起業で成功したい会社員が今すぐやめるべき「考えすぎる」習慣|起業18フォーラム代表・新井一氏が語る行動力の秘訣
同じ年代でも、相談したいことは違う
――休日に相談を受ける仕事を始めたいという方からの質問です。対象は職業や年代で決めるべきか、それとも悩みで決めるべきか。何を基準に考えればいいでしょうか?
新井:まず、案内文を読む人の立場で考えてみてください。「40代の会社員向け」と書かれていても、その方は、自分が何を相談できるのかが分かりません。同じ年代の会社員でも、起業する仕事が決まらない人と、やりたい仕事は決まったのに周りに話す勇気が出ない人とでは、欲しい答えが違いますよね。相談の仕事なら、年齢よりも「何に困っている人の話を聞くのか」を先に決めたほうが伝わります。
――年代を書いてはいけない、という意味ではないのですね。
新井:もちろん、必要なら書いて構いません。ただ、年代だけで対象を決めたつもりにならないことです。「40代の会社員の方へ」の次に、どんな悩みを相談できるのかが書かれていなければ、読んだ人は申し込む理由を見つけられません。たとえば、仕事を変えたいけれど家族にまだ話せていない人と、転職先を二つまで絞って迷っている人とでは、同じ40代でも、相談の進め方は変わります。
――案内文を読んだ人が、「これは今の私のことだ」と思えるかどうか、ということですね。
新井:そうです。案内文の最初の一文を読んだだけで、相談できる悩みが分かるか。そこを見てください。拙著『会社員が働きながら月30万円を稼ぐ起業法』でも、理想のお客様を考える項目に、年齢や年収だけでなく、その人が挑戦していることを挙げています。属性を書き込むだけでは、その人が今どこで迷っているのかまでは見えないからです。
専門外の答えまで求められないようにする
――悩みを細かく書くと、その分野の具体的な解決策まで求められそうで怖い、という声もあります。
新井:それなら、引き受けることと、引き受けないことを案内文に書きましょう。たとえば「転職するか迷っている人の考えを、一緒に整理します。ただし、求人の紹介や採用の保証はしません」という具合です。悩みを示すことと、その悩みのすべてに答えることは別です。こう書いておけば、相談者も、申し込む前に何を頼めるのかが分かります。
――「迷っている人」という書き方だけでは、まだ広すぎませんか?
新井:その通りです。何を迷っているのかまで書かないと、誰に向けた相談なのかが分かりません。「起業する仕事は決めたけれど、会社を辞める時期を迷っている人」のように、その人が今決めたいことを書きます。一方で、会社を辞めるべきかどうかを、相談を受ける側が代わりに決めると約束してはいけません。引き受けるのは、判断に使う条件を一緒に考えることです。
――案内文には、相談できる範囲も合わせて書くわけですね。
新井:はい。相談の回数や時間を決めているなら、それも実際の提供内容に合わせて示してください。何でも相談できるように見せておいて「それは専門外です」と答えるより、最初に範囲を伝えておくほうが、お互いに安心できます。資格が必要な相談を扱わないなら、その点もはっきり書いておきましょう。
案内文の主語を、相談する人にする
――年齢や職業で始まる案内文は、どう書き直せばよいでしょうか?
新井:今ある一文の主語を、相談に来る人に戻してみてください。「30代の営業職の方へ」なら、その方が何を決められずにいるのかを続けます。たとえば「営業の仕事は続けたいけれど、独立して受ける仕事をまだ決められない方へ」なら、相談の目的が分かります。ただし、これはあくまで例です。実際に受ける相談と違う悩みを、集客のためだけに書いてはいけません。
――相談の経験が少ないと、どんな悩みが多いのかを決めきれない気もします。
新井:その場合は、まだ受けていない相談を「よくある悩み」と決めつけず、知っている人から実際に聞いた質問をもとに考えましょう。誰かに案内文を見せて、「どんな相談ができると思う?」と尋ねる方法もあります。自分が想定した答えと相手の答えが違えば、書き直す場所が分かります。年齢を細かく設定するより、ずっと具体的な確認になります。
申し込む前に、何を頼めるかが分かる文章にする
――対象を狭くすると、お客様が減るのではないかという不安には、どう答えますか?
新井:案内文を狭く書いたからといって、条件の違う方からの相談を、すべて断る必要はありません。まずは、いま自分が答えられる悩みを一つ示すことです。「誰でもどうぞ」と書くと、読んだ人は、自分が相談してよいのかどうか判断できません。対象を広げる前に、一人が読んで「自分の相談を聞いてくれそうだ」と分かる文章にしましょう。
――最初に直すなら、どの一文ですか?
新井:案内文の冒頭です。年齢や職業だけを書いているなら、その人が今何に迷っていて、相談したあとに何を決めたいのかを書いてみてください。そして、その相談で自分は何を一緒に考え、何は引き受けないのかを続けます。対象を決める作業は、架空の人物像を細かく作ることではありません。相談する人が、申し込む前に、自分の悩みと提供内容を照らし合わせられるようにすることです。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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