかりやすいようであるが、前後の列車の動きなどは見えないため、検索で出て来たものを信じるしかない点が、われわれ旅慣れた者には物足りない。さらにダイヤ改正時なども、注意が必要である。
このようなところから、日帰りの行程については、時刻表を持たずにスマートフォンだけで行動したのですが、不都合は生じませんでした。
ただ私としては、やはり泊りがある場合には、今後も時刻表を携行するでしょう。何しろ旅の楽しみには、旅程とは関係のない枝線の名前を聞いて、「次はあそこへ行ってみよう」などと夢想を膨らませることもあるのですから。その時スマートフォンの検索で、時刻表と同じようにあこがれが広がるだろうとは、とても思えないのです。
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国語力に定評がある文京区の総合学習塾教師
小田原漂情
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