受験英語の効率的な勉強順序は基本文法の習得から

井川治久

井川治久

テーマ:受験英語

「大学受験のため」の英語の勉強法は、「語学」として英語を習得する方法と、基本的には同じですが、異なる点もあります。
受験日までの限られた時間の中で、効率よく無駄のない流れで学んでいくことが、合否を決定づけるカギとなります。最大限のリターンを得るための学習の流れを押さえましょう。
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効率的な勉強の順序

志望校を目指し勉強する意欲に満ち溢れていても、その方法が誤ったものであれば、せっかくの努力が水泡に帰するかもしれません。例えば、いきなり志望校の過去問ばかりを解いていても、基礎がおろそかであれば、得るものは少ないでしょう。

最終的に志望校の入試にさえ通ればよいのだから、赤本の過去問が解けさえすればいい。そう安直に考えていくと、自分の行きたい大学の入試問題で出題されるのが長文読解問題が主で、文法や英文和訳(英語構文解釈)の配点がわずかであれば、基本文法に時間をさくのはもったいないと感じるのも無理からぬ話です。

しかし、これは他の教科にも通じる真理ですが、「入試に出るか出ないか」という価値観だけでの学びは、結局は小手先だけの力にしかなりません。英語は言語です。言語とは、「音声や文字によって情報を伝達する規則」なのです。その規則の基礎ができていなければ、本物の得点力は身につきません。英語は入試科目の中でも配点が最も高い科目です。受験を制するためには、英語を武器にする必要があります。

では、具体的にどのような順序で学習を進めていくべきでしょうか。
生徒の習熟度にもよりますが、まずは自分の英語力がどの程度であるかを診断テストなどで把握しましょう。基本的な部分から理解ができていないのであれば、躊躇することなく基礎英語に立ち戻ってやり直します。長文読解の基礎となる英単語や文法に自信を持てるようになって初めて、本格的な受験勉強がスタートするのです。

「英単語・熟語」「文法」の基礎固めをしてから「英文解釈」、そうして、ようやく「長文読解」の段階へと進むことができます。
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英単語はすべての基礎

まずは、英単語ですが、全ての基礎となるものであるのに、その重要性に気付いていない人が多いのではないでしょうか。英単語を知らなければ、長文読解はおろか、英文法や英作文、リスニング問題も理解することはできません。ですから、英単語は、地道に毎日覚えていくことが必要となります。時間がかかるものであるからこそ、最初から始めるのが良いでしょう。

英熟語も、長文の中にたびたび登場します。熟語は、知らなければ手も足も出ません。独特な言い回しだからこそ、入試で出題されやすいものなのです。覚えているか否かだけの差で、得点できるかどうかにかかわってきます。単語と同様、ないがしろにはできません。

英文法の理解も、次の段階へのステップとして欠かせません。英文解釈でも長文読解でも、文法があやふやなままでは、得点も頭打ちとなるでしょう。

英文解釈(英文和訳問題)は、英文を訳すトレーニングとなるものです。文の構造を考えたり品詞分解をしたりすることで、複雑な文を読み解くことができるようになります。長文読解の土台となるものですので、長文に苦手意識のある人は、力を入れてみましょう。

最後に、長文読解ですが、ただ単にざっと読めればよいというものではありません。大学入試で必要とされる力は、正確に早く読み解けるというものです。つまり、ここにたどり着く準備段階として、基礎的な学習が済んでいなければ「早く」「正確に」英文の長文を読むことができないのです。それまでに身に付けた「英単語・熟語力」「文法力」「英文解釈力(英文和訳力)」を駆使することで、ようやっと長文と向き合えるのです。
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非効率な勉強方法とは

受験日までの残された期間で、これら4つの項目の学習において、どのくらいのボリュームをこなすことが必要かを見定めることが肝要です。

基礎が危ういという自覚があれば、受験勉強計画の前半部分で基礎に多くの時間を割くなどして、全体としての計画が上手に立てやすくなります。基礎力が不足していることに気づいているのに、やみくもに問題集に手を付けることなど、無計画に進むことは止めましょう。やらないよりはましですが、効率が悪すぎます。

本格的な受験勉強を始めるのが遅かった場合、周りのライバルたちが過去問などに手を付けていると、焦ってしまうかもしれません。それでも、急がば回れということわざが示すように、基礎固めを先にするほうが、結果として近道になります。

単語や文法があまりにも未熟な段階で長文読解に取り組むと、未知の部分が多くなり過ぎて意味が全くくみ取れず、時間がかかる割には得るものは少ないでしょう。基本的な単語でつまずいていたら、いちいち意味を調べるところからやり直さなければなりません。

ひとつやふたつの単語なら、前後の文脈から意味を推測することができる場合もありますが、知らない単語ばかり続出するのでは、やる気もそがれてしまいます。確かに、基礎的な項目に習熟することなく「長文だけの数をこなしていくというやり方」もあるでしょう。受験勉強の方法は様々ですが、この方法は効率的ではない場合が多いと言えます。

ただし、受験勉強を始めた時期によっては、入試まで余裕がないこともあります。そういった場合には、基礎部分の単語や文法と並行しながら長文に取り組まなければならないことになります。それでも、やはり、基礎は単語や文法にありますから、そこに重点を置きつつ、習熟していくにつれて、応用へのボリュームの配分を多くしていくなどして調整しましょう。

また、単語だけ、文法だけを完璧にしたとしても、難関大学受験は突破できません。受験本番では、総合力が問われることになります。

受験勉強の進め方、計画の立て方は、一概にこれがベストというものはありません。生徒の現在の学力や志望校、入試までの残り時間によって、各々ベストな計画は異なるものです。

少人数制の塾や個人指導塾でしっかりと入試までの学習計画を考えてくれるパートナーがいれば、努力を無駄にすることはないでしょう。


◆2017年10月20日~2017年11月14日の全12回の「受験英語のコラム連載」に関しましては、「井川治久先生へのインタビュー」を参考にして構成されたコラムとなっております。

(更新日: 2022年3月20日)

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井川治久
専門家

井川治久(塾講師)

井川塾・受験英語学院

39年間の大学受験英語の合格指導実績により、受験英語の肝を知り尽くす。効果的な受験英語上達法で、生徒を志望校合格に導く。★最後までとことん面倒を見る姿勢は好評を博している。著書多数。早大OB、開成OB

井川治久プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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