【FIFAワールドカップと「著作権」「放映権」】

長谷川欣也

長谷川欣也

テーマ:権利活用

【FIFAワールドカップと「著作権」「放映権」】


FIFAワールドカップ2026 北中米大会は、
決勝戦(アルゼンチン対スペイン)と
3位決定戦(フランス対イングランド)を残すのみになりました。

以前ワールドカップでの商標について投稿しました。
今回は、著作権関連です。

◆実演

日本の著作権法では、サッカーの試合そのものは「著作物」ではありません。
また、選手のプレーも通常は「実演」には当たりません。(※1)

そして、実演を行った俳優や歌手などの「実演家」は、
録音・録画などを禁止したり、実演家名の表示・非表示を決定する権利など(著作隣接権・実演家人格権)を持ちます。
しかし、スポーツ競技者のプレーは「実演」に含まれないので、
実演家の権利を持ちません。

◆放映権

ところが、その試合を撮影した映像は話が変わります。

中継映像には、カメラ配置やカメラワーク、映像の切り替え、リプレイ、編集など、
多くの創作的な工夫が施されています。
そのため、試合映像は通常「映画の著作物」(※2)として著作権法の保護対象になると考えられています。

一方で、「放映権」という言葉を見聞きすることがありますが、
日本の著作権法には「放映権」(※3)という名称の権利はありません。

一般に「放映権」と呼ばれているものは、
試合映像に関する著作権や、その利用を認めるライセンス契約などを総称した実務上の呼び方です。

◆知的財産の活用

FIFAは、この映像に関する権利を一元的に管理し、
世界各国の放送事業者等へライセンスを提供することで、
莫大な収益を上げています。

スポーツそのものには著作権はないのですが、
それを「映像(コンテンツ)」にして、契約(ライセンス)によってコントロール
することで、知的財産という価値に変えることができます。
知的財産と契約がベースになって、世界最大級のビジネスが成り立っているのです。

◆注釈

(※1) 著作権法上の「実演」
著作物を演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠したりすること(著作権法第2条第1項第3号)です。

(※2) 映画の著作物
著作権法第16条,29条などに規定されていますが、ここで説明しきれないので、皆様調べてみてください。

(※3) 放映権、放送権
著作権法では、放送権(著作権法第92条など)が規定されていますが、これと放映権とは異なるものです。

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長谷川欣也
専門家

長谷川欣也(知的財産プロデューサー)

IP-Sta-tice

大手機器メーカー、スタートアップそして大学での知財・法務の実務実績と、電子系エンジニアの技術知識を生かして、知財戦略の立案から、出願権利化・活用までの実務全般をお客さま企業と一緒に伴走支援します。

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