東京人が、白味噌を使うためのヒント①
アクはお味噌を入れるに、丁寧に取りましょう
銀座のふぐ職人、熊澤でございます。
写真は、ふぐの白味噌椀です。
お待たせしました。いよいよお料理にかかります。
まず、昆布出しに具を入れて、お味噌が入る前の段階。
アクが出ます。
白味噌も、お味噌ですから、
白味噌が入る前に、アクをあらかた取らないと、
ニオイが、最後まで残ってしまうことがあります。
後述するように、白味噌が入っても、アクは取りますが、
お魚や、ネギ以外のお野菜は、この段階で、アクを丁寧に取りましょう。
白味噌は、順番の最初
お鍋の具に、あらかた火が通って、いよいよ味付けですね。
では、白味噌ビギナーの皆様、ここで、脳内改革をしてください。
お料理の調味料を入れる、不動の順番がありますね。
さ・し・す・せ・そ
砂糖、塩、酢、せ(醤油)、そ(味噌) で、味噌が最後。
この順番を、変えます。
エー!? というお声が、聞こえてきそうです。
私だって、江戸っ子三代目ですから、お味噌を入れたら仕上げ、
この後、調味料を足したらダメ、は、当然知ってます。
まして、味噌を入れた後で、煮立ててアク取りなんて、もってのほか、と思います。
このあたり、子どもの頃からの、「教育」ですからね、ハードルが高いです。
まーでも、よくよく考えたら、
赤味噌だって、アサリのお味噌汁とか、具によっては、普通にアク取りはするんですが、
白味噌という、異文化へのぎこちなさ、があると、
よけいに、ハードルが上がってしまいます。
大丈夫、下げましょう、下げましょう。
今日は白味噌の使い方のコツを掴むのが、肝心です。
掴めたら、いつもの こだわり に戻るなり、
白味噌ワールドで、もう少し遊んでいただくなり、ご自由になさって下さいね。
それで、私はこのコラムを、「食育」のジャンルにしました。
では、脳内改革に戻ります。
さ・し・す・せ・そ の そ=お味噌 である、白味噌の、順を変えます。
白味噌は、この順の、一番最初にしてください。
白味噌を入れた後は、塩味は、薄口醬油、甘味は、本みりんで、ほんのり調整します。
目安は、1人前あたり、どちらも、3、4滴くらいまで。
お味噌が先に入るので、仕上げでアクを少し取ることになります。
薄めたいときは、水だけを足すと、味がボワンとするので、
気持ち、お酒を入れて下さい。
仕上げは、頼りなさげに、作ります
白味噌仕立ての、一番ありそうな失敗は、
赤味噌のイメージで作ってしまって、思ったパンチが出なくて、
足しているうちに、白味噌を入れすぎてしまうことですね。
ためしに、お鍋に入れる前に、白味噌を、ほんのひとくち、舐めてみましょう。
ほうら、ぼわわぁん、とした、塩、とも、砂糖、ともつかない、でも こってりした味。
「いや〜でも、お味噌だから、入れていけば美味しいお味噌汁が・・」
そう思ってしまうとね、ゴールが見えなくなります(笑)
舐めて感じたままが、そのまま、お味噌汁の味です。
ネ、かならず、何か、他の調味料も、入れたくなる味でしょう?
ここが、白味噌の、赤味噌とは違うところです。
ちょっと、エラそうなお話をしてしまいますが、ご容赦を。
味付けで、バランスを取った状態を、「円になる」と、我々料理人は申します。
私たちに、なじみの深い、関東の醤油や、味噌は、
実はそれ単体でも、「円」になっているのです。
だから、味付けの、最後の方に入れるわけなんですが、
舐めてみるとわかる、白味噌は味噌なのに、「円」になっていません。
あと ほんの ちょっと のところで、わざと「円」にしなかった、
それが、関西の白味噌、びっくり、な調味料なんですね。
「円」になっていない、とは、それだけ、許容量が大きい、という事です。
いろんな調味料を、ほんのちょっと 入れることで、
いろんな味わいの「円」を作ることができるのです。
さて、白味噌を使って、「円」を作る、コツは・・
ここからが、ミソ、です。
入れるお味噌の標準量は、赤味噌も白味噌も、だいたい同じですから、
お味噌を、赤味噌と同じ程度入れて、薄口醬油と、みりんを、ほんの少しずつ入れたら、
「何か、頼りないなぁ~」という程度の味で、調理を終わってください。
そして、出来上がった おつゆを張って、
最後に、黒豆くらいの見かけの大きさに切った、ゆず皮を浮かべて、
飲んでみると・・
「え~~っ、美味しい・・」と、なります。
ゆず皮のほか、おかか でも、おいしい。
最後の最後の、ゆず皮や、おかか で、見事、「円」になる。
これが、白味噌で仕上げる、コツです。
お味噌汁、と申しますより、デザート感覚で作ると、上手くいきますヨ。
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