起業準備で「勉強だけして動けない」人に共通する、たった1つの落とし穴
駄菓子だけで、店は続けられる?
――駄菓子屋を開きたい方から、「駄菓子は安いから儲からないと言われて迷っている」という相談です。商品は、どう考えればいいでしょうか?
新井:駄菓子は1個が安いので、何個か選んでもらっても、1回の会計はどうしても小さくなります。だからまず、駄菓子を買いに来た人が、ついでに買いたくなるものを考えます。いきなり高額の商品を並べても、それを目当てに来るお客さんを、別に集めなければなりません。開きたい場所でどんな人が買い物をするのかを見て、駄菓子と組み合わせられるものを探すのが先です。
――つまり、お客さんが一度に使う金額を増やす、ということですね。
新井:はい。ただ、単価を上げるためだけに商品を足すと、店の良さが見えなくなります。子どもが自分のお小遣いで選ぶ店なのか、親子で立ち寄る店なのか。誰が何を買うかで、置くものは変わります。場所もまだ決まっていないなら、最初から仕入れる商品を決め打ちしなくていいのです。
なぜ、飲み物なのか
――相談者の方は、飲み物を候補に考えているそうです。なぜ飲み物なのでしょうか?
新井:駄菓子を食べていると、その場で飲み物も欲しくなるからです。拙著『1億円稼いでいる人は何をしているのか?』では、「より簡単なのが、〝ついで買い〟の商品を並べておくことです」と書きました。ハンバーガーとポテトを例に挙げましたが、駄菓子屋ならジュースやお茶がそれに近いですね。駄菓子を選んでいる人に飲み物を勧めれば、何と一緒に買えばいいのかが自然に伝わります。
――いろいろな種類をそろえたほうが、買ってもらいやすいのでしょうか?
新井:種類を増やすほど売れるとは限りません。まずは、駄菓子との組み合わせを一つ考えれば十分です。たとえば、食べながら飲めるもの。あるいは、大人が子どもへの贈り物に買う場合の、持ち帰り用の袋。この二つは、買う人も使い方も違いますよね。どちらのお客さんが来る店なのかを見ないまま、両方を大量に仕入れる必要はありません。
アイスを置くなら、先に確認しておきたいこと
――アイスも、駄菓子と一緒に買われそうです。飲み物と同じ感覚で始めていいのでしょうか?
新井:アイスは冷凍で売る商品ですから、常温で長く置ける包装済みの駄菓子とは扱いが違います。厚生労働省の営業区分では、常温で長く保存できる包装食品だけを売る場合は営業届出の対象外ですが、温度管理が必要な包装食品を売る場合は届出の対象になります。店で調理して出すなら、営業許可が必要かどうかも確認してください。何を売るのか、包装されたまま売るのか、店で袋を開けるのかを決めたうえで、出店先の保健所に売り方を伝えましょう。
――売り方が決まらないうちは、必要な手続きも一つには決まらない、ということですね。
新井:そうです。袋を開けて小分けにするなら、その方法も伝えてください。飲み物も、缶やペットボトルのまま売るのと、コップに注いで出すのとでは扱いが違います。新しい商品を思いついたら、仕入れる前に売り方まで書き出しておく。そうすれば、保健所に何を聞けばいいのかがはっきりします。ここを後回しにして仕入れだけ済ませると、用意した設備では売れない、ということになりかねません。
勤めている間にできる準備
――まだ店の場所も決まっていない方は、勤めている間に、何から始めるといいでしょうか?
新井:まずは、開きたい場所を歩いてみてください。誰が、どの時間帯に通るのかを見るのです。子どもが放課後に立ち寄るのか、親子が週末に買い物に来るのかで、勧める商品は変わります。次に、駄菓子と一緒に買われそうな商品を一つ選んで、仕入れ値と売値、保管に必要な設備を調べます。飲み物なら置き場所、アイスなら冷凍庫が要ります。売れたときの金額だけでなく、置き続けられるかどうかまで考えましょう。
――「何を売れば儲かるか」の答えは、店に来る人を見て探す、ということですね。
新井:ええ。駄菓子を買いに来る人が一緒に買いたいものなら、勧める言葉にも無理がありません。お客さんをまだ見ていない段階で商品を増やすと、売れ残ったものの置き場所や仕入れ代金が、先に膨らみます。開きたい場所と、そこに来る人を見る。駄菓子と組み合わせる商品を一つ決める。その売り方に必要な手続きを確認してから、仕入れを考えてください。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
→ 新井一のセミナー日程一覧


