保育園に預けながら起業するなら、会社を辞める時期はいつ?

新井一

新井一

テーマ:起業

辞める前に、保育の認定を見ておく

――子どもを保育園に預けながら起業を考えている方は、会社を辞めたら退園になるのではと心配です。退職の時期はどう決めればいいでしょうか?

新井:会社を辞めたからといって、その日に必ず退園になるわけではありません。ただ、預ける理由が今の「就労」から変われば、保育の認定期間や提出する書類も変わります。何を売るかも決まっていない段階なら、僕は会社を辞めずに準備を始めることを勧めます。退職して時間をつくる前に、勤めながらどんな仕事を試せるか考えてみませんか?

――起業の準備をする間も、保育園に通えるのでしょうか?

新井:こども家庭庁の案内では、「求職活動」に起業準備が含まれています。ただし、その理由で認定を受けられる期間には上限があります。退職後も今までと同じ条件で預け続けられると思っていると、事業を試している途中で期限を迎えるかもしれません。まず、お住まいの市区町村の入所案内で、認定を変更する手続きと期間を見てください。

「求職活動」には期限がある

――起業準備を理由に預けられる期間は、どのくらいですか?

新井:国の規則では、求職活動を理由とする認定は、認定が始まってから90日を限度に市区町村が定めた期間を経過する日が属する月の末日までです。「90日あるから、その間に仕事を決めればいい」と単純に考えず、ご自身の自治体が定めた期間と、変更の届出に必要な書類を確認してください。札幌市の案内では、求職活動に起業準備を含め、認定期間をおおむね3か月としています。これは札幌市の例で、どこに住んでいても同じ書類を出せばよいという話ではありません。

――開業して自分で働き始めたら、認定はどうなりますか?

新井:「就労」に当たる時間以上働いているかを、市区町村の基準で見ます。こども家庭庁の案内では、その下限を月48~64時間の範囲で市区町村が定めるとしています。札幌市では月64時間以上です。自宅で仕事をする場合も就労に含まれますが、働いていることを示す書類が要ります。札幌市の例なら就労証明書のほか、開業届や請負契約書など、仕事に応じた書類を確認します。

朝晩の時間で、売る仕事を試す

――平日は送り迎えや家事で忙しく、会社を辞めなければ準備の時間が取れないという声もあります。

新井:まとまった時間がなくても、朝と夜に30分ずつ取れるなら、そこで試せる仕事から始められます。僕は『会社を辞めずに朝晩30分からはじめる起業』でも、勤めながらビジネスを始めることを勧めました。子どもが小さい間は予定通りに進まない日もあるでしょう。だからこそ、短い時間でいったん終えられ、途中で呼ばれても再開できる作業を選ぶのです。

――最初の30分は何に使えばいいでしょう?

新井:何を売るか決めていないなら、自分ができることを並べるだけで終わらせず、お金を払って頼みたい人がいるか、小さく聞いてみてください。試しても注文がなければ、売り方や商品を変えられます。退職してから考え始めると、保育の認定期間を気にしながら仕事を探すことになります。勤めている間に試せることから始めたほうが、選び直す時間も持てます。

退職日は、事業と保育の両方を見て決める

――仕事が形になったら、どの時点で退職を考えますか?

新井:僕は、事業がうまくいってから、環境に応じて独立するか決めればいいと思います。保育園を利用しているなら、その環境には認定の条件も入ります。会社を辞めた後の仕事が市区町村の就労時間を満たすのか、何の書類で示すのか。そこまで見てから退職日を考えてください。売る仕事がまだ決まっていないなら、今すぐ辞める理由はありません。

――辞める前に自治体の案内で見る項目を教えてください。

新井:まず月に何時間働けば「就労」になるか、次に起業準備を理由にした「求職活動」の認定がいつまでか、そして自営で働く場合に何を提出するか。この3つです。入所案内の該当ページを手元に置き、変更の届出先も確認しておきましょう。会社を辞める日だけを先に決めると、仕事の準備と保育の手続きを同時に急ぐことになります。

起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)

新井一氏プロフィール

起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。

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新井一(起業コンサルタント)

起業18フォーラム

会社を辞めずに始める起業だけを26年支援してきた起業18フォーラム代表。延べ6万人の相談に応じ、著書13冊は台湾・韓国でも翻訳出版。会社員のまま小さく始める実践手順を伝えています。

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