地方起業の新時代到来! 補助金フル活用で会社員のまま始める起業戦略|起業18フォーラム新井一代表が語る確実な成功法則
退職後の国保は想像以上に痛い
――新井さん、会社を退職して国民健康保険に切り替えたら、通知の金額が想像より高くて驚く人がいます。下げられる方法はあるのでしょうか?
新井:あります。もちろん全員が使えるわけではありませんが、まず確認したいのが非自発的失業者の軽減です。これに当てはまると、前年の給与所得を100分の30とみなして国民健康保険料を計算し直します。
――前年の給与をそのまま見られるから高くなると思い込んでいました。
新井:そう受け止める方が多いです。でも、倒産、解雇、雇止め、退職勧奨に応じた退職、やむを得ない事情のある自己都合など、雇用保険上の離職理由によっては軽減の対象になります。国保の通知を見て終わりではなく、離職理由コードを確認するところから始めてください。
対象かどうかは離職理由コードで見る
――自分が対象かどうかは、どこで分かりますか?
新井:雇用保険受給資格者証、または雇用保険受給資格通知の離職理由の欄です。対象になる番号は、特定受給資格者の11・12・21・22・31・32、特定理由離職者の23・33・34です。正当な理由のない自己都合退職、いわゆる40番は原則として対象外です。
――離職票を持って市役所へ行けばよい、という話ではないのですね。
新井:そこが間違いやすいですね。国民健康保険の窓口で軽減を届け出る時に必要なのは、離職票ではなく、受給資格者証か受給資格通知です。先にハローワークで求職の申込みをして、番号が入った書類を受け取る必要があります。
――退職を勧められて応じた場合も、自分では自己都合だと思ってしまいそうです。
新井:そうです。番号を決めるのは本人の思い込みではありません。ハローワークでどう認定されるかです。だから、通知が高いと感じたら、まず受給資格者証の番号を見る。そこから市区町村の国保窓口へ進みます。
任意継続と国保は同じ表に並べて比べる
――退職後の健康保険は、任意継続と国保で迷う人も多いですよね。
新井:はい。どちらが安いかは人によって逆転します。任意継続は、退職時の標準報酬月額と、協会けんぽの平均標準報酬月額から決まる額の低いほうで計算されます。会社負担分がなくなるので高く感じますが、扶養家族を入れても保険料が変わらない利点があります。
――国保は加入者ごとに均等割がかかるので、家族構成で変わるのですね。
新井:そうです。そして国保側には、非自発的失業者の軽減が使える可能性があります。任意継続を選ぶと、この軽減は使えません。だから、退職前の健康保険料、任意継続の見込み、軽減後の国保、家族の扶養に入れる可能性を同じ表に置く。これをやらずに「任意継続のほうが安心そう」で決めると、資金計画が狂います。
――起業準備の資金にも影響しますね。
新井:かなり影響します。退職後の数カ月は、売上より固定費のほうが先に来ます。保険料の見通しを外すと、準備期間を短く見積もりすぎてしまいます。
家族の扶養と市区町村の減免も確認する
――家族の健康保険の被扶養者に入る道もありますか?
新井:あります。ただし収入要件を見ます。一般には年間収入130万円未満が目安で、60歳以上などは180万円未満、19歳以上23歳未満の一部は150万円未満という扱いもあります。雇用保険の基本手当も収入に含まれるので、日額によっては扶養に入れない期間が出ます。
――市区町村ごとの減免はどう見ればよいでしょう?
新井:全国共通の軽減と、自治体ごとの減免を分けて見ます。非自発的失業者の軽減は全国共通です。一方で、所得減少や失業による減免は市区町村の条例で中身が違います。申請期限が「納期限まで」など早いこともあるので、通知を受け取ったら放置しないほうがいいですね。
――未申告だと軽減判定ができない場合もありますか?
新井:あります。収入がなかった年でも、世帯の所得申告がないと均等割などの軽減が判定できないことがあります。家族全体の申告状況も確認してください。
申請の順番を間違えない
――実際に動く順番をまとめると、どうなりますか?
新井:まずハローワークで受給資格者証か受給資格通知を受け取る。次に離職理由コードを見る。対象番号なら住所地の市区町村の国保窓口に届け出る。同時に、任意継続の保険料、家族の扶養、自治体の減免も確認します。
――「高い通知が来た」で終わらせないことですね。
新井:そうです。保険料は、起業準備の期間を決める固定費です。売上が立つ前の時間をどう確保するかに直結します。軽減や減免は、楽をする制度ではなく、立て直す時間を作る制度と見たほうがいい。
――退職後の不安を、制度ごとに分けて見るわけですね。
新井:はい。国保、任意継続、扶養、減免。この4つを同じ紙に並べて、期限と必要書類を書き込む。これだけで不安はかなり減ります。起業の相談でも、お金の不安が強い人ほど、制度をひとまとめにして怖がっています。分ければ、次に行く窓口が見えますよ。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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