ハンドメイドは売れていても続かないことがある?

新井一

新井一

テーマ:起業

売れた数だけでは、続けられるかどうかは分からない

――週末にアクセサリーを作っていて、月に10点ほど売れることもあるのに、材料を買うとお金がほとんど残らないという方がいます。売れていても、ハンドメイドの仕事を続けられないことはあるのでしょうか?

新井:あります。注文が入るのはうれしいことですが、10点売れたという数だけでは、材料費や販売手数料を払ったあとにいくら残るのかが分かりません。さらに、制作と発送に何時間使ったのかも見ないと、忙しいのに手元にお金が残らない理由はつかめないのです。作品の出来を疑う前に、一点売れたときのお金と時間を確かめましょう。

――「売れているのだから、もっと作ればいい」と考えたくなります。

新井:一点ごとに赤字なら、数を増やすほど赤字も増えていきます。赤字でなくても、制作から梱包まで長い時間がかかるなら、注文が増えたときに週末だけでは間に合わなくなるでしょう。続けられるかどうかは、販売個数だけでは決まりません。

一点売るまでに払ったものを、数える

――何から計算すればいいでしょうか?

新井:最近売れた作品を一点選んでください。まず、販売価格と、買い手が払った送料を分けて見ます。そのうえで、その取引で実際に引かれた販売手数料を確認します。材料費、梱包材、こちらが負担した配送料も引きましょう。手数料の計算方法は販売先によって違いますから、自分の取引明細に書かれている金額を使うのが確実です。

――材料をまとめ買いしていると、一点あたりの費用が分かりにくいですね。

新井:10点分の材料を買ったのなら、実際に使った分を数えて、一点あたりに直します。まだ売れていない作品の材料まで、売れた一点の費用に全部乗せてしまうと、判断を誤ります。一方で、売れ残った材料や作品を、なかったことにもできません。まず一点の販売で残る額を出して、そのあとで、在庫に使ったお金を別に確認してください。

――作業時間も、一緒に記録したほうがいいのでしょうか?

新井:はい。制作だけでなく、撮影、説明文を書く時間、買い手への連絡、梱包と発送も入れます。一点から残った額を合計時間で割れば、時給のように比べられます。ただし、この数字だけで作品づくりをやめる必要はありません。値段を変えるのか、作り方を変えるのかを考える材料にするのです。

注文より先に、作りすぎない

――在庫が増えることも、続けにくさにつながりますか?

新井:売れる前にたくさん作ると、材料を買ったお金が先に出ていきます。売れ残った作品を抱えたまま次の材料を買うと、売上のある月でも、手元の現金が減ることがあります。作るのが好きな方ほど、販売を待つ間に新しい作品を作りたくなるものです。だからこそ、何点までなら先に作ってよいのかを、決めておく必要があります。

――注文を受けてから作る方法なら、すべて解決しますか?

新井:注文前の在庫は抑えられます。ただ、すぐ発送してほしい人には向きません。商品ページに制作にかかる日数を書いて、自分が週末に作れる数だけ注文を受けてください。材料の調達に時間がかかるなら、その日数も含めます。売れる数が増えたからといって、納期を守れない数まで受けるのは避けたいですね。

作業を増やさずに、残る額を変える

――注文が増えたら、制作時間はどう考えればいいですか?

新井:一点ごとに新しい形を考えて、撮影して、説明文も一から書いていると、10点分の仕事がそのまま積み上がります。共通の部品や工程を使える作品を選ぶと、作る時間を見通しやすくなります。ただ、何でも同じ形にしてしまうと、買い手が選ぶ理由も薄くなります。お客様がどの素材や使い心地を求めているのかは、問い合わせの内容を読んで決めましょう。

――最初の相談は、作品に不安があるというより、仕事として成り立つかどうかが不安なのですね。

新井:その通りです。先に売れた一点を調べれば、売れたのにお金が残らない理由を分けて考えられます。手数料や材料費が大きいなら、価格や仕様を考える。作業時間が長いなら、受ける数や制作方法を考える。原因によって、直すところは違います。

次の一点で、試すこと

――最初にすることを一つ選ぶなら、何でしょうか?

新井:直近で売れた作品について、入金額から手数料、材料費、梱包材、自己負担の配送料を引いて、制作から発送までの時間も書いてみてください。その一点で何が残ったのかを見てから、次の作品を先に作るのか、注文を受けてから作るのかを選びます。10点売れたという実績は、すでにあります。今度は、一点売るたびに、続ける力が増えているかどうかを確かめましょう。

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。

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新井一
専門家

新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

会社を辞めずに始める起業だけを26年支援してきた起業18フォーラム代表。延べ6万人の相談に応じ、著書13冊は台湾・韓国でも翻訳出版。会社員のまま小さく始める実践手順を伝えています。

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