彼氏が起業したいと言い出した。反対すべき? めちゃくちゃ多い現場からの質問に答えます
隊の中で頼られてきたことを思い出す
――任期満了後に自分で仕事をしたいという自衛官の方がいます。民間で働いた経験がなくても、隊での経験を起業に生かせるのでしょうか?
新井:生かせる経験はあると思います。ただ、階級や職種の名前を、そのまま売るものにするのは難しいでしょう。お客様が知りたいのは、その人が何をしてくれるのかですから。まずは、隊の中で「この段取りはあの人に聞こう」と頼られたことや、感謝された仕事から考えてみてください。
――たとえば、どんな仕事でしょう?
新井:後輩の相談に乗ってきた、行事の段取りを任されてきた、体力づくりを人に教えてきた、といったことです。もちろん、実際に頼まれたことだけを挙げてください。訓練を受けたから誰にでも教えられる、という話ではありません。何を頼まれて、どう役に立ったのか。そこまで思い出すと、自分にできることを言葉にしやすくなります。
隊の外でも、同じことで頼られるか
――隊の中で評価された仕事なら、民間でも求められると考えていいのでしょうか?
新井:そこは分けて考えたいですね。隊の中では、任務や役割が決まっているから頼まれる仕事もあります。それが隊の外にいる人にも同じように役立つかどうかは、別に確かめる必要があります。家族や地元の友人から、同じことで相談された経験はありますか?
――隊の外からも頼まれた経験があれば、起業の候補になりますね。
新井:ええ。たとえば行事の段取りをしてきた方なら、隊の外では、誰のどんな準備を手伝えるのかを考えます。単に「段取りが得意です」と言うより、頼む人が何に困っているのかまで話せるほうが、仕事の形を考えやすいでしょう。隊の中だけで通じる言葉は使わず、相手が頼める作業を普通の言葉で説明できるかどうかも大事です。まだ隊の外で頼まれたことがないなら、すぐに売れると決めつけないことです。
資格より先に、誰を助けるかを考える
――隊で取った資格から、仕事を選ぶ方法はどうでしょうか?
新井:資格は、信用してもらうための材料の一つです。でも、資格の名前だけでは、誰が何を頼むのかは決まりません。たとえば人の話を聞くのが好きなら、まず「どんな相談を受けて、相手は何に助かったと言ってくれたか」を思い出します。そのうえで、必要な資格や学びを考える。この順番がいいと思います。
――民間の仕事を知らないと、商品や料金を決められないのでは?
新井:最初から決める必要はありません。まず、隊で頼まれたことと、隊の外でも頼まれたことを比べます。共通する仕事が見えてきたら、誰に何を提供できるかを考える。そこで初めて、資格が必要なのか、どこまで自分でできるのかを調べればいいのです。隊の中での評価だけを根拠に、売れると決めないことが大事ですね。
任期満了前に、有料で始めてもいい?
――まだ在職中に、試しに有料の仕事を受けてもいいのでしょうか?
新井:そこは先に、服務の規定を確かめてください。自衛隊法第62条では、自分で営利企業を営むことなどを原則として禁じていて、承認を受けた場合の規定も置かれています。第63条にも、報酬を受けてほかの職に就く場合や、営利企業以外の事業を行う場合の承認についての定めがあります。「休みの日だから大丈夫」と自分で判断して、料金を受け取るのは避けましょう。
――仕事の案を考えることと、実際に有料で始めることは、分けて考えるのですね。
新井:そうです。何をしたいかを考える段階でも、隊の情報や、勤務で知ったことを外へ出さないよう気を付けてください。収入を得る活動を始める前には、所属先で、必要な承認の手続きを確かめます。任期満了後の計画と、在職中にできることを、一緒にして考えてはいけません。
まず、何で頼られていたかを一人に聞く
――任期満了が近い方は、最初に何をすればいいでしょう?
新井:同期か後輩の一人に、「これまで自分は何を頼まれていたかな?」と聞いてみてください。自分では当たり前だと思っている仕事を、相手がよく覚えているかもしれません。その答えを手掛かりに、隊の外でも、誰の困りごとを助けられるのかを考えるのです。階級を仕事の名前に置き換えるより、そのほうが具体的な一歩になります。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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