AIに仕事を奪われる時代、会社員やフリーランスが「今すぐ動くべき」理由
受講する人は、申し込む前にプロフィールを見ている
――ストアカで講座を出したいという方が、同じ分野に講師がたくさんいて迷っています。人気のある講師とは、教え方が違うのでしょうか?
新井:教え方も大切です。ただ、申し込む前の人には、まだその違いが分かりません。講座のページや講師のプロフィールを読んで、自分が知りたいことを教えてくれる相手かどうかを判断します。そこで名前と肩書きを見ても何の専門家なのか分からなければ、講座の中身まで読んでもらえないかもしれません。まずは、誰に何を教える人なのかを、短く伝えるところから始めましょう。
――表計算を教える講座なら、「表計算の講師」では足りませんか?
新井:表計算の講座は、たくさんあります。その肩書きだけでは、初心者に基本操作を教えるのか、月末の集計を楽にするのか、相手には分かりません。たとえば「月末の集計を手作業でしている事務の人に、自分で集計表を作る方法を教える講師」なら、対象も、学べることも伝わります。肩書きは、格好のよい名前を考える場所ではありません。受講する人が、自分向けの講座かどうかを確かめるための言葉です。
テーマは、受講後にできることから決める
――関数の基本、月末の集計表、ピボットテーブルと、講座の候補が三つある場合は、どう選べばよいですか?
新井:最初に、誰が受けるのかを具体的に考えます。毎月、手作業の集計に時間をかけている事務の人を対象にするなら、月末の集計表を一緒に作る講座が考えられます。その人に必要な関数だけを説明すれば、機能を広く紹介する講座より、目的がはっきりします。受講後に、その人が何を自分でできるようになるのか。それを言えるテーマにしてください。
――テーマを絞ると、教えられることが少なく見えてしまいませんか?
新井:講師が知っていることを全部並べるより、受講者が困っている作業を一つ助けるほうが、選んでもらいやすいのです。ピボットテーブルを学びたい人と、月末の集計表を作りたい人とでは、同じ機能を使っても、求めている結果が違うかもしれません。まず一つの講座で、誰の何を助けるのかを決める。ほかにも教えたいことがあれば、受講者の質問を聞いて、別の講座にすればよいでしょう。
実績が少なくても、本業の経験は書ける
――ストアカで教えた回数がゼロだと、プロフィールに書ける実績もないと思ってしまいそうです。
新井:講座の開催回数を作り話で増やしてはいけません。でも、本業で使っている知識や経験なら書けます。経理の仕事で表計算を使っていて、社内勉強会で同僚に教える予定があるなら、その内容を正確に伝えてください。ただし、「社内で教えた」と書けるのは、実際に教えたあとです。これから行う勉強会を、すでに終えた実績として書かないことも大切です。
――肩書きには、資格や立派な経歴を並べたほうがよいのでしょうか?
新井:受講者が知りたいのは、自分の困りごとを助けてもらえるかどうかです。資格が講座のテーマに関係するなら書く意味がありますが、関係のない肩書きを増やしても、講座の内容は伝わりません。自分が普段どんな仕事をしていて、どんな作業を教えられるのか。それを普通の言葉で書いてください。プロフィールと講座ページとで、対象者と教える内容が食い違わないようにしましょう。
講座を出す前に、肩書きを読み直す
――最初に掲載する前に、どこを見直せばよいですか?
新井:まず、名前のそばにある肩書きを読んで、誰のための講座なのかが想像できるかを確かめてください。次に、講座ページの対象者と教える内容を読み、肩書きで示したことと合っているかを確認します。「表計算が得意です」だけでは、受講者が何を得られるのかが見えません。「手作業で月末の集計をしている人が、自分で集計表を作れるようになる」まで言えれば、申し込む前の判断材料になります。
――人気の講師をまねて、肩書きを長く飾る必要はないのですね。
新井:ええ。教える前から、授業の上手さを証明することはできません。まずは、何を教われる人なのかを、受講者に伝わる言葉で示してください。仕事で実際にしてきたことから講座を一つ作り、肩書き、プロフィール、講座の説明を、同じ相手に向けて書く。そのうえで、受講者が迷わず選べるかどうかを確かめてみてください。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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