AI時代に読まれる起業家ブログの書き方|ゼロクリック検索6割時代のコンテンツ戦略を起業支援の専門家が解説
名簿を買えば売れるという誤解
――新井さん、経理代行で起業したい方から「個人事業主の名簿はどこで手に入りますか?」という相談があったら、まず何を伝えますか?
新井:まず、名簿を探す前に一度立ち止まりましょう、と言います。経理代行は、相手のお金の流れに触れる仕事です。そこに突然DMが届いても、「この人に財布の中身を見せて大丈夫かな」と思われます。名簿さえあれば営業できる、という考え方は危ないですね。
――確かに、お金まわりの仕事は信頼がないと頼みにくいです。
新井:そうです。しかも経理代行は価格競争になりやすい。安さだけで入ると、もっと安い人が出てきた瞬間に選ばれなくなります。だから最初に作るべきなのはリストではなく、信頼される理由です。
身近なコミュニティで実績を作る
――では、最初の見込み客とはどこで出会えばいいのでしょうか?
新井:青色申告会、商工会議所、地元の事業者交流会など、個人事業主や小さな会社が集まる場所があります。いきなり売り込むのではなく、そこで話を聞き、困りごとを知り、できる範囲で手伝う。地味ですが、最初の実績はそういうところから生まれやすいですよ。
――オンライン広告より、まずリアルな接点ですか?
新井:広告を否定しているわけではありません。ただ、実績ゼロの段階で広告だけに頼ると、比較されるのは料金表です。人柄や仕事ぶりを見てもらえる場所を持つほうが、最初は強い。小さな紹介が1件生まれると、次の紹介につながることもあります。
ホームページは名刺より少し深い信用材料
――ホームページは早めに作ったほうがいいですか?
新井:作ったほうがいいですね。ただし、立派なデザインより中身です。「何を代行できるのか」「誰向けなのか」「料金の目安」「相談から開始までの流れ」がわかること。これがないと、紹介された人も不安になります。
――無料の小冊子や資料も有効でしょうか?
新井:有効です。たとえば「領収書整理で月末に慌てないチェックリスト」「個人事業主が最初に分けるべき3つのお金」みたいな短い資料で十分です。渡した相手がすぐ役立つものを作る。売り込みではなく、この人はわかってくれていると思ってもらう入口になります。
税理士との差別化を曖昧にしない
――経理代行の場合、税理士さんとの違いも気になります。
新井:ここは避けて通れません。お客さまから見れば、「お金のことなら税理士でいいのでは?」となります。国家資格がないなら、税務判断ではなく、日々の整理、入力、領収書管理、請求書の流れを整えるなど、自分が担う範囲をはっきりさせる必要があります。
――できないことを明確にするのも信用ですね。
新井:その通りです。何でもできますと言う人より、「ここまでは私が整えます。税務判断は税理士さんと連携します」と言える人のほうが安心されます。必要なら税理士と組むのも一つの方法です。自分を大きく見せるより、チームとして安心を作る発想ですね。
DMは最後に効かせるもの
――DMは使わないほうがいいのでしょうか?
新井:使ってもいいです。ただ、順番があります。名簿に送るだけのDMは反応が鈍い。先にホームページ、無料資料、実績、紹介の導線を作っておき、そのうえで「こういう方に役立ちます」と届けるなら意味があります。
――ただ送るのではなく、受け皿を作ってから送るのですね。
新井:そうです。DMは入口であって、信頼の代わりにはなりません。経理代行のように相手の内側に入る仕事ほど、会う前から安心できる材料が必要です。名前を集めるより、相手が相談しやすくなる道筋を作るほうが先ですよ。
地道な関係づくりが価格競争を避ける
――最後に、経理代行で起業したい方へ一言お願いします。
新井:簡単そうに見える仕事ほど、入口で価格競争に巻き込まれます。でも、地元の事業者と話し、困りごとを聞き、資料を渡し、小さな実績を作る。この積み重ねをすると、安いからではなく「あなたに頼みたい」と言われるようになります。
――名簿を探すより、信頼がたまる動きをすることですね。
新井:はい。営業は数を打つことだけではありません。特に小さな起業では、1人の信頼が次の1人を連れてきます。急がば回れです。地道に見えますが、長く続く仕事を作るなら、そのほうがずっと強いですよ。
起業家インタビュー(聞き手:伊藤純子)
新井一氏プロフィール
起業18フォーラム代表。「会社員のまま6カ月で起業する」方法を伝える起業支援キャリアカウンセラー。キャリア26年以上の実績を持ち、延べ60,000人の会社員の起業をサポート。会社員時代に始めた事業で培ったノウハウ、多数の起業家を生み出してきた実践的技術を武器に、起業支援&集客マーケティングの専門家として活動中。
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