毎日SNSに投稿しても、教室の申し込みが来ないときは何を変える?

新井一

新井一

テーマ:起業

投稿を増やす前に、申し込みまでの道筋を確かめる

――水彩画教室を開く準備をしていて、SNSを毎日更新しているのに、体験レッスンの申し込みが来ないという方がいます。「SNS集客はもう古い」と言われたそうですが、やめるべきでしょうか?

新井:毎日続けているのなら、投稿を増やすより先に、見た人が体験レッスンに申し込めるかどうかを確かめましょう。投稿で作品を見て興味を持っても、開催場所、料金、日程、申し込み先が見つからなければ、申し込みようがありません。SNSが古いかどうかを決める前に、初めて訪れた人のつもりで、プロフィールと案内ページを読んでみてください。

――投稿の内容が悪いとは、まだ決められないのですね。

新井:そうです。見る人が少ないのか、見られているのに申し込み先までたどり着けないのかで、直す場所が違います。フォロワーの数だけでは分かりません。プロフィールを開いた人が、どんな教室なのか、どこで開くのか、いくらなのかを、すぐに読めるでしょうか? 投稿の最後から、申し込みのページへ進めるでしょうか? まず、そこを確認しましょう。

――作品の写真を毎日出していても、レッスンの案内がなければ、教室を開いていること自体が伝わらないかもしれませんね。

新井:ええ。きれいな絵を見て満足する人と、習ってみたい人とでは、次に知りたいことが違います。拙著『朝晩30分 好きなことで起業する』でも、発信は「誰に向かって」書くかを意識する、という話をしました。水彩画に関心のある人が体験レッスンを受けるかどうかを決めるには、作品だけでなく、何を描けるようになるのか、初めてでも参加できるのか、時間や料金はどうなのか、といった情報が必要です。

最初の一人は、投稿の外にもいる

――申し込みが一件もない段階で、SNS以外にできることはありますか?

新井:対面の教室なら、知り合いや地域の人に、いつ、どこで体験できるのかを直接伝える方法があります。公民館や地域の催しに参加できるなら、実際の絵や、教えている様子を見てもらうこともできます。知っている人に声をかけないまま、毎日の投稿だけを続ける必要はありません。最初の受講者が何を見て来てくれたのかを、聞けるところから始めましょう。

――直接誘うのは、押し売りのようで気が引けるという方もいそうです。

新井:興味のない人に、何度も買ってほしいと迫る話ではありません。「大人向けの水彩画の体験レッスンを始めます。絵を描いてみたい人がいたら、案内を見てもらえますか?」と、内容と申し込み先を知らせれば十分です。実際に参加を考える人が、何を尋ねてくるのかも分かります。投稿の文章を一人で何度も直すより、聞かれたことを案内ページに書き足したほうが役に立つでしょう。

――SNSは、そうして知った人が、あとから見に来る場所にもなるわけですね。

新井:はい。紹介で名前を聞いた人が、今も教室を開いているのか、どんな作品を描くのかを見に来ることがあります。ですから、投稿を毎日続けられなくても、アカウントをすぐに消す必要はありません。開催予定や申し込み先が古いままなら直して、実際の教室の様子が伝わる投稿を残しておきましょう。投稿の回数より、参加を考えている人が必要な情報を読めることのほうが先です。

問い合わせが、どこから来たのかを見る

――SNSの効果は、何を見て判断すればいいでしょうか?

新井:問い合わせが来たら、「何で教室を知りましたか?」と聞きましょう。投稿を見て初めて知ったのか、誰かに紹介されてからアカウントを見たのかで、SNSの役割が変わります。前者なら、投稿から申し込み先へ進めたかどうか。後者なら、紹介してくれた人にどんな案内を渡せるか。そこを見ます。何件投稿したかを数えるだけでは、この違いは分かりません。

――投稿回数を減らして、紹介からの申し込みを増やした方もいるのですか?

新井:休日に写真の講座を開いている柏木さんという方がいます。問い合わせの経路を聞き直してみたら、紹介で来た方が多く、アカウントを見た方も、紹介で名前を聞いてから調べていたそうです。それで投稿の回数を減らし、過去の受講者への連絡や、講座の案内に時間を回しました。ただ、これはその方の実例で、どの教室でも同じ結果になるという意味ではありません。水彩画教室でも、まず届いた問い合わせの経路を、自分で見て判断してください。

――今はまだ問い合わせがゼロなら、どこから見ればいいでしょうか?

新井:プロフィールに来た人が、レッスンの案内までたどり着けるか。そして、知り合いに案内して返事が来るか。この二つです。申し込みが来ない理由を「フォロワーが足りないから」と決めつける前に、申し込み先が見つかるかどうかを、自分で試してみてください。体験レッスンを知らせた相手から、料金や開催場所を尋ねられたなら、その答えを案内にも書いておきましょう。

投稿の予定を組み直す順番

――投稿を続けるかどうかは、いつ決めればいいでしょうか?

新井:まず、教室の案内に、対象、受講後にできること、日時、場所、料金、申し込み方法をそろえます。そのうえで、身近な人や地域の場に案内してみる。問い合わせが届いたら、どこで知ったのかを聞く。それを見てから、SNSに毎日時間を使うのか、回数を減らして、教室の準備や参加者への連絡に時間を回すのかを決めればいいのです。

――「古いからやめる」と、先に決めなくてもよいのですね。

新井:そうです。SNSを続けるにしても、作品の写真を一枚増やす前に、体験レッスンの案内がきちんと読めるかを見てください。紹介から来た人にも、投稿で初めて知った人にも、同じ案内へ進んでもらえます。申し込みが来ない原因を投稿の数だけに求めず、最初の一人が申し込めるところまで、実際の画面で確かめてみましょう。

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。

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専門家

新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

会社を辞めずに始める起業だけを26年支援してきた起業18フォーラム代表。延べ6万人の相談に応じ、著書13冊は台湾・韓国でも翻訳出版。会社員のまま小さく始める実践手順を伝えています。

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