本焼き包丁は、どんな包丁か、お話します②

熊澤彰

熊澤彰

テーマ:シェフの技

ふぐさしを切る

本焼き包丁は、どんな包丁か、お話します①

本焼き包丁は、とにかく、手間がかかります




私がしゃべっているだけの動画、「包丁人夜話」も、公開しています。

こわい、はともかくとしまして、

本焼き包丁の扱いにくさのトップは、

錆びやすい事、と、研ぎに30分以上かかる事、です。

一端、刃こぼれ なぞ、しようものなら、大変な時間と手間がかかりますから、

刃こぼれ が しやすい、ふぐをさばく時などは、本焼きは不向きです。

研ぎに、そんなにも時間がかかるので、切れるようになる頃には、

腕はパンパン、腰までコタエてきます。

本焼き包丁は鉄のカタマリなので、普通の包丁より錆びやすいし、

ほかに、魚の下ごしらえ、とか、板さんもするべき事はたくさんあるので、

お店さんでも、常時使う包丁の中で

本焼きはせいぜい、1本か、2本、かな~? というところです。

と、ここまで、

本焼き包丁の大変さを申し上げましたが、

それが故の、正に一生ものの、プロ御用達の「本焼き包丁」。

これがないと、私の「ふぐさし」は、できないんです。

私の使う ふぐ引き本焼き包丁は、

三重県「伊勢菊一」さんで、刀鍛冶さんに作って頂いたものです。

伊勢菊一

長さ、しなり、を、特注しました。

並のふぐさしより、大きく、広く、厚みに変化を持たせた、

ふぐさしの1枚を作るのに、必需品です。

当店のふぐさしの、写真だけをご覧になって、ご来店なさったお客様は、

たいてい、そのイメージと違う大きさに「お~!」と感嘆されます。

ふぐさし2人前

たくさんあっても、やっぱりタイヘンです


さて、パート①でおはなししました、

「扱いきれない本焼き包丁をあげちゃう」その続きになるような、お話です。

私の組合で、ふぐの模擬試験を年一回しています。

そこへやって来た、未来のふぐ職人さんが、

「包丁を色々もらったので、見て下さい~」

って、持っていらしたので、見せてもらうと、

5本くらいだったか、大小の包丁、

よくよく見てみれば、全部、本焼き!

「やめた板さんとかから、よく、もらって~」

ほ~。可愛がられてたんだね~

「ボクでは、全然研げないんですよ~」って。

そりゃ、研げないよね、っていうか、

それだけ集まっちゃうと、ほぼ、イジメのような、ねぇ?

<毎週日曜・水曜 12:30に更新します>

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

熊澤彰
専門家

熊澤彰(ふぐ調理師)

ぎんざ姿

ふぐ調理師として40年以上の経験を持つ。自ら日本全国を渡り歩いて選んだこだわりの食材だけを使用。1組の顧客に最大限のおもてなしをしたいという思いから、1日1組最大6名に顧客を限定している。

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

40年以上の経験を持つふぐ調理師

熊澤彰プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼