【特許はお金がかかる② 全部を出願しなくていい】
◆発明の主体 技術とビジネス
先日、新規出願でこんな案件がありました。
具体的なことは開示できないので、抽象化して書きます。
ある物理量を測定する測定器を製造販売している企業の発明です。
この物理量を測定するときに、その測定環境の状態によって測定精度に影響がでます。
そこで、測定環境の状態を簡単に測定して、その結果により物理量の測定精度を改善する、
という発明が生まれました。
ここでの重要な論点は、
この発明の主体が、
「物理量測定」なのか、
「環境状態測定」なのか。
どちらを主体として発明を捉えるかによって、
明細書の書き方も、請求項の構成も、そして最終的な権利範囲も変わってきます。
物理量測定のほうは、従来の技術をほぼ使っていて、工夫をしたのが環境状態測定のほうなので、
発明者は環境状態測定のほうを中心に説明し、
明細書を作成していただく特許事務所の弁理士の先生にも、
それを中心に説明します。
そこで出来上がった明細書案は、環境状態測定を主体としたものでした。
その観点での明細書としては、良い明細書になっていました。
しかし、この企業のビジネスは、その環境状態を測定する装置ではなく、
物理量を測定する装置を製造販売することです。
この企業は、この発明によって何を守りたいのか。
競合他社に何をされたら困るのか。
将来、どこで収益を生み出していくのか。
ここで、知財担当の見識による介在が問われることになります。
最終的にどのような構成の権利範囲・明細書にしたかはここでは開示しませんが、
「この発明の技術的なポイントは何か」
だけではなく、
「この会社のビジネスとして、何を権利にしておくべきか」
まで含めて検討し、
発明技術対ビジネスを考慮した出願権利化として、
良い議論ができました。
知財担当者の重要な役割であることを実感した案件でした。


