「収入を増やしたい」だけで起業を考えています。動機が弱くて続かないでしょうか?
教材を読む子どもと、購入を決める親
――子ども向けの教材を売るとき、子どもに話しかける文章にするか、購入する親に向けて説明するか、迷う方も多いと思います。販売ページは、どちらに向けて書けばよいでしょうか?
新井:代金を払う親御さんに向けて書きましょう。教材そのものは、子どもが読んで分かるように作ります。子どもに教える仕事をしていると、案内を書くときも、つい子どもに呼びかけたくなりますよね。でも、買うかどうかを決めるのは親御さんです。ですから、家庭でどう使えるのかを伝えたいのです。
――親に向けた案内にすると、子どものことを後回しにしたように感じてしまいそうです。
新井:案内の相手を親御さんに決めても、子どもが使いやすい教材を作ることは変わりません。ここを一緒に考えてしまうと、教材まで大人向けの文章にしなければいけないような気がしてきます。売るために書く案内文と、子どもが読む教材は、分けて考えてよいのです。
贈り物も、使う人と買う人は違う
――子どもの教材以外にも、同じように考えられる商品はありますか?
新井:贈り物のお菓子なら、食べる人と買う人が違いますね。高齢の親御さんに渡す手順書を、離れて暮らすお子さんが買うこともあります。こうした商品では、使う人に喜んでもらうだけでなく、買う人が納得して代金を払える説明が必要です。一方、大人が自分のために受ける講座なら、受講する人にそのまま案内できます。自分の商品は、誰が使って、誰がお金を出すのでしょうか? 申し込みボタンを押す人まで思い浮かべてみてください。
――両方に向けて書けば、幅広く伝わる、というものでもないのですね。
新井:子どもに「楽しく続けられるよ」と呼びかけた直後に、親御さんへの購入案内が始まると、誰に話しているのか分かりにくくなります。文章の書き方をいくら学んでも、相手を決めないままでは、書き直すたびに同じところで迷うと思います。
楽しさだけでなく、家庭での使い方を伝える
――親に向けて書く場合、教材のどんな点を伝えるとよいでしょうか?
新井:子どもが楽しめることに加えて、家庭でどう使うのかを伝えたいですね。たとえば、親御さんがどのくらい声をかける必要があるのか、子どもがどこまで1人で進められるのか。取り組む時間も、買う前に知りたいことだと思います。「分かりやすい教材です」と書くだけでは、買ったあとの様子が浮かびません。内容のよさを言うだけでなく、使うときに親子が何をするのかまで説明すると、親御さんも選びやすくなります。
――練習にかかる時間を書くなら、実際に確かめた数字が必要ですね。
新井:そうですね。1回分に何分かかったのか、最後まで終えるのに何回必要なのかを確かめて、その内訳から時間を出します。短く見せようと先に合計時間を決めてしまうと、あとから説明できなくなります。親御さんに聞かれたとき、どう計ったかを答えられる数字にしてください。声をかける回数が減る、といった説明も、期待だけで書かないことです。
案内文と写真を、同じ相手に合わせる
――文章の相手が決まったら、写真や価格も見直したほうがよいでしょうか?
新井:はい。親御さん向けの説明なのに、写真や届け方が子どもだけを想定したままだと、案内がちぐはぐになります。写真なら、親子で使っている様子を見せる。案内を届ける場所も、親御さんが普段読んでいるメールやLINEなどを考えます。文章を変えるときは、写真と届け方も一緒に見直してください。
――価格については、どう考えればよいですか?
新井:子どもがお小遣いで買う商品なのか、親御さんが教育のために買う商品なのかで、比べる相手も変わります。親御さんが払う教材なら、ほかの習い事の月謝などと並べて考えることもあるでしょう。子どもには高そう、親なら払えそう、と行ったり来たりする前に、誰が何のために買うのかを決めておきたいですね。
販売ページで、読み直したい3か所
――すでに販売ページがある方は、どこから直すとよいでしょうか?
新井:最初の一文、買う理由の説明、申し込みボタンの直前です。冒頭が子どもへの呼びかけになっていたら、親御さんが心配していることから書き始めてみましょう。買う理由のところでは、楽しいという説明で終わらず、家庭での使い方を伝えます。最後に、申し込みボタンを押す前に、価格と内容を親御さんが比べられるかを読み直してください。子どもが教材を使うための説明は、購入後の案内や、教材の冒頭に置けます。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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