産地様巡りをして、ごちそうを守ります②

熊澤彰

熊澤彰

テーマ:お料理・オンラインショップ

師崎港
産地様巡りをして、ごちそうを守ります①

画像は、愛知県 知多半島の、ふぐが揚がる港、師崎漁港です。

銀座のふぐ職人、熊澤でございます。

産地様と、同じ立場で考えます


以前、近江牛の産地様巡り・・と申しながら、

琵琶湖にある、人が住んでいらっしゃる、唯一の島を眺めに行きまして、

大急ぎで帰ってきたら、しゃぶしゃぶの肉切りをした、

その時の動画を収めました。



まーこんな暢気なことは、飲食店主は、普通出来ません。

60歳を過ぎたオヤジだから、もう許して下さるだろう、と、

勝手におさめてしまいますが。

産地様へ、何度か巡っておりますと、

パート①でも申しました、

産地様にやって来る、

たとえば来週の嵐とか、日照りとか、そうした出来事に、

「凪の、今週のうちに注文しよう」

と、前もって作業ができるようになってきます。

「カン」より確かな、ある「モノ」のおかげですね。

この、前もってする作業で、

私は、ご予約のお客様を、がっかりさせないで済みます。

産地様も、嵐の前の、凪のうちに注文してくれると、ほんとうに助かります。

ただ、そんな事を申し上げたところで、

実際には、私の注文で、漁師さんが船を出すわけでもなし、

私が手にするふぐは、たくさんの漁獲の中の、ひと握りなので、

今風に、目に見えてアピールできる事は、ほとんどないかもしれないですが、

ごちそうを守る、っていう事は、

そんな出来事、心掛けを、気長に繰り返す事だと思います。

ごちそうを、ごちそうにする人


豊洲市場

産地様が嵐の日、市場から

「本日は市場に良い魚がなくて云々」

と、SNSを出すのも、お店の一生懸命さ、とは存じますが、

実際に産地様を巡っている私は、その文章の前に、ひと言、

「本日は産地様の海が荒れて、」

と、書きたくなります。で、書きますし、お客様にも、申し上げます。

嵐は、産地様で、起きているのですから。

私が産地様を巡っているのは、こんな訳でございます。

なんと申しましょうか、

私の、店でのちっぽけな頑張り以前に、ごちそうは、始まってまして、

産地様は、さしずめ、

「ごちそうを、ごちそうにする人」、とでも、申し上げるのかな?

同じ言葉を重ねて、ずいぶんと、不器用ですが。

全ては、産地様から始まるので、

ごちそうにする人の心を汲み取らないと、ごちそうになりきらない、

と、いう事でしょうか。

何と申しましても、

3メートルの波が立って、向こうを行く船が見えなくても、

「今日は凪だね~」

って言いながら、網を入れて下さる、漁師さんたちの、強い根性に、

我々が支えられていることに、間違いはないのです。

<毎週日曜・水曜 12:30に更新します>

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熊澤彰
専門家

熊澤彰(ふぐ調理師)

ぎんざ姿

ふぐ調理師として40年以上の経験を持つ。自ら日本全国を渡り歩いて選んだこだわりの食材だけを使用。1組の顧客に最大限のおもてなしをしたいという思いから、1日1組最大6名に顧客を限定している。

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