(閲覧注意)プロの技・技術継承 ふぐ の 皮引き の動画を作りました

和包丁の極み、と言えば、だれもが知ってる、本焼き包丁、でしょう。
刀と同じ作り方をしている包丁、とか、
鋼をわざわざ使って作るんだ、とか、
テレビや配信されるのを、お好きな方も、多いと存じます。
ですが、
素人の方が、本焼きを扱うお店様にいらして、「これください」
と、おっしゃっても、
良心的なお店様ほど、「扱いきれないと思いますよ」
と、売って下さらないことがあります。
よく切れる、と評価が高いのに、プロにしか扱いきれない、何でだろう?
本日は、そんな疑問に、ある程度、お答えできたら、と思ってのコラムです。
扱いきれない、の、本当の意味は
大工道具で、私も、やはり、同じようなことがございました。
まな板を削りたくて、
プロ・オンリーのお店に、ちょっとイイ鉋を買いに行ったら、
「素人さんはダメだ」と、断られちゃいました。
鉋は、刃も大切だけど、「台」の木の養生が、とっても大事だそうで。
そうとは知らなかった私、どうしても必要だったので、
お店のオーナーに頭を下げて、初心者向けの鉋を教えて頂きました。
包丁に、話を戻します。
私のような板前が、若い頃、本焼き包丁を、人生で最初に手に入れた動機、は、
見栄、とか、飾るとキレイ、とか、自慢できる、とか。
あー、ほとんど、見栄ですね(笑)
昔も高かったですが、現在ほど、本焼き包丁が、高嶺の花だった頃でもない。
とにかくプロらしく、1本は手に入れて、と思っていたのが本音。
たいていは、扱いきれなくって、まずどこかに仕舞う。
すぐサビるから、たとえば、チョッとかわいい後輩に、あげちゃう。
ー。
本当に必要になるのは、そんな時から10年くらいしてから、でしたか。
どうしてそうなるのか、を、お話するのに、
本焼き包丁の、性能的なお話をしましょう。
良いポイント:とにかく切れる。切れ味が3倍長持ちする。オーダーできる。
悪いポイント:研ぐのが辛い。1日で錆びる。おっかない。
この中でですね、「おっかない」って、ありますね。
おっかないお話は、皆様もお好き、と存じますので、
本日はこれをお話しましょう。
板前さんですから、包丁で手を切っちゃったり、当然します。
本焼き包丁で誤って切ると、
切れた瞬間は、案外そんなには、痛くないです。大丈夫。
でも、そのすぐ後で、思い知ります。
思った以上に深く、スパッと行かれた傷口。ぼたぼた出血。
ぞぉ~っ。
未体験の「切られ感」です。全然、大丈夫じゃない。
ご存じの方は、落語の「首ちょうちん」、あれの指先版だ、と思ってください。
何と申しましょうか、「心」が切れる感じです。
一度やってしまうと、もぅ~~、次は、
手に持つだけで、腕とか足が、少しすくみます。
これが、本焼き包丁が、おっかない理由です。
その、おっかない包丁を、切れるようにするのに、
普通の包丁なら、10分もあれば、ギンギンに研ぎあがるのに、
本焼き包丁は、30分は、かかります。
「この、おっかない包丁を、30分も、砥石に当てるのか・・・」
ね。どんどん、リフレインしちゃう。
これがすべて、とは申しませんが、
他に、もっと便利で、怖くない包丁が、いっぱいありますから。
たとえば、こんな感じで、半端な職人は、扱いきれなくなるわけです。
ーその2へ続くー
<毎週日曜・水曜 12:30に更新します>



