日本舞踊を習うには何歳がいいですか? 〜尾上流〜
第十回日本舞踊おさらい会
第十回のおさらい会を開催することが出来ました。最初はたった4名の会でしたが、お陰様で15名の弟子に囲まれて出来ましたことを心から感謝します。
年齢層
偶然にも6歳から70代まですべての年代が揃っていて、見応えのある会でしたと言ってもらえる会となりました。6歳の子は可愛らしく、70代の方は深みのあるそれぞれの個性ある踊りを披露できました。
病の克服
アナウンスで自己紹介をしてもらうのですが、N子さんは自分で書いた紹介文をアナウンスが読むところで泣いてしまいました。舞台中央に正座して、今こそ幕が開く!というその時のことです。
病を克服して日本舞踊を習いたいと願い、頑張って治療を続けたこと、やっと習うことが出来て舞台に立つことができたこと、辛かったことを思い出して、そして舞台に立てることを嬉しく思い、涙が流れたそうです。
日本舞踊の特徴
深い呼吸
息を深く吸って吐く、忙しい生活の中でつい浅くなりがちな呼吸を整えることができます。丹田に意識を集中して、背中をまっすぐにすることで、気持ちをまっすぐに前向きに物事をとらえることができるようになります。
N子さんはこの舞台で生まれ変わったような気持ちがするそうです。
舞台には不思議な力があります。たったひとりで大きな舞台に立ち、お客さんの視線を浴びることは、大げさではなく生きていく力をもらうような気持ちになります。
他にも昨年初めて舞台に立ったことで自分に自信がつき、受験に挑戦して受験当月まで稽古に通いながらも合格を手に入れた子もいます。
自己肯定感
日本舞踊にははっきりとした優劣をつけることは難しいです。自分の肉体を使い表現することから、6歳の子に可愛らしさでは負けてしまうし、70歳の方には深みという点では勝ち目がありません。
基本的に人と比べることは難しく、昨年の自分、半年前の自分、1週間前の自分と何が変わったか?こそがポイントです。自分で昨年よりもしっかりと表現できるようになった、要返しが上手くなった、すり足ができるようになった、体幹が鍛えられた、曲の意味を考えて踊るようになった。など、自分で自分の成長を感じることこそが手が上がったことになります。
自己肯定感をもつことで、踊りの手があがることだけではなく、自信をもって人生を歩き始める方がいます。日本舞踊には不思議な力があると感じています。
日本舞踊を習う目的
我が稽古所に通う人は目的もさまざまです。役者が所作を学びに来ていますし、着物が好きで着ることが大好きで着物を着て何かしたい方もいます。また、日本舞踊が大好きで名取を目指している方もいます。目的もそれぞれですが、それぞれの目標を達成できるように指導します。
美しい着物
その中で大切にしていることは、正しく美しい着物を伝えることです。
街には着物姿が多くなっていますが、正直に綺麗と感じることは少ないと感じています。帽子をかぶったり、靴を履いたり、衿がレースだったりと、アレンジが盛んです。基礎をわかって崩しているのはいいと思うのですが、全く何も知らずに取り入れていることには寂しさを感じます。この時代に着物を着るということに誇りをもっていまして、着物って綺麗と思ってもらいたいです。
おさらい会の着付
先日のおさらい会では、着付は皆で手がけました。私と名取の弟子が主に着付をしますが、少しずつ皆も自分で出来るようになっています。当日は中学生が着付補助に回り、紐を渡したり、帯揚げを結んだりという手伝いができるようになっていました。これは日々の成果でして、まずは自分で着付ができるようになる。次に人にも着付が出来るようになる。最終的には、舞台の着付と踊りに合わせた帯結びも出来るようになります。
来年に向けて
人に着付をする稽古日を設けて、実際に緩まない腰ひもの結び方や踊りに合った帯結びを稽古し合います。
踊りの基礎を大切にして、全員が基礎を身につけた上で曲を踊れるようにします。
様々な年齢の方が、それぞれの目的に合わせて稽古をしています。